高齢処女ならぬ、高齢セカンド処女の実態とは
ドラマ『『逃げるは恥だが役に立つ』で知られるようになった「高齢処女」という言葉。それにともない「実は…私も」という相談を最近受け続けています。ただ、私のところにくる相談に多いのは、純然たるバージンではなく、高齢セカンド処女ともいうべき状況のアラサー女子たち。
この高齢セカンド処女は、筆者が提案する言葉で、長い期間(5〜10年間)、男性とワンナイトも含めて恋愛関係になっていない女性を指します。
彼女たちの共通点は以下の通り。
✔︎20代前半までに短期間男性と付き合ったが、その後は長続きしていない
✔︎真面目な性格、ルールを破ることはあまり好まない
✔︎ハンカチやティッシュ、リップを持ち歩いている
✔︎「女の子は大切にされるべきだ」と思っている
✔︎水商売に従事することは、絶対にムリと感じている
✔︎服を買いに行くと、同じようなモノばかり買ってしまう
✔︎少女マンガや女子マンガが好き
急増する高齢セカンド処女たちの本音は「もう恋愛も結婚も子供もいらない、ストレスなく生きていきたいだけ」
高齢セカンド処女の代表的な人のエピソードを紹介します。32歳、ボブヘアがかわいらしく、ビジュー付きのネイビーのニットに膝丈スカートが似合い、パッと見20代後半に見えます。
「最後にエッチしたのは12年前。大学時代に、先輩と付き合っていたんですが、初めての人だったので、相手の何もかも知りたくなってしまい、ネットストーカーをし、彼の群馬県にある実家の場所まで特定し、見に行ってしまうほどでした。それが私の不自然な話し方からバレ、距離をおかれました。その20歳の時の3回くらいのエッチ以来、まったく恋愛をしないまま、今に至ります」(32歳・メーカー勤務)
性的な欲望が起こることはあっても、ブサイクでだらしがなく、自意識過剰な男性と話すくらいなら、ひとりエッチで十分と続けます。
「もともと性欲が弱いというか、H=はしたないことだと思ってしまうので、男性にムリにアタックすることはしません。それに、今、婚活市場に残っているのは、自意識過剰なブサメンばっかり。肌がボコボコしていたり、薄毛だったり、そんな人と無理に交際するんだったら、イケメンばかりが登場するマンガやドラマを見ていた方が楽しい。人並みに婚活もしていたのですが、ケチだったりマザコンだったり。あと、私、ファッションに凝っている人がダメなんですよ。高級時計をこれ見よがしにフリフリしたり、シャツのボタンをかけている糸が変な色だったりする男性がダメで……」
周囲の友人知人から「相手のいいところを見るべき!」という婚活アドバイスを実践しすぎて疲れてしまい、今はホンネで生きることにしたそうです。
「だって、ダメな男のことを無理にホメても、勘違いしてつけあがるだけ。それならこのまま、同じ高齢セカンド処女仲間と年老いていくのもアリ。男友達もいますが、お互いにどこか性的対象として意識してしまいますよね。そこで変に親しくして“あいつ俺のこと好きかも”って思われて距離を置かれるのもイヤ。それなら恋愛は得意な人にお任せして、ひっそり生きていきたいと思います」
ここ数年前までは“子供を産みたい”という願望から婚活に励む女性が目立ちましたが、今は恋愛も子供も“もういらない”と考えている人が増えてきているように感じます。
その背景には、婚活で男性に圏外扱いされ続けるストレスや、子供を産んでも保育園に入れなくて復職しにくい現状、結婚をし夫やその実家に“嫁はウチの奴隷”とばかりにやんわりと支配され、離婚に至る周囲の友人知人のケースを見て、“このままで幸せかも”という結論になった様子。
このように考える女性は急速な勢いで増えており、今、あなたが婚活や恋愛をストレスを感じているようなら、思い切ってお休みしてみるのもいいかもしれません。大丈夫、恋に疲れているのは、あなただけではありません。
初出:しごとなでしこ
沢木 文 Writer&Editor
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』『不倫女子のリアル』(小学館新書)がある。