毎月何気なく手にしている「給与明細」。
額面と手取りが違うことは知っていても「何がいくら引かれている?」まであまりちゃんと目を通したことがないという女性もいるのではないでしょうか?
自分自身が毎日頑張って働いたお給料。何がいくら引かれて手元に残るお金になっているの?というのは、知っておくべき!
そこで今回は明細のセルフチェックについてお話します。
給与明細は「支給」「控除」「勤怠」の3部構成
給与明細は概ね、基本給をもとに残業手当、住宅手当など各種手当が記載される「支給」の項目、厚生年金や健康保険、各会社で設定している積立金や組合費等差し引かれる額が記載された「控除」の項目、そして基本の出勤、欠勤の日数などの勤務状況が記載される「勤怠」の項目の3部構成になっています。
誰でも一番気になるのは、手取り額。では額面から何が差し引かれて、手取り額になっているのかについて知っておきましょう。
総支給額合計 − 控除合計 = 支給額。では控除って何?
お給料は、本来会社から支給される「総支給額合計」から、控除項目の「控除合計」が引かれた金額が、私たちの元に支払われる「支給額」として残ります。
「何がこんなに引かれているの?」という点は「控除」の欄をしっかりチェックするとわかります。「控除」欄は会社独自のものも多いのですが、共通する基本の項目はこちらです。
健康保険料 → 病気やケガ等の際に個人の医療費負担が3割で済むのは、健康保険料を払っているからこそ。会社と従業員で支払っているので、自己負担は実は半分程度で済んでいるんです。保険料は「標準報酬月額」×「保険料率」で計算されますが、「標準報酬月額」は毎年4、5、6月の平均額で決定されたものがその年の9月から1年間利用される仕組みです。
厚生年金保険料 →「厚生年金、何でこんなに高いの〜?」と思う方もいるかもしれませんが、厚生年金は将来の年金を受け取る以外にも、障害や万が一の際になった時にも自分や家族が年金をもらう為に必要なのです。こちらも健康保険料と同じく「標準報酬月額」×「保険料率」で計算され、また「標準報酬月額」は4、5、6月の報酬の平均額で決定します。会社と従業員で半分づつ支払っているのであなたが支払っている額の同額は会社も支払ってくれている、ということ!
雇用保険料 → お給料から引かれている? しっかりチェックしておきたいのが「雇用保険」。これはあなたが会社を辞めた際などに給付される失業保険や職業訓練給付金をもらう時にも必要な大切な項目です。この項目があるかどうかはきちんとチェックすべき。
介護保険料 → 40歳以上の人が支払うもので、いずれ介護サービスを受ける為の保険料が「介護保険料」。こちらも会社と自分で半分ずつの支払いになっています。
所得税 → 支給額から保険料をひいた額で所得税は計算されます。「税額表」に基づいて決められた割合が毎月引かれます。そして、12月にある「年末調整」で過不足を調整されるのがこちらの項目です。
住民税 → 住民税は、前の年の所得に基づいて計算されます。そのため会社員1年目の新社会人の方は住民税の控除がありません。2年目の6月から、前年の所得に基づいて天引きされるようになり、また地域によって額も変わってきます。
その他 → 会社で給与天引きで実施している財形貯蓄や個人生命保険、そして従業員持株会や社員旅行のための積立、労働組合費などなど、会社によって異なる項目が。給与天引きのものは給与明細に記載されていますので要チェック。
給与明細で他にチェックするポイントは?
健康保険や年金など、実は会社が同じ程度の額を負担しているものもあり、会社がしっかりと守ってくれている部分も大きいことが給与明細をみるとわかります。
では、他にチェックすべきポイントはあるのでしょうか?
1.「残業代」や「出勤データ」間違っていない?
毎日仕事を頑張っているからこそ、しっかり確認しておきたいのはこの部分。出勤データの誤りがないか? そして残業手当が自分の勤怠と合っているか? という点はとても大切です。万が一間違っている際には、総務や経理担当の方に問い合わせましょう。
2.「確認して、すぐポイッ!」はNG!
給与明細をもらってすぐに捨てる、はNG! 万が一間違いがある際にも証拠として残る給与明細は、最低2年は取っておきたいもの。
自分自身のマネープランを見直す時や、住民税が記載してあることから「ふるさと納税をしたい!」と思った時には目安として計算ができる手がかりにもなり、給与明細は役に立つものなんですよ♪
頑張って働いて得たお金。自動的に引かれている分は何のためなのか知らない…というのはあまりにも不勉強です。万が一損しているなんてことが起きないよう、目を通しておくべし。ハッピーなお給料日をより気持ち良く過ごすためにも、給与明細を毎月セルフチェックしていきましょう!
初出:しごとなでしこ
花田浩菜 ファイナンシャルプランナー
学生時代からCanCamなどを中心に読者モデルを始める。
大学卒業と同時に金融関連会社に就職し、その後フリーランスのファイナンシャルプランナーに。
現在は月刊誌やweb上で連載を持ち、様々な媒体で女性のライフスタイルを大切にしたマネーコラムや経済情報を発信中。
趣味は旅行と食べ歩き。
instagram→hanadahirona