お正月のお祝いで目にするお酒、「お屠蘇(おとそ)」。でもこのお酒、一体なんなのかご存知でしょうか?
「屠蘇」は、歴史ある漢方薬
お屠蘇はもともと「屠蘇散」という名前の中国生まれの漢方薬。現在と配合内容は異なりますが、感染症予防のために作られたものとされています。これを一晩酒に浸したのがお屠蘇。名前の由来は、「邪気を屠(ほふ)り(=払い)、魂を蘇らせる」という意味から来ています。
真冬の不調にもぴったり! お屠蘇の効能
邪気払いとしてお正月に振る舞われるようになったお屠蘇ですが、もともと感染症予防の薬ということもあり、真冬の風予防にもぴったりなんです! 現代の代表的な「屠蘇散」の生薬と効能は下記のとおりです。(※組み合わせは異なる場合があります)
【肉桂】(ニッキ)寒さによる胃痛・風邪の初期症状・神経痛に
【山椒】食欲不振・消化不良・胸のつかえ・腹部の冷えに
【白朮】むくみ・尿量減少・食欲不振に
【桔梗】のどの痛み・咳・痰・吹き出物に
【防風】風邪の初期症状・関節痛に
【丁子】(クローブ)胃の不調・食欲不振・冷えに
【陳皮】消化不良・吐き気・咳止め・風邪予防に
独特の香りと味が苦手、という方もいるかもしれませんが、1年の無病息災を祈って新年最初の風邪予防にいかがでしょうか? もちろん、お酒であり薬でもあるので少量飲めればOK。飲み過ぎにはくれぐれもご注意を。
大木さと子
国際中医薬膳師・漢方アドバイザー。日本中医学院(旧・国立北京中医薬学大学日本校)卒。よく食べよく飲むOL。ふだんメシをアップするinstagramにて、薬膳の情報も発信中。