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WORK

2018.08.14

少しの気遣いで仕事がずっと楽に。大人気アプリの女性開発者に学ぶ「感覚の違う人とのコミュニケーション術」

今回ご紹介するのは、日本語入力&きせかえキーボードアプリ「Simeji(シメジ)(https://simeji.me/)」デザイナーの矢野りんさん。Simejiは10~20代の若者を中心に人気のアプリ。iOSとAndroidを合わせて累計3200万ダウンロードを達成しています。そんなSimejiを開発した矢野りんさんに、「仕事でのコミュニケーション」について伺いました。

仕事でのコミュニケーションで大切なのは、困難を「楽しい」と思えるポジティブな考え方と、簡単な気遣い

――Simejiは運用10年目になるそうですね。ここまで長期間開発を続けられるアプリは、ほとんどないのではないでしょうか。

矢野:そうですね、でもSimejiはゲームなどの娯楽ではなくツールですから、息が長いのだと思います。個人的には、スマホがなくなるまでは大丈夫だろうと思っています。

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▲キーボードアプリ「Simeji」のキャプション画面。変換機能が充実しているほか、好きな写真をキーボードにすることも可能。

――開発する上で、気をつけていることは何ですか?

矢野:これまでのパソコンやワープロの変換ソフトは「文字を正しく変換すること」が仕事でした。

でもSimejiは「なにが正しい変換か」が曖昧なんです。例えばアニメの主人公の名前を入れたらその人のセリフが出るとか、連想ゲームみたいな変換ができる機能を搭載して、かつその変換の部分を時代に合わせて新しくしていきます

夏に「あつい」って入力したら「エアコンって出してみようか」というようなアイデアを出しながら運用チームの中で楽しくやっています。

――サービスを運用していくときは、ユーザーにおもねる部分と、我が道を行く感覚とのバランスが難しいのではないかと思います。

矢野:SNSなどのコミュニティ系のツールは、人が来て文化ができたり、ユーザーの傾向によって空気が醸成されたりしてしまうので、難しいと思います。運営側がコントロールできない部分も多いですから。

Simejiの場合は、ユーザーが何を伝えたいかで、使われ方も変わってきます。そういう意味では、利用者のニーズから離れることはなさそうです。

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――そのニーズを掴むのにみなさん苦労をしていますよね。

矢野:「ユーザー像は自分自身だ」と思っています。作っているものを本当に欲しいと思えないとなかなかやる気は起きないし、やっていても楽しいと思えないのではないでしょうか。

――そんなSimejiは、どんなチームで作っているのでしょうか?

矢野:技術部隊は、中国の深センにあります。チームに恵まれていて楽しいのですが、感覚や知識の方向がぜんぜん違うんですよね。

――例えばどんなことですか?

矢野:予想外のことが通じなかったりするんですよ。でも、「分かってもらうにはどうしたらいいだろう?」って考えるのはおもしろいです。日々そういうちょっとしたずれを楽しんでいます

一方で、中国の人たちはみんな若くて頭が良くて、物事を抽象的に捉えるのにすごく長けているので、新鮮な感覚を勉強させてもらっています。

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――ズレを楽しめる余裕ってすごいですね。

矢野:ズレまくりですよ。昨日言ったことをすぐ忘れるし。日本人は段取りを決めたがりますが、中国人は「今日何ができるか」を重視するんです。だから段取りをいくら整えたところで、その計画がすぐに実行ができなければ、「なかったこと」にしてしまうんです。仕事の進め方がダイナミックですね。

計画どおりにいくかよりも、いま目の前にあるものをどう右から左に動かすかを重視する人たちです。

――それでもチームに恵まれていると言えるのはすごいですね。

矢野:やっぱり、すごく優秀なんですよね。考え方が論理的だし、視野が広い。だから面白いですね。日本チームもみんな一生懸命だし、若い人は遊び心をいっぱい持ってやってくれています。

――学生のころから今のような仕事を希望していたんですか?

矢野:それが全然。ひとりで仕事をしたいと思っていました。チームでいろんな人の意見を取り入れるのが面倒くさいと思っていたんですよ。チーム作業の経験がなくて、ひとりでは何にもできないことを知らなかった。

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――もともと、個人で行動する方が好きだったんですか?

矢野:あまり人と一緒に遊ぶのが好きじゃないところがありましたね。家でずっと絵を描いて、「デッサンをしているだけで受かる大学に行きたい」ということで美大に行ったぐらいです(笑)。

――それが今は、大勢の部下を抱えているわけですよね。仕事で気をつけていることはありますか?

矢野:いかに周囲が仕事をしやすい環境にするか、いつも考えています。

――「一人で仕事をしたかった」という学生さんだったのに! 大転換ですね…!

矢野:自分が褒められるのではなく、周りの人が褒められるようにするほうがいいと思うんですよ。相手にとって分かりやすいメールを書いたり、修正をお願いするときには一目で修正すべき箇所をわかるようにしたり。

できる限り相手が低コストで理解できるような状態にしています。

――矢野さんのような人が上司だったらすごく仕事が楽そうです。

矢野:朝起きたときに「ああ今日も仕事だ、うれしいなあ」って思えなければ、何事もうまくいかないと思うんですよ。お金や名誉のためだけに仕事をしていても楽しくないでしょう? 仕事も、みんながワクワク感を持っていなかったら、上手くいかないだろうと思います。

「やらされる」ではなく「やる」というマインドにするために、いつも気をつけています。そうやって周りの人が楽しくやる気になれば、自分が楽になると思うんですよね。打算的だとは思うんですけど。

ほんのちょっとの気遣いで楽ができるならそのほうがいいですよね(笑)。

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vol.2につづく

初出:しごとなでしこ

今回話を伺ったのは…矢野りんさん

バイドゥ株式会社 モバイルプロダクト事業部 部長/Android女子部部長
北海道足寄町出身。女子美術大学芸術学部卒。
フリーランスのデザイナーとして、メーカのWebコンテンツなどデザイン経験多数。2011年12月 よりバイドゥ株式会社入社。自社プロダクトのSimejiやBaidu IMEのUX/UIのデザインやプロモーション企画・デザインを担当。

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