今回のテーマは、「ウイルス進化論」についてです。
話題のウイルス進化論とは?
生物の進化のメカニズムについて、現在最も支持されているのが、ダーウィンの進化説でしたが、コピー・ミスによるとされる突然変異の不自然さなど、ダーウィンの説では説明のつかないことがたくさんありました。(詳しくはコチラから)
ええ、ええ、遺伝子のコピー・ミスが繰り返されて、サルから人間に進化って…ちょっと変ですね。そういった点を解決してくれそうなのが、今話題の「ウイルス進化論」です。
ウイルスによる生物進化の流れ
ウイルス感染と進化がなんだかよく結びつかない…という読者の皆様のため、ウイルスがどう進化に寄与しているのかをなるべく専門用語を用いずに、ごくごく簡単な流れで説明していきましょう。…ふわっとし過ぎという批判は無視します。
【1】昔々、その辺でウヨウヨしていた単細胞生物にあるウイルスが感染。
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【2】ウイルスの遺伝情報がその単細胞生物のDNAに挿入されたり、追加されたりして突然変異が起こる。
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【3】元々の単細胞生物とは違う、Aという特徴を持った生物が多数生まれる(水平的な進化)。
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【4】この特徴が個体の生殖によって次世代に受け継がれていく(垂直的な進化)。
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【5】こういったことが常に起こり、生物の種類は、植物、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類というようにどんどん増えていく。
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【6】人間のように言葉を操ることができるような知的生物も生まれる。
Aという特徴は例えば、光合成をするとか、羽が生えるとか、目ができるとか、言葉が話せるとかもう何でもかんでもです。
イメージはアプリのインストール
賛否両論あると思いますが、私はこの話を聞いた時、スマホのアプリをイメージしました。
植物は光合成ができるアプリを入れていて、鳥は空を飛べる羽が生えるアプリを、我々人間は道具や言語を操れるアプリを入れている…といった感じです。
そして、人間というスマホには、かなりフル装備でアプリがインストールされていそうですが、他の哺乳類と違って、毛皮のアプリがありません。あと、ビタミンCを体内で作るアプリもないですね。(哺乳類の中にはビタミンCが生成できる種類もいる)
インストールできるアプリはたくさんあり、その組み合わせは無限大と言っていい程の数になります。生物の信じられないような多様性についても、これでなんとなくイメージができませんか?
さらに感じたことは、インフルエンザやその他のウイルスがもたらす恐ろしい感染症は、ひょっとしたら人間がさらに進化するために必要なプロセスなのか…!? ということです。
次回は、ウイルス進化論をまとめたいと思います。
【参考図書】
『YouもMeも宇宙人』いけのり著/東京大学名誉教授松井孝典監修(地湧社)
『彗星パンスペルミア 生命の源を宇宙に探す』チャンドラ・ウィクラマシンゲ著(恒星社厚生閣)
いけのり
最先端のアストロバイオロジーを世界一緩く解説する『YouもMeも宇宙人』(地湧社)著者。一橋大学商学部卒業後、金融会社・楽天市場を経て独立し、オールジャンルでの執筆・編集業などで活動中。独り言サイト「いけのり通信(http://ikenori.com/)」の更新がライフワーク。