不妊の原因は男性にもあり! 男性の検査も当たり前の時代へ
不妊治療は女性がするもの、と思っていませんか? 実は不妊の原因が男性側にあることもあります。男性不妊は検査をしていくことで原因も正確に突き止めることができますし、治療や適切な対処をすることも可能です。
今回は、男性の検査方法についてお伝えします。
■男性不妊の多くは精子に問題!? 気づきにくい精子トラブル
男性不妊の原因の中でも、精子に問題があるという場合は実に9割にも上るといわれています。そのため、普段から精子の健康を保つことが重要です。喫煙や過度なアルコール摂取を控えること、食事や睡眠といった生活習慣を整えることなどが大切です。
自覚症状がないため、「自分に原因がある」と想像すらしていないという男性も多いのが現実です。
ところが、不妊カップルのうち「半数は不妊の原因が男性にある」、という調査結果も出ていますし、実際に来院される方の3割程度は、男性側に原因がある傾向にあります。
だからこそ、妊活においては女性だけでなく、男性も検査をすることを「当たり前」にしていただきたいのです。
■男性不妊の基本検査ってどんなこと…?
男性不妊の検査をする場合、まずは次の3つの基本検査をして、精子の状態を確認していきます。
《精液検査》
精液検査では精子を摂取して、その中に含まれる精子の数や様子を確認していきます。簡易キットを使用して自宅でも検査することができますが、簡易な検査なため正確性に欠けてしまいます。正確な原因を知るためにも、病院での検査をお勧めします。
精液検査では次のことを確認できます。
・精子の数に問題はないか…無精子症、乏精子症など
・精子の運動量に問題はないか…精子無力症など
・精子の奇形率
また、精液の中に白血球が混ざる「膿精液症」のような男性不妊の原因になる病気の発見にもつながります。
精液検査は正常なら1回だけで済みますが、異常があれば3回ほど行うことになります。精液の状態はその時の健康状態にもよりますので、しっかりと原因がわかるまで検査をするようにしましょう。
《精巣の検査》
精巣の検査には、触診する方法と超音波検査をする方法の2つがあります。触診ではお腹の上から精巣や精子の通り道に異常がないかを、超音波検査では、精巣内部の異常や血管の異常が無いかを検査します。
この検査により分かる病気のひとつが「精索静脈瘤」です。これは男性不妊患者で1番多い症状で、約4割の人に見られます。この病気の場合、精子の量や質、運動量のほか男性ホルモンの分泌量まで減ってしまいます。
妊活に影響の大きい病気ですが、30分程度で終わる手術によって治すことができ、手術後5~7割の患者は精液の状態が改善するという報告もあります。
《血液検査》
血液を採取することで、精子を作るために必要な「男性ホルモンの量」や精子の異常を防ぐのに役立つ「かかりやすい感染症」について知ることができます。
そのほか、精子の運動に関係することも分かるため、今後の治療に活かしていくことができます。
基本検査で精子の数が極端に少ないという場合には、染色体異常の有無を確認する「染色体検査」や、精巣の機能を検査する「精巣生検」といった検査が必要になります。
かかりつけの医師と検査結果を共有しあい、次の手についてしっかり相談をしてください。
◆早期治療がカギ! 勇気を出して検査して◎
男性不妊は検査によって原因を突き止めることができます。妊活といえば女性なのでは、といったことは検査を受けない理由にはなりません。不妊の原因は女性同様、男性にもあります。仮に異常が見つかっても、早期治療は女性の治療軽減に有効ですから、早めに検査されることをお勧めします。
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。