中高生でもケータイは1人1台が当たり前。固定電話に馴染みがない新入社員も多く、電話応対の指導に頭を抱える先輩や上司も多いのではないでしょうか。スマホ世代の新入社員は、電話機能はLINEの無料通話で済ませ、メール機能ではチャットやスタンプで、まるで友達のようにコミュニケーションをとります。反面、SNSでも簡単に連絡が取れてしまう今だからこそ、職場での電話応対の基本やマナーに自信がないという方は新入社員でなくとも多いようです。そこで今回は必ず押さえておきたい電話応対のポイントを3つおさらいしていきます。電話応対で企業のイメージアップに繋げましょう。
マスターすべき【電話応対】ポイント1→第一声は明るく、ハキハキと!
職場での電話応対の不安は、「どんな内容を言われるのかわからない」、「自分で応対出来るかわからない」、「クレームになったらどうしよう」という感じでしょうか。確かに、誰から掛かってきたのかわからない電話に出ること自体、不安なことです。とりわけ電話応対に不慣れな新入社員にとっては苦痛に感じることでしょう。電話は対面とは違って1対1のやり取りなので、助けを求めるにしても正確に情報を伝えなければクレームになりかねません。
そこでまず押さえたいのが、好印象の第一声を届けること。
電話応対では、身なりや表情、立ち居振る舞い等、視覚情報がゼロになります。すなわち、声が外見となります。あなたが相手の声を聞いて「どんな人だろう?」と想像するように、相手もあなたの声を通して同じように思っています。不安な気持ちは声に出ますし、ボソボソ、暗い声では、「この人に任せて大丈夫だろうか?」と相手を不安にさせてしまいます。早口や事務的な話し方だと「ぞんざいに扱われている」と感じさせてしまう可能性もありますね。相手は声だけで状況や雰囲気まで想像します。企業のイメージが一瞬で左右される重要ポイントです。
具体的には、明るく、ハキハキ応対することが大切です。「お電話ありがとうございます。○○会社、△△でございます」と、会社名、自分の名前を相手が聞きやすいように名乗ることが大切です。「あなたの話をしっかり聞く準備ができている」という姿勢を伝えることで、相手も穏やかにお話されます。まずは第一声で場を整え、電話のペースを掴むこと。それがクレームを回避することにつながります。
マスターすべき【電話応対】ポイント2→相手を待たせない!
電話では顔が見えない分、対面の時よりも待たされたときの時間が長く感じます。電話のコールが鳴ってもなかなか電話に出ない場合、待たされていると感じ始めるのは10秒からと言われています。1コールが約3秒、3コールで約9秒。4コール目に突入すると、「あれ? 誰もいないのかな?」と感じ、だんだん待たされていることにイライラし始めます。「電話は3コール以内に取りましょう」と言われるのは、相手を待たせない最低ラインなのです。
でも、来客対応や別の電話に出ていて、どうしても3コール以内に電話が取れない場合もありますよね。そんな時は、必ず「(大変)お待たせいたしました」と一言お詫びしてから話を進めましょう。相手は待たされた事にイライラしているのですから、いつも通りの第一声で電話応対を進めてしまうと、気持ちを理解してくれない、無視されたという気分になってしまいます。
保留が30秒以内というのも、これを大幅に超えると「いつまで待たせるんだ」という気持ちに変わってくるからです。新入社員はわからないことだらけですから、保留ボタンを押すことも多いでしょう。しかし、何度も何度も「少々お待ちください」と都度保留をしていては、相手もげんなりしますね。新入社員に責任を持たせるのと、任せっぱなしの放置は違います。新入社員が戸惑っていないか、相手に迷惑がかかっていないかを考慮しながら指導をしていく必要があります。
マスターすべき【電話応対】ポイント3→メモは必ず取り、復唱するべし!
簡単なことであっても、聞いた情報は時間が立てば忘れてしまうもの。すぐに別の電話がかかってきたり、メモを取る前に別件の頼まれごとをされたり…ひとつを完結させるまでの間に、容赦なくほかの仕事が割り込んでくるものです。記憶は意外と頼りにならないもの。重要なことは即座にメモをしましょう。文章で書くと話し言葉には絶対に追いつかないので、重要なキーワードをメモしていきます。間違った情報のまま話を進めてしまわないように、復唱することもとても大切です。
聞き間違いやすい数字は必ず復唱してクリアにしておきましょう。1(イチ)と7(シチ)は、間違えるととんでもないことになります。7(ナナ)と言い換えるといいですね。
4日(よっか)と8日(ようか)は、4(ヨン)の日、8(ハチ)の日と言い換えると間違えません。相手に伝えたことが確実に理解してもらえているか、安心してもらうためにも、数字だけでなく、名前や会社名、電話番号、内容等も復唱をすることをおすすめします。
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以上、今回お伝えした3つのポイントは当たり前のことではありながら、慣れてくると忘れがちな部分でもあります。新入社員よりも3年目の慣れてきた頃に、うっかりミスやクレームは多発しがち。今の時期、新入社員への指導に焦点があたりがちですが模範となる先輩社員にとっても初心を思い出すキッカケとなるはずです。綺麗に話す、うまく話すことよりも、一本一本の電話を大切に、目の前に相手がいると思って、気持ちを込めて対応していきましょう。
初出:しごとなでしこ
古岡めぐみ 現役ホテルマン・マナー講師
沖縄「カヌチャベイリゾート」や、大阪「大阪マルビル大阪第一ホテル」など、名だたるホテルでの勤務経験をもつ現役ホテルマン。お客様からの多くの支持を集め、また後輩育成にも力を注いできたことを認められ、過去に社内表彰されること多数。
現在は富山県内のホテルフロントスタッフとして勤務しながら、これまでの自身の経験をもとに接客マナーやホスピタリティなどのセミナー講師としても活動している。