記録的猛暑の影響は秋に出る!? 「秋バテ」に要注意!
記録的猛暑が続いた今年の夏。私たちのこれからの体調に影響を及ぼすのか? 及ぼすとしたら、どのようなことに気をつけたら良いのか気になりますよね。
そこで今回、横浜相原病院・院長で精神医療を専門とする吉田 勝明先生に「夏から秋へ移り変わる際に気を付けるべきこと」について話を伺いました。
■1:「秋バテ」とは?
これからの時期に気をつけたい「秋バテ」とはどのようなものなのでしょうか。吉田先生は次のように解説。
「『秋バテ』とは、夏が過ぎても『夏バテ』のような症状(体調不良、食欲不振、だるさ等)を発症すること。『夏の疲れ』や『朝と夜の激しい気温差』等が主な原因とされ、猛暑を乗り切り『涼しくなってきたから大丈夫』という油断によってどっと体調を崩してしまうといったケースがあります。
さらに、『秋バテ』の怖いところは、規則正しい生活リズムが崩れたり、夏から秋の季節変化によって自律神経が乱れることにより『季節性のうつ症状』を発症してしまう恐れもあることです。」(吉田先生)
✔︎主な原因
・夏の疲れ(高温多湿・紫外線・冷房の冷え等が原因)を取り切れていない
・秋口の朝夕の寒暖差
・気候の変化(低気圧の日が多いことが原因)による自律神経の乱れ
✔︎主な症状
・食欲不振
・頭痛
・消化不良
・不眠
・季節性のうつ症状
■2:「秋バテ」を防ぐためにできることは?
「秋バテ」は、身体だけでなく、精神的な不調=「季節性のうつ症状」を発症してしまう恐れがありますが、身体的な症状に比べ、こうした精神的な症状は予防をすることが難しいと感じる人も多いですよね。
そこで、吉田先生に「秋バテ」を未然に防ぐ取り組みや考え方を教えてもらいました。
✔︎「秋バテ」に気をつけるべき人
「秋バテ」に気をつけるべき人について、吉田先生は次のようにコメント。
「特に高齢者は要注意です。予備力が低いことに加え、加齢に伴う心身の衰えや病気などが影響します。また配偶者や子、兄弟など近親者の病気や喪失などによって、孤独を抱え、閉じこもりがちになったり、不安に陥りやすい傾向があるため、やはり注意が必要です。
夏は、陽の光も強く、気持ちも高まりやすい時期。一方で、秋は『祭りの後の静けさ』といった雰囲気もあり、夏とのギャップを感じやすいと思われます。また『食欲の秋」『読書の秋』など、周りが盛り上がるものの、自分だけが取り残されている感覚になったり、日が暮れるのが早くなり何となく物悲しい気持ちに陥りがちです。そういった理由で、『秋バテ』が進行しやすい傾向にあるのです。」(吉田先生)
✔︎「秋バテ」を防ぐために必要なこと
特に気をつけたい高齢者の「秋バテ」について、吉田先生に予防ポイントを教えてもらいました。
「定期的なコミュニケーションをとり、気にかけてあげることが大切です。そして、コミュニケーションの中で『いつもと違う』と気付くことが重要です。そうすることで、『何か』が起こる前に対策をとることができますし、孤独感を軽減させることができます。
その第一歩は、普段の生活を通して、高齢者の『いつも』を知ることから始まります。『いつも』を知り、高齢者の生活状況やリズムから、様子がおかしいと気付くことが『秋バテ』の防止に繋がっていきます。」(吉田先生)
✔︎高齢者の「いつもと違う」を探す簡単チェック
1.毎日3食、規則正しく食事をとっていますか?
→「秋バテ」になると、食欲不振に陥ることがあります。栄養の取れる食事をきちんととっているか、確認してみましょう。
2.夜中にもテレビがついていたり、洗濯をしている等、夜間の活動が多くなっていませんか?
→「秋バテ」になると、不眠に陥り、昼夜逆転してしまうこともあります。夜中の不自然な行動は、要注意です。
3.一日中自宅に閉じこもっていませんか?
→「秋バテ」になると、仕事や趣味などのやる気がなくなる傾向があります。日頃出歩いている方が、閉じこもりがちになると要注意です。
夏場は体調に細心の注意を払っていても、秋になるとつい油断してしまいますよね。でも、知らず知らずのうちに秋バテに陥っている可能性も。
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情報提供元/東京電力エナジーパートナー
トップ画像/(c)Shutterstock.com
初出:しごとなでしこ
教えてくださったのは…横浜相原病院・院長 吉田勝明先生
1956年生まれ、福岡県出身。1982年金沢医科大学医学部卒、東京医科大学外科学第一講座入局。その後、国立がんセンター研究所病理部、上尾中央総合病院救命救急・呼吸器科などを経て、1993年から現職。金沢医科大学客員教授・理事、神奈川県病院協会副会長、日本老年精神医学会専門医。著書に「認知症は接し方で100%変わる!」(IDP出版)、「職場うつからの生還」(IDP新書)など