最近、何かに感動したりドキドキした経験はありますか?
私は観劇が趣味なので、劇場で芝居やミュージカルを頻繁に観ます。
それでも、感動したり何かを残してくれる作品はそんなに多くはありません。
そんな私がファッションのブランディングを生業として、ブランド立ち上げやイベント、広告に関わり続けた原点とも言えるエモーショナルな経験があります。
1995年10月、パリで見たJohn Galliano 1996SSコレクションです。
ザ・ギンザのPRとしてパリコレで見たショーのひとつ。
同年にジバンシィのデザイナー就任が発表になったタイミングでした。
当時の珍しい映像がYouTubeにアップされています。
会場となったThéâtre des Champs-Élyséesはバレエやオペラのための劇場。
ロシアのマトルーシュカ(ホンモノ!)が招待状となり、劇場に行くとまるでバレエのガラ公演のようでした。
シャンパン片手にバルコニー席へ案内されると1F客席の中で青年ドガに扮した役者が油絵を描いています。
そう、テーマは「ballet」。それを客席に感じさせた時、舞台の幕が開くと・・・・
その舞台の上にも客席があり、お互いが見合う様相に!
そしてモデルたちは、舞台と客席・2階席までをランウェイに、コレクションを披露したのです。
コレクションのメッセージを伝えるに十分な演出。
ブランドのクオリティやこだわりを伝えるサービス。
そして美しい、今まで見たことのない世界を体験した参加者たちの大歓声。
私がファッションのシゴトに恋した瞬間でした。
世界中から集まったジャーナリストやバイヤーも、ジョン ガリアーノに魅了されてた。
それは彼だけのチカラではなく、彼のディレクションのもと集結した才能達のシゴトです。
もうひとつ、最高にエモーショナルなショーのワンシーンをご紹介します。
Alexander Mcqueen 2006FWコレクションのラスト。
薬物疑惑から、大手ブランドの広告・メディアから四面楚歌だった友人のケイト モスをショーのラストにホログラムで登場させました。
ショーの終盤、美しいコレクションのまま終わるかと思われた瞬間、会場の真ん中に設置されていたピラミッドの中からの流れる時間をなんと表現したらよいのでしょう。
その後の会場の模様は映像には収まっていませんが会場の招待客の悲鳴にも似た歓声と、足を踏み鳴らす音、マックイーンへのスタンディングオベーションは忘れられない経験です。
エモーショナルな経験が生むモノ。私はそれは心豊かな人生だと思っています。
アートやファッション、サービス、他にもたくさんのシゴトがそのパワーを生むチカラがあると。
世界規模のシゴトでなくても、同じこと。
私はこの体験から、「自分が関わるブランド体験からドキドキや共感を感じてほしい」との願いを込め続けてシゴトをしています。
写真はJohn Galliano 1996年秋冬コレクションの招待状。
一点ずつ、作られた袖に会場図や配席が書かれています。
初出:しごとなでしこ
大島文子 BLOOM&GROW INC 代表取締役/ブランディングコーチ
資生堂ザ・ギンザ、三陽商会、パルグループ等にて日本発ブランド及びセレクトショップのブランディングや広告宣伝等マーケティング全般を担当。
ファッション分野にとどまらずライフスタイル雑貨・ショップ等もプロデュース。
大人女子に素敵な時間を提供するブランド育成のための、ブランディング&プロモーションコンサルティング会社(株)ブルーム&グローを設立。
アメブロも更新中▶︎http://ameblo.jp/branding-coach/