仕事と妊活の両立について考えてみよう
はたらく女性にとって、仕事と恋愛、仕事と趣味など、「仕事と○○」という両立はつきものですよね。「仕事と妊活」も難しい課題を多く抱える両立の一つです。
今回は、そんな両立の実態についてお伝えします。
■両立が大変になるのはなぜ? 不妊治療の現実
皆さんは仕事と妊活の両立の難しさについて聞いたことはありますか?
実は、「仕事と不妊治療の両立がむずかしい」と感じたことがある人の割合は、妊活を経験した方の9割ほどにも上ります。
更に、半数以上の人が最終的には退職を選択し、そうでなければ転職や異動、あるいは休暇をとらざるを得ないという実態があるのです。
妊活はまだ先! という方にとっては、なぜ両立が大変なの? と想像しづらいかもしれません。
事情は人によって様々で、パートナーとの予定が合わない、といった声も多い一方、不妊治療の負担も理由として多くあげられます。
不妊治療は月経周期と体調の変化に応じて進むので、通院日がはっきりせず、遅刻や早退も多くなります。
この予定の立たなさが、周囲への迷惑を危惧してしまう、理解してもらうのが大変、責任のある仕事ができないといった悩みにつながってしまっているのです。
■理想とは程遠い…国と企業のサポート体制
国でも様々なサポートが始まっています。
厚生労働省は2018年から、社内研修用に不妊相談員向け資料を配布したり、企業向けリーフレットを作成したりと、企業が従業員の不妊治療をサポートする取り組みを促しています。
例えば、職場に不妊治療中であることを伝える手段として、「不妊治療連絡カード」の利用を推進しています。このカードは厚労省のホームページから入手することが可能です。
しかし、未だに世間の妊活への理解度自体が低く、不妊治療に特化した休暇制度や治療費の貸付制度がある企業は、まだ一般的とはいえません。不妊治療をしている人の大半は、フレックスタイムや有給休暇など、今ある制度をできる限り利用し、試行錯誤しているのが現状です。
■3つの心がけで、両立への第一歩を…
これでみんな両立できる! といった万能策は、現段階では残念ながらお伝え出来ませんが、妊活を始めるにあたって、次の3つを心がけてみてください。
・チャンスを増やす
・適切な病院探しを!
・ネットの情報は参考程度に…
仕事と妊活を両立するにあたって、まずは妊娠するチャンスを増やすことを心がけましょう。排卵予測日の1日だけがチャンス、と思われている方が多くいらっしゃいますが、排卵日の前後も大切なチャンスです。したがって、排卵日の1日だけでなく、その前後にも回数を広げることが大切です。
また、病院探しも再度見直してみましょう。受付時間の延長や夜間診療など、働きながら妊活をしている人に配慮した病院は増えています。自分の勤務スケジュールに合わせた病院を探しましょう。
そして、近年特に多くみられるのが、いつの間にかネットの情報に振り回されていること。妊活に限った話ではありませんが、ネット上では偏った情報を吸収してしまいがちです。
大げさな見出しにばかり目が行っていませんか?
あなたの気持ちを煽るような文章に振り回されてはいませんか?
ネットの情報がストレスとなっている方も多く見受けられます。
あなたの得た情報が、必ずしも正しい情報とは限りません。あくまでも可能性の一つとしてとらえるように意識しましょう。
■病院に行くのが怖い…「安心するため」に行ってみませんか?
不安の種が大きくなるのを恐れて、「何かあったらイヤだから」と、時には通院が億劫になるかもしれません。しかし、病院は「安心するため」に行くところ。もし「何か」あれば「治す手段」を一緒に考えてくれます。
正しい情報を得るためにも、病院へ行って自分のことを知ることを当たり前にしていきましょう。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。