Q.もっと痩せて、きれいになりたい! どうしたら痩せますか?
こんにちは。産業医の加藤杏奈です。よく聞かれるこの質問。見るからに痩せている女性からも聞かれることが多いです。
A. ちょっと待って。あなたは本当にダイエットが必要?
まずはあなたの肥満度指数BMI(Body Mass Index)を計算してみましょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
18.5未満… 痩せ
18.5〜25… 普通
25以上… 肥満
※標準体重=身長(m)×身長(m)×22
BMI18.5未満の人はすでに十分痩せています。本当にきれいになりたいなら、正しい知識を身につけて理想のボディラインをもう一度考え直してみて!
痩せている=美しい、世界的には都市伝説
日本では、現在女性の7人に1人がBMI18.5未満の痩せ(20代 22.3%、30代 15.5%)。さらに20代女性の1日の摂取カロリーが1628kcalで終戦直後を下回るという驚きの結果に(2013年国民健康・栄養調査より)。痩せていることへの憧れが強まっており、女性の痩せすぎが国の健康対策の大きな課題になっています。
一方で、欧米では、痩せているだけが美の条件ではないようです。フランスではBMI18未満のモデルの雇用を禁止。Victoria’s SecretのモデルAngelsも痩せすぎはNG、代わりに体脂肪率が低いことが条件の一つになっているそう。海外モデルの美しさの条件は、ただ痩せていればいいというものではなくなってきています。
痩せすぎのデメリットを知っておいて
脂肪が少なすぎると、女性ホルモンの分泌が低下します。食事制限だけのダイエットは、筋肉量も減り、冷え性を悪化させたり疲れやすくなります。また、将来の骨粗鬆症や要介護状態の原因に。女性は寿命が長いけど、いかに健康寿命(人の手を借りずに健康で暮らせる寿命)を伸ばすかが、重要視。今からしっかりした骨、筋肉を保っておく必要があるんですよ。
さらに、将来子供を持ちたい人には、ぜひ知っておいてほしいこと。栄養素やエネルギーが不十分な妊婦さんから生まれた子供は低出生体重児が多く、将来その子が糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクが高まります。
体重よりも体脂肪率に注目しましょう
低カロリーに、ということだけを考えるよりも、栄養バランスの良い食事をとることを重視してください。偏った食事やカロリーの極端に少ない食事は、リバウンドの原因になります。良質なタンパク質(脂身の少ない肉、魚、豆類)を中心にしっかり食べて、運動をして、筋肉をつけましょう。脂肪が程よくなくなって筋肉がつくと、ひきしまった美しいプロポーションの体に。体重が少なく痩せていても、隠れ肥満と言って脂肪が多い可能性もあります。体脂肪率30%未満がGOODです。
以上、皆さんの心地よい暮らし&お仕事のお役に立ちますように☆
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|産業医・労働衛生コンサルタント 加藤杏奈 先生
産業医科大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。専門は産業医学、予防医学、メンタルヘルス。産業衛生専門医。現在、某化粧品メーカーの産業医として勤務している。