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「言葉の力を磨いて、発信する」ために必要なことを知ると、人生がより豊かになる!
「発信する」ということは、メディアに出たり記事を書いたりすることはもちろんですが、それだけではありません。クライアントへの営業や、社内でのプレゼン、転職での面接、プライベートでの会話まで…「言葉」や「会話」が発生するシチュエーションであれば、それはすべて「発信」と言えるのではないかと思います。
新商品に関する話題を世の中に認知させていくPR会社での業務や、様々な方に取材した内容を適切な形・言葉で世の中に伝えていくという編集者・ライター、ラジオ番組の企画といった仕事を通して筆者が感じてきた「言葉の力を磨いて、発信する」ために必要なことを、この連載で紹介します。
自分の声を録音して、自分の話し方を知っておこう
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今回題材にするのは「声」。私が日頃携わっている仕事では、取材時のインタビュー音源を聞きながら原稿を書き起こしたり、トークイベントで進行を担当した際の音声を聞き返したりと、自らの声を繰り返し聞く機会があります。そこには様々な気づきがありました。その経験を踏まえ、私がみなさんに提案したいのが、自分の声を録音して聞き返してみること。まずは自らの声を知ることでより相手への印象が良くなったり、伝えたいことがより伝わりやすくなったりすると考えています。「発信する内容」をブラッシュアップしていく前に、自分の「声」と向き合ってみましょう。
プレゼンを控えた時、社内のイベントで司会をする時、転職での面接を控えた時などに、本番を想定して実際に自分で喋り、その内容を録音してみましょう。録音時は目の前に誰もいなくても大丈夫。ただ本番を想定して話すことが大事ですから、「座った状態」「立った状態」「PCを操作しながら」など、同じ状況で録音してみましょう。
録音するのはスマートフォンの録音アプリなどで十分です!
実際に録音した音声データから得られるものは何か? 以下の事柄について注意しながら、自分の音声を聞いてみてください。
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✔️自分の口癖を知る
まず声を録音して聞いてみると、思っている以上に自分に口癖があるということに気づかされます。日頃プレゼンや説明を聞く側に回った時、発言者の口癖は気になりますよね。それは自分が話すときも同じです。
例えば、「あの」「えー」「えっと」。これは聞いてみると予想以上に回数が多いはずです。また、「〜と思います」「〜と思っています」は、何度も繰り返していると自信がないように捉えられかねないので、「〜です」と時には言い切ること。他にも、よく言っている口癖に気づいたら、それは忘れずに「○○(口癖)注意」と意識してみてください。
また口癖とは少し異なりますが無意識に使いがちな言葉として「見れる」「食べれる」などの「”ら”抜き言葉」があります。これを「見られる」「食べられる」と話している人に出会うと「言葉について、ちゃんと意識をしている人だな」と感じます。テレビ番組ではインタビュー相手の方が”ら”抜き言葉を使っていてもテロップでは修正されて表記されているので、意識して観てみると面白いかもしれません。
✔️綺麗に聞こえるように
そして、実際に自分の声を聞いてみると「ここでアクセントが上がっているな」「あれ、○行が少し聞こえづらいかも、あまり綺麗に聞こえていないかも」という点にも気づくと思います。
例えば会話の中での「〜と」「〜で」「〜が」などは、「〜と↑」とついアクセントが上がりがちになりますが、ここを「〜と↓」と下げて話す様にすると、落ち着いて聞こえます。
さらに「が」行については、「〜が」「〜ですが」などと文中で出てくる時(実際には複雑な用法があるそうですが、主にこの二つの時に意識)に「鼻濁音」で発音すると綺麗に聞こえます。鼻濁音は「か」に濁点(゛)=「が」と強く発音するのではなく、どちらかというと「か」に半濁点(゜)をつけるイメージでの発音。アナウンサーなど喋り手の方も、この鼻濁音はトレーニング時に意識するポイントだそうです。
また、単語自体のアクセントが「これってどっちだっけ…」と迷ったときは「NHK日本語発音アクセント辞典 新版」アプリがオススメ。3,100円となかなか値が張るのですが、単語を検索すると実際に音声で再生されるのでその場でアクセントがわかります(しかし8月末でアプリの販売は終了とのこと。気になる方はお早めに)。
✔️早さやトーンを意識
さらに、もう一つ録音して気づく点は自分の話のスピードやトーン。スピードについては、思っていた以上に早く聞こえていることが多いと思います。気持ち“ゆっくりめ”で話すことを意識すれば、聞きやすい喋りになります。
また、プレゼンや面接などといった、内容を頭に入れながら喋るときはついつい声が上ずりがちになります。こちらも気持ち“落ち着いて”話すことに意識を向ければ、上ずらない、聞きやすい喋りになります。
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このように、自分の声を録音することで気づくことポイントは沢山。実践して「この点が気になった」「ここを改善してうまくいった」などといった読者の方がいらしたら、ぜひ教えてくださいね。
次回は、思っていることを言葉にする力を鍛えるための「メモのフル活用」についてお伝えしていきます。
PROFILE|市來孝人/Takato Ichiki メディアプランナー/PRプランナー
1985年生まれ。メーカー、PR会社勤務を経て独立。ビジネス・エンタメ関連のWebメディアでの編集・取材、テレビ局Webメディアの運営、ラジオ番組の出演・企画、ベンチャー企業や文化人のPRなどの業務に携わる。