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LIFESTYLE

2018.11.27

日本一のハスカップの町・北海道厚真町で起きた小さな「奇跡」

2018年9月6日に起きた北海道胆振東部地震。震度7を観測した厚真町。震災から3か月、この町で小さな「奇跡」が起こった。

あれから3か月。北海道厚真町で起きた小さな「奇跡」とは…!?

日帰り弾丸ツアーで朝の5時起き。7時30分の飛行機で向かったのは、北の大地・北海道。

そこから友達たちに送った写真に対して、みんなは私にこう返信してきた。

「すてきー幻想的」

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そう、素敵なんだよ。凍てつくような氷点下の山道。

普段より遅い初雪は、その後の冷え込みで根雪になりそうな勢いだ。そして、うっすら積もった雪の木々の影とのコントラストはとても荘厳だ。

でも

でも

よく見てみると…あれ、あれ???

そうです。

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木が倒れている。それも沢山。山のように倒れている。

いやいや、冗談じゃなく…

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山も倒れているーーーー!

そうです、この山が倒れるという表現がまさに当てはまるような、大きな災害。まだ、ほんの3ヶ月前のショッキングなニュース。

9月6日 午前3時7分。北海道胆振東部に大きな地震が起きた。

あの山が崩れた上空からの写真、しごとなでしこ読者の皆さんもニュースで見て相当ショックだったと思う。もしかしたら、読者のみなさんやその周囲にも震災に遭われた方もいらっしゃるでしょう(心よりお見舞い申し上げます)。

消費家クロシマ、今回はその被災の中心地でもある、北海道厚真町での“今の厚真を知る”見学会に参加してきたのだった。

そのルーツは、というと。

今から遡ること1年と数ヶ月前。ローカルベンチャー起業家たちの生活実態を学ぶべく、仲間と訪ねたのがたまたまの北海道厚真町だった。簡単に説明すると厚真町はもともとローカル起業家を迎え入れる活動をたくさんされていたのです。

その時の美しい厚真。

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牧歌的な風景が広がり、南北に長い厚真町。山も平野も海もあって、農業、林業、漁業すべてが静かに栄えていた。

素敵だけれど名前は知られていない人口5000人弱の町・厚真町。地元の何かモノやコトを活かして町おこしをしよう! と町の役場含めて、どんどん頑張っていこうとしていた矢先。

皮肉にも名前が全国区に知れ渡ってしまったのだ、そう地震で。

一年前に尋ねた場所の一つがハスカップ農園の山口さんだった。ハスカップ、ってみなさん、知ってますか?

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そうこれこれ。17年の7月はちょうどハスカップが実り始めた頃だった。ブルーベリーにも似ているけど、粒がずっと大きい。味も少し酸味があって苦いものもあるらしいが、この農園の苗は全部、山口さんと山口さんのお母さんが丁寧に長い年月をかけて剪定した美味しいハスカップのみ。

食べさせてもらうとブルーベリーよりもずっと食べ応えがあって、美味しい。見た目通りアントシアニンも多くて視力回復も期待できるし、何より美容に良いとのこと! 「ワオ! これは東京へ」と思ったが、如何せん“モチ”が悪い。そのため生食は北海道でもこの付近のみで、だいたいはシロップやジュースに加工され、それを原料に色々お菓子などに使われている。

去年の山口さんは厚真をこの“ハスカップ”で盛り上げようと頑張っていた。

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「厚真町に“日本一”のものを作るのが僕の夢」と熱く語っていた山口さん。山口さんちの美味しいハスカップの苗木を欲しいという厚真の人に譲り続け、見事に作付面積も日本一になり、役場にはこんな大きな垂れ幕もついたのだった(北海道でも千歳とか美唄でもハスカップは取れるから、負けたくなかったわけです。山口さん)。

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そんな山口さんの現状をお伺いできるということもあり、今回の見学会に参加を決意したクロシマ。

山口さーん!!

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<2017年のハスカップ畑>

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<2018年のハスカップ畑>

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予想以上に山口さん、元気でしたー! でも、山口さんが指差している向こうの山そして、手前の土嚢。

とほほ…すぐそこまで山は崩れたらしい(恐)。ハスカップたちは半分土に飲み込まれた。その量たるやハスカップの実、500キロ分。そしてハスカップは植えてから採取できるようになるまで10年かかる。10年分の苦労も崩れた山に飲み込まれた。

6日の夜中のひどい揺れの中、茶碗が棚からどんどん落ちて割れていくのをただただ横目で確認しながら、テーブルにつかまって自分を守るのに精一杯だったという。

3日後はまだ、電気やガスや水道が全て止まり、避難所生活。何から手をつけたら良いものやらと途方にくれていた時に、札幌の百貨店、マルイイマイのバイヤーから山口さんへ一本の電話が入った。

お見舞いと共に言われたことは「今回の物産イベント、もうキャンセルだよね?」の一言。

そう、以前からの契約で、山口さんは9月16日から開催予定のマルイイマイの食品催事でスムージーを販売予定だったのだ!(た、たった1週間しかない。。。)

その時、すぐに山口さんは決心した。

「でます!」

(えぇええええぇーーーーー?)このまま震度7の被災地で、終わらせてはならない! じゃあ、何がこの俺にできるんだ?

毎日避難所から抜け出して、自分の家にもどり準備。近くの被災がなかった地域の友人のキッチンを借りて、徹夜でスムージーの材料に加工して、それでも足りないシロップなどは農協からも協力を得た。

今こそ、厚真にはハスカップがある街なんだを、打ち出したかった。注目を集めている今この時に、引き合いを増やすことが来年以降のハスカップのブランドアップにつながると信じて。

初日4局ものテレビの取材が入った。バイヤー曰く「1軒の店で4つもテレビの取材はいるの初めてですよ!」(そりゃそうだよね、被災からたった10日でのイベント参加だもの)。

だけど山口さん、焦った。初日はテレビ取材があったにもかからわず、だれもそんなに買いにこなかったのだ。

でも、次の日。大変なことに! テレビを見た人たちが長蛇の列。

1日で950杯を売り切ったのだった。閉店してからバイヤーがまた言った。

「1日でこんだけ売れたのも催事始まって以来です」

中には涙を流しながら「頑張ってください。本当にありがたい」と買って行ってくれた人もいた、と嬉しそうに話す山口さん。

「僕こそありがたいと思いました」

その横で山口さんの話を聞いていた町役場の宮さん。「こんな被災をして、それでも前を向くと言ってくれる人がいるのが嬉しかった」

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この大盛況ぶりを知った、東京の百貨店でも「厚真のハスカップ」が取り上げられることになった。

来たる12月12日から上野松坂屋で開催される北海道物産展にも出店することに。毎年大人気の催事だそうです(山口さんも来ます!)。そして、新年あけた1月には池袋東武百貨店でも開催予定。

ところで、町役場の宮さんの話だと、今回の地震発生から6秒後には土砂に家が飲まれてしまったそうだ。そのスピードは移動速度時速50キロ。

そして、北部の山あいでは実に350メートル山が崩れて移動したのがわかっている。その付近の自然の脅威。

安全と言われてきたこの厚真で、たった6秒の間に起きたこの山崩れ。我々は何も考える暇なんかなかったのだ。地球っていうのはこう言う場所なんだという事を受け止めていくしかない。そしてこれは日本の、いや、地球のどこで起きてもおかしくないのだ。

地球の営みはすでに45億年。その力がいかに絶大なのかが、また、我々に見せつけられたのだ。

人間なんてなんてちっぽけで無力なもんなんだろう。でもそのどん底から必死に這い上がる。それでも必死に未来を描く。人間て、なんて力強くて必死で素敵なんだろう。

そんなことを強く感じた今回の厚真だった。

【編集後記】

(1)千歳にある老舗のお菓子屋さんmorimotoでもハスカップスイーツが期間限定で発売中!

(2)そんな厚真も中心地はクリスマスデコレーション! ゆるーい感じが可愛いかった♡

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(3)そして、空港へ帰る途中でみた大きな大きな満月。写真には納められなかったけれど、平等に人も自然も明るく照らしていた。

#たまには社会派シリーズ

初出:しごとなでしこ

黒島美紀子 MKシンディケイツ代表

消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。


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