<2018年4月4日更新>
仕事もプライベートも忙しいOggi世代。ついつい、体の不調やトラブルのサインを見ないふりしていませんか?
結婚や出産を控える人も多い今こそ、自分の体ときちんと向き合うことが重要なのです!
しごとなでしこでは、Oggi5月号の掲載記事『アラサーのための「婦人化」の教科書』を5回にわたってトピックにまとめました。代表的な病気や不調から最新の婦人科データまで、お医者様に直接聞いた正しい知識でお届けします。
▶【第一章 知っておきたい婦人科トラブル】
▶【第二章 Oggi世代の人生を左右する婦人科データ】
婦人科トラブルの基本をおさえたら、次は自分の体の状態が気になります!
婦人科ではどんな検査をしてどんなことがわかるのか、実際に行ってみました。
自分の子宮・卵巣の状態をCheck!
婦人科検診、受けてみました!
婦人科検診って痛いの? 恥ずかしさは? かかる時間は?不安も多い検査の内容を、Oggi世代代表のイラストレーター・ヤマサキミノリさんが体験レポート!
体験したのはイラストレーター ヤマサキミノリさん
’88年生まれのOggi世代。23歳で初めて婦人科検診を受診し、多のう胞性卵巣症候群と診断された経験あり。1児の母。
1.いざクリニックへ!
ラウンジで受付後、問診票に病歴や最終月経、生理時の出血量が多めかどうかなどを記入。院内では名前ではなく番号で呼ばれるなど、プライバシーへの配慮も◎。
2.問診
診察室に入り、医師による問診を行う。記入した問診票をもとに気になる症状を聞かれるので、検査の内容など、不安なことがあればここで気軽に相談を。
3.子宮頸がん検査
検査室に入って検査着に着替え、電動でリクライニング&脚が開く内診台に座る。
金属の器具を腟内に入れ、子宮口の状態を診てから専用ブラシで子宮頸部の細胞を採取する。この間わずか1~2分。
4.経腟超音波検査
丸く細長い〝プローベ〟という器具を腟内に挿入し、卵巣や子宮の状態をモニターで確認。子宮や卵巣に腫れなどがある場合はこの検査でほぼわかる。検査はこれで終了。後日結果が郵送される。
予防・早期発見のために年に1度は受診して
婦人科検診を受けるのは4年ぶりというヤマサキさん。「金属の器具で無理に広げられている感触が苦手なんです」と最初は不安顔。しかし検査後は「久しぶりの受診だったからか、ブラシが入ってくると思わず構えてしまったけれど、痛みはそれほどありませんでした」とホッとした表情でした。
検診を担当してくれた高尾先生によると、「30歳前後は女性特有のトラブルが多くなり始める時期です。初期だと自覚症状が出にくい病気も多く病気のサインに気づかないことも。でも放っておくと知らずに病気が進行して、仕事や将来の妊娠・出産に大きな影響を与えかねません。また、〝子宮頸がん検査を会社や自治体の健康診断で受けているから安心〟と考えている人も多いのでは。でも実は、アラサーによく見られる子宮筋腫や子宮内膜症などをはじめ、子宮、卵巣の病気の多くは、経腟超音波検査の併用で診断率が高まります。オプションで必ず受診を。年に1度婦人科検診を受診していれば、たいていの婦人科トラブルは早期に発見が可能。女性の人生はホルモンバランスに影響を受けやすいので、婦人科のかかりつけ医を見つけておけば些細な症状でも相談できて安心です」(高尾先生)
アラサー世代の婦人科検診でわかる4大トラブル
現代女性の10人にひとりが発症「子宮内膜症」
こんな人は要注意!
□会社に行けないほど生理痛がひどい
□性交痛や排便痛がある
□生理時以外の下腹部痛や、排卵痛がある
▶どんな病気?
子宮の内側にある内膜が子宮筋層内にできる「子宮腺筋症」、卵巣にできる「チョコレートのう腫」など、発生する部位により名前や症状が異なる。各部位に生着した内膜症組織により癒着や炎症が起きると不妊の原因にも。
▶治療法は?
症状やのう腫の大きさにより経過観察、鎮痛剤による痛みのコントロール、低用量ピルなどを使ったホルモン療法など、段階的に治療することが多い。妊娠を望む場合や4〜5cm以上のチョコレートのう腫には腹腔鏡手術を行うことも。
3、4人にひとりはもっている良性腫瘍「子宮筋腫」
こんな人は要注意!
□月経時、こぶし大の血の塊が出る
□経血量が多く、夜用ナプキンが3時間でいっぱいになる
□おなかに固いものが触れる
▶どんな病気?
子宮の筋層にできる。大きさも米粒大〜10cm以上とさまざま。子宮の内側にできると経血量が多くなり、鉄欠乏性貧血になることもある。ごく小さな筋腫以外は、経腟超音波検査で簡単に診断可能。
▶治療法は?
月経過多などの症状がなければ、半年〜1年に1度などの定期的な検診で経過を見るのが一般的。筋腫の大きさやできる部位によっては不妊や流産の原因にもなるので、摘出手術が必要になることも。医師とよく相談して選択を。
初期は症状がほとんどない沈黙の臓器「卵巣腫瘍」
こんな人は要注意!
□最近お腹がポッコリしてきた
□下腹部に痛みや違和感がある
□おなかがいつも張っている感じがする
▶どんな病気?
卵巣の中に水分や粘液がたまる良性の卵巣のう腫がほとんど。まれに卵巣の根元がねじれて激しい痛みを起こし、卵巣が壊死する場合も。種類によっては進行するまで症状が出ないこともあるので、定期的な検診が必要。
▶治療法は?
腫瘍が良性か悪性かを診断した後、悪性の場合は切除手術後、抗がん剤を用いた化学療法を行う場合も。悪性の腫瘍でも、初期のうちに発見できれば片方の卵巣を残すことで妊娠可能。進行している場合は全摘出手術を行う。
30代から増加、早期発見がマスト「子宮頸がん」
こんな人は要注意!
□コンドームなしでセックスすることが多い
□血の混じったおりものが出る
□セックス後、不正出血がある
▶どんな病気?
子宮の入り口(頸部)にできるがん。原因であるヒトパピローマウイルスに感染すると、一部の細胞が〝異形成〟と呼ばれる変化を起こすものがある。軽度なら多くは自然治癒するが、中〜高度の場合はがん化することも。
▶治療法は?
初期なら子宮頸部から一部を摘出する「円錐切除」という手術で完治する可能性が高く、その後妊娠・出産も望める。進行すると骨盤内にがんが広がり、子宮や卵巣、卵管、リンパ節など広い範囲を摘出しなければならない。
教えてくれたお医者様はこの2人
順天堂大学 婦人科 教授/北出真理先生
子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫などの腹腔鏡手術をはじめ、不妊症や月経異常、女性アスリート診療などが専門。同科に新設された女性低侵襲外科・リプロダクションセンターのセンター長も務める。
イーク表参道 副院長/高尾美穂先生
東京慈恵会医科大学大学院修了後、東京慈恵医大附属病院、東京労災病院などを経て現職。女性の健康をトータルにサポートするほか、スポーツドクターとして産後のヨガプログラムも実施。
(「【第四章 アラサー世代のための“妊活”の基本】お医者様が答えます!アラサーのための“婦人科”の教科書」につづく)
2017年Oggi5月号「お医者様が答えます!アラサーのための”婦人科”の教科書」より。
【本誌掲載時スタッフ イラスト/ヤマサキミノリ 構成/酒井亜希子・佐々木恵(スタッフ・オン)】
初出:しごとなでしこ
Oggi5月号
アラウンド30歳からの働く女性に向けて、シンプルでセンスのよい、ベーシックなファッションを提案する月刊誌。トレンドを追いかけるのではなく、「着る人が素敵に見える」「本人も周りも心地よい」スタイルを追求している「Oggi」のためし読みと購入ができます