今回のテーマは、ダーウィンの「進化説」についてです。
矛盾点の多いダーウィンの進化説
前回は定説とされてきたダーウィンの進化説を「適者生存・自然淘汰(自然選択)・性淘汰(性選択)・生存競争・突然変異」という5つのキーワードにそって解説をしました。
出世競争のような日常生活のアレコレと重ね合わせると、「ああ、なるほどなぁ、その通りだ…」と思ってしまうのですが、科学的に実証するとなるとやや矛盾も多いということを解説していきたいと思います。
ダーウィン進化説6つの矛盾点
おかしげな点を簡単にまとめると、次の6つです。
【1】カンブリア爆発が説明できない
進化は一定速度で物凄くゆーくり(時に数千万年をかけて)進むとされており、カンブリア紀(5億4200万年前から4億8800万年前)に、生物の種類が1万種から30万種へ突然増加している現象、「カンブリア爆発」を説明できない。
【2】コピー・ミスで進化するのか?
突然変異という遺伝子の「コピー・ミス」によって親と違った子供が誕生することになっているが、コピー・ミスを繰り返した結果、優れたものに進化しているのはおかしい。
【3】不利な形質も残っている
必ずしも生存に有利な形質が選択されて、今に残っているわけではない。
【4】中間段階の化石が未発見
魚と両生類、爬虫類と鳥類あるいは哺乳類などの古い種と新しい種とを結ぶ中間段階の化石は実は見つかっていない。
【5】長期間進化してない生物がいる
「生きた化石」と呼ばれるシーラカンスやカブトエビをはじめ、何億年以上もの間ほとんど進化していない生物がいるのはおかしい。
【6】突然変異の仕組みが説明不足
「突然変異」がなぜ起こるのか謎。突然って何? 偶然?
それぞれの矛盾点を詳しく解説しましょう
いかがでしょうか。「うっ、そう言われると…」ということばかりで、ぐうの音も出ない感じですね。それぞれを詳しく見ていきましょう。
【1】生物は徐々にまたーりと分化(進化)して種類を増やしていくはずなのに、ある時期に突然ドバっと種類が増えている「カンブリア爆発」。これを知ってしまうと、ダーウィンの進化説って一気に危うさが増しますね。
【2】【6】突然変異はコピー・ミスによるという考え。これってどうでしょうか。皆様は仕事中、コピー・ミスを繰り返して素晴らしい書類が生まれたことはありますか?
私はありません。進化もコピー・ミスなら変な形のものが生まれたり、鼻が1つなのが2つになったり、おかしなことになるのでは…?と思ってしまう自分です。
【3】有利な形質が残っているわけではないという、恰好な例が「ビタミンCの生成」の話です。我々人間は生命維持に必要なビタミンCを体内で生成することができませんが、他の哺乳類の中にはできる種類もいます。
進化の最終形とされている人間ならば、ビタミンCを作る機能はあってしかるべきなのに…なぜなのでしょうね。
【4】化石というのは骨や外殻といった固い部分は残っても、軟らかい組織は腐って分解されて残らないため、中間の種を見つけるのがそもそも難しいのですが、それにしても連続性が実はほとんど見いだせていないなんて…。あ、そういえばタコも突然嵐のように出現していましたね。
【5】シーラカンスだって何かしらの進化があってしかるべきなのに、それが最終ってことでしょうか。
うむ、知れば知る程おもしろくなってきましたね進化論。
次回はいよいよ「ウイルス進化説」を深掘りしていきます。
【参考図書】
『YouもMeも宇宙人』いけのり著/東京大学名誉教授松井孝典監修(地湧社)
『彗星パンスペルミア 生命の源を宇宙に探す』チャンドラ・ウィクラマシンゲ著(恒星社厚生閣)
いけのり
最先端のアストロバイオロジーを世界一緩く解説する『YouもMeも宇宙人』(地湧社)著者。一橋大学商学部卒業後、金融会社・楽天市場を経て独立し、オールジャンルでの執筆・編集業などで活動中。独り言サイト「いけのり通信(http://ikenori.com/)」の更新がライフワーク。