牟田都子さんってどんな人?
今回ご紹介するのは、校閲者・牟田都子さん。
校閲者と言えば、2016年に日本テレビ系ドラマ『地味にスゴイ! DX 校閲ガール・河野悦子』で話題になった職業としてご存知の人も多いのではないでしょうか。
出版物が世にでる前に誤字・脱字だけでなく事実関係の誤りも正すのが、校閲の仕事。
牟田さんは、月の前半は大手出版社の校閲部に勤務し、月の後半はフリーランスの校閲者として活動。小説・エッセイ・ノンフィクションを中心に年間20冊以上の書籍を校閲しています!
1日10時間以上、一文字一文字徹底的に調べ上げ、1冊の校閲のために確認する資料は、なんと30冊におよぶことも。
丁寧で誠実な仕事は、編集者から「ここまで調べるか…」と絶大な信頼を寄せられ、通常は交流のない作家からも「会いたくなる校閲者」と称されるほどです!
■人付き合いが苦手な牟田さんの支えになったのが、「本」だった
そんな牟田さんは、両親ともに校閲者という家に生まれ、本に囲まれて育ってきたのだそう。「10代の頃、人付き合いが苦手で本に頼って生きてきた」という牟田さんは、大学卒業後は図書館司書に。
しかし、「接客に向いていない」と悩んだ末、両親と同じ校閲者の道へ。そして、勤務した出版社で夫と出会い、結婚します!
牟田都子さんの「7つのルール」
さて、そんな牟田さんが「いつもしている7つのこと」=「セブンルール」とは…
■1.鉛筆は肥後守で削る
牟田さんは、仕事の相棒でもある鉛筆にもこだわりが。ゲラ(試し刷り)に鉛筆の跡が残らないように濃さは決まって「2B」。さらに、鉛筆を削るときは、先を細く長く削ることができる「肥後守(ひごのかみ)」という日本伝統の小刀を使っているんだとか。
■2. 著者の過去作を読む
作家から「会いたくなる校閲者」と仕事ぶりを称賛される牟田さん。その背景には、牟田さんの並々ならぬ努力が。それは、担当する著者の過去作を集めて読破すること。著者の文体や作風をあらかじめ理解したうえで校閲に臨むという徹底ぶり。
■3.プライベートでは校閲禁止
ともに校閲者である牟田さん夫婦ですが、家庭内の平和のためにお互いの会話を“校閲”することは避けているんだとか。しかし、夫婦で街を歩いていると、看板の文字などに目がいってしまうことも。どんな会話をされているのか聞いてみたいですね!
■4.請求書に絵葉書を添える
牟田さんの丁寧な仕事ぶりは、校閲が終わった後にも及びます。それは、請求書に絵葉書を添えること。気持ちのこもった絵葉書は、もらった編集者からも「いつもこれを楽しみにしている。励みになっている」と喜びの言葉が。
■5.毎朝5キロ走る
日々校閲で座りっぱなしの牟田さんの日課は、毎朝5km走ること。朝走ることで頭が冴えるのだそう。「どんなに遅くても、校閲もマラソンも一歩一歩、一文字一文字やっていけばいつかは絶対に終わる」という言葉が印象的!
■6.出来上がった本は読まずに2〜3年寝かす
出来上がった本が手元に届くときは、喜びも一入(ひとしお)だという牟田さん。しかし、本はすぐには読まずに、本棚へしまうのだそう。誤字脱字などを見落としていないか不安なため、2〜3年は読まないことにしているんだとか。
■7.本に恩を返す
1日中原稿に向き合い、神経をすり減らしながら一字一句校閲する牟田さんの癒し、それは、大好きなアップルパイと仕事とは関係のない本。校閲の仕事をする前に職を何度か変えてくたびれてしまっていたとき、本を読んでいる時間が唯一「何も考えずに本の中にいていい時間」として救ってくれたのだそう。そんな本をミスなくきちんとした形で世に送り出してあげることが本への恩返しだという。
仕事でもプライベートでも一つ一つの物事に丁寧に誠実に向き合う牟田さん。「丁寧に生きる」ことの素晴らしさを改めて感じました!
次回の「7ルール」の放送は、6月26日(火)よる11時~11時30分です。主人公は、鈴木美帆子さん。話題の家事代行サービス「タスカジ」の統括マネージャーを務める女性です!
しごとなでしこでは、番組を振り返り、仕事をする女性たちへのヒントを見つけていきます! ぜひチェックしてみてくださいね♡
初出:しごとなでしこ
校閲者 牟田都子
1977年生まれ 東京都出身 40歳。大学卒業後、図書館司書を経て総合出版社の校閲部に勤務し、主に文芸誌やノンフィクションを担当。現在は出版社に勤務するかたわら、月の半分はフリーの校閲者としても活動。小説やエッセイ、ノンフィクションを中心に年間20冊以上の本を校閲し、「校正ナイト」などのイベント主催も手掛ける。両親ともに校閲者で夫も校閲者。趣味は読書とマラソン。