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2017.02.01

隅田川を渡って、佃島へ

まもなく映画も公開!「3月のライオン」の舞台は、佃島

2020年、東京オリンピックの開催まであと3年数か月。まだまだ開催までには様々な問題が噴出しそうなのが気がかりですが、何はともあれ、スポーツイベントとしての盛り上がりには期待したいもの。シニア世代にとっては2度目の東京オリンピックを迎えるということになります。前回は昭和39年(1964年)、今から53年前の開催です。

さて、今回のテーマは、いつもの築地を離れて佃島へ。
実は前回の東京オリンピック開催年まで、佃島に行く最短ルートが現在の中央区湊からの渡し船でした。「佃の渡し」です。記念碑の説明には「昭和30年には1日70往復していた」とあります。1964年、佃大橋の開通に伴って渡し船は廃止。今は、「大川端リバーシティ21」としてタワーマンションが立ち並んでいる佃島ですが、たった53年前まで、銀座から2km余りの都心に渡し船があったというのは驚きですね。

そんなこともあってか、このマンション群の足元には風情のある下町の街並みが今も残っているのです。

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▲佃島の入り江から見た風景。真っ赤な佃小橋、停泊する漁船、そして背景のタワーマンションの対比が印象的。

来月、再来月と、実写版の映画が2部作連続公開される羽海野チカ氏の名作コミック「3月のライオン」の舞台もこの佃島。では、散歩がてら佃大橋を渡って出かけてみることにしましょう。

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大友啓史監督による映画「3月のライオン」は3月、4月と2部作連続公開。主演は神木隆之介。有村架純、倉科カナ、染谷将太、高橋一生ほか注目のキャストです。(C) 2017 映画「3月のライオン」製作委員会

「佃島」の歴史は「築地」よりも古い

まずは、佃島の歴史から。デジタル大辞泉の説明です。

【佃島】
東京都中央区の地名。昔は隅田川河口の単独の島で、江戸初期に摂津国佃(現在の大阪市西淀川区)の漁民が移住、地名の由来となる。今は埋め立てにより石川島・月島と地続きとなった。近年、北部に住宅団地ができた。佃煮の原産地。

簡潔明瞭。少々補足すると、本能寺の変の折、堺にいた徳川家康が三河に帰還する手助けをしたのが大阪佃村の漁師たちでした。江戸開府の際、その漁師たちを呼び寄せ漁業権を与えたのが佃島の始まりです。

島といってもここは東京湾の浅瀬。そこを埋め立て、住める島としたのは住民たち。このコラムの5回目、築地本願寺の紹介でも書きましたが、築地を埋め立てたのも佃島の住民でした。この住民パワー、まったく頭が下がりますね。

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▲佃島渡船の碑。1927年(昭和2年)手漕ぎが廃止され、曳舟渡船となったのを記念してこの碑が建てられました。

というわけで、佃島の築島は1645年。佃の渡しもこの年から始まりました。築地が埋め立てられて本願寺が建立されたのは1679年ですから、佃島の歴史は築地より30年以上古いことになるわけです。ちなみに月島は明治期の埋め立て。もんじゃストリートで名を馳せる月島については、また別の機会に紹介することにしましょう。

佃島に着いたら、まずは住吉神社へ

佃島に着いて最初に向かうのは住吉神社です。
総本社は大阪の住吉大社。海上安全、渡航安全の守護神として広く信仰され、全国に2300余の住吉神社があるそうです。

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▲住吉神社。鳥居に掲げられた扁額は、陶製の珍しいもので、1882年、有栖川宮幟仁親王の筆によるとのことです。

創建は佃島築島1年後の1646年。毎年8月に行われる例祭で知られ(本祭りは3年に1度。次回は2018年)、まだ佃の渡しがあった1962年までは神輿を担いで隅田川に入る海中渡御も行われていたとのこと。鷲神社や水天宮とともに「東京下町八福神めぐり」の1社に入っていることもあり、正月には、はとバスのコースにもなっています。正月2日、訪れてみたらバスから降りた参拝客が列をなしていました。

そんな住吉神社も、ふだんは土日でも静けさが漂っています。昨年は築地本願寺に毎月お参りして(現在もですが)参拝カードを集めてみましたが、ここ住吉神社には、「花めぐりスタンプラリー」がありました。期間は1月1日~6月30日。毎月お参りしてスタンプカードでスタンプを6種類集めると記念品がもらえるそうです。今年前半は愛犬の散歩がてらこのスタンプラリーを楽しみたいと思います。

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▲住吉神社の「花めぐりスタンプラリー」。1月の椿から6月の紫陽花まで、毎月参詣してスタンプを集めたいと思います。

幕末創業! 佃煮の老舗「天安」へ

そして、佃島といえば佃煮。3軒の老舗が今も営業中です。
古い順に、天安本店(1837年)、佃源田中屋(1843年)、丸久 佃煮店(1859年)。どの店も幕末の創業ですね。

今回は一番の老舗である天安で購入してみました。単品売りと詰め合わせがあり、単品売りは100gから。佃煮は100gでも結構な量があります。詰め合わせは3品から10品まで。年末には昆布巻きや栗きんとん、黒豆といったお正月用品の販売もあります。

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▲天安本店。雰囲気を出すためモノクロにしてみました。年末年始以外は無休で、営業時間は9:00-18:00。

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▲天安で購入した「あみ」と「きゃらぶき」。どちらも100g 360円。HPを見ると、佃煮の最高単価は「うなぎ」100g 2670円のようです。

酒屋が1軒あります。佃屋酒店です。
いかにも昭和の佇まい、といった感じのこの店、「純米大吟醸 佃島」というお酒が売られています。もちろん佃島で醸造しているのではなく、中身は栃木県大田原市の酒蔵、天鷹酒造の「天鷹心(てんたかこころ)」という純米大吟醸。佃屋と天鷹とは20年来のお付き合いだそうです。山田錦50%精米の純米大吟醸、香りは心地よさを感じるほのかな吟醸香。口にすると純米大吟醸にしては辛口の部類に入ります。ですが後味はしっかり、というより、すっきりと残ります。とてもバランスのよいお酒。お値段は4合瓶で1673円。お買い得感ありです。

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▲佃屋酒店。こちらもモノクロで。外観もそうですが、引き戸を入った店内も昭和で時が止まったかのような佇まいです。

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▲純米大吟醸「佃島」。醸造元である天鷹酒造の「天鷹心」は、発売以来40年以上に及ぶロングセラーだそうです。

今は佃島と一体化していますが、以前は別の島だった石川島が隣接。佃公園の一角、隅田川から入る入江の入り口、住吉水門近くの石垣の上に、幕末に築かれた常夜灯が復元されています。また、入り江にかかる赤い橋=佃小橋は情緒たっぷり。石川島について、再びデジタル大辞泉の説明です。

【石川島】東京都中央区佃の一部。もとは隅田川河口の島で、旗本石川八左衛門が徳川家光より拝領した。江戸時代、人足寄場が置かれ、また後、水戸藩が日本最初の洋式造船所を設置したところ。

この人足寄場を献策したのが、「鬼平犯科帳」で名高い幕臣、長谷川平蔵。無宿人や引き取り手のいない刑余者をここに収容して生業を授けたそうです。つまりは更生施設。鬼平は火付盗賊改=放火、盗賊などの取り締まり、以外の仕事もしているんですね。洋式造船所は言うまでもなく、後の石川島播磨重工業=IHIの前身です。

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▲住吉水門近くに建つ常夜灯。1866年に築かれたものを佃公園の整備に伴い1989年に復元しました。1Fが公衆トイレになっています。

佃島は都心から向かうと、東京メトロ有楽町線・大江戸線、月島駅から徒歩数分。昨今の土日は、下町風情を楽しむ観光客も多く見かけます。隅田川沿いは花見も楽しめることもあり、3月~4月、花の蕾がほころんでくる頃の散策をおすすめします。

前回書いた直木賞、森見登美彦氏の受賞は残念ながらなりませんでした。しかしながら、「夜行」は本屋大賞にもノミネートされています。発表は4月11日。今度こそ受賞を期待したいものですね。

初出:しごとなでしこ

T.KOMURO

編集者。主として男性向け情報誌の編集長を歴任。2015年5月、住居を築地に移し、愛犬の悟空とともに週末TSUKIJIライフを楽しんでいる。


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