到来しつつある「生涯未婚時代」
2030年には女性の4人に1人が「生涯未婚」になると予測されている日本。Oggi読者に話を聞いても、「結婚」という形にこだわらない「ソロライフ」を送る人が増えている様子。結婚してもしなくても、納得のいく人生を送るために覚えておきたいこととは…? 家族社会学者の永田夏来さんに伺いました。結婚も住む場所も「選択肢が常にある」のが「ソロ」の最大のメリット。
50歳まで結婚したことがない人の割合を示す数値。男女ともに1980年代までは5%未満だったが、1990年代から急増。このほかにも、離婚した人や仮面夫婦/別居夫婦などもいるため、実質的な「ソロ」人口はさらに多い。
家族社会学者・永田夏来さんに聞きました!
周囲の人みんなが「よかったね!」と祝ってくれて、幸せ自慢が許される。そんな機会は人生で結婚くらいしかないかもしれません(笑)。法律上の夫婦であれば、どちらかが倒れればまず相手に連絡がいきますし、相続の権利も自動的に生まれる。「法律上の契約」であることをよりどころにした安心感は確かにあります。
一方で、結婚しない人生は、自分のことは自分で責任をもって決められるということ。パートナーとの関係も「夫婦たるもの、こうあらねば」という規範に縛られることなく、仕事を辞めようが引っ越そうが、結婚だってしようと思えばできる自由がある。意識的に選んだ道かどうかはともかく、結婚してもしなくても、それぞれのメリットがあります。
ちなみに「子供をもつなら結婚は必須」と考えている人もいますが、法律婚以外で生まれた子供が制度上の不利益を被ることは、現在ではほぼありません。また、孤独死する人は既婚者も多数。今や日本の離婚率は欧米諸国並みで、結婚=幸せとも限りません。
ストレスを感じながら夫に依存するのではなく、友人知人などさまざまな人の手を借りながら生きるのも悪くないのでは? 結婚していてもいなくても、自分にとって大切なことが何なのかを見極め、機嫌よく暮らしていくことが、納得のいく人生を送るカギになります。
「ソロライフ」をより快適に過ごすための3か条
[1] 年賀状だけの縁でも大切に
昔の同級生など古い友達とは用がなくても定期的に連絡をとり、縁を絶やさないこと。繫がっておけば、いざというときのセイフティネットになる。
[2] 自分の機嫌のとり方を知っておく
何をしたら楽しくなれるのか知っておくと、いざ「寂しい」と思っても不用意に落ち込まない。自分で自分を幸せにするスキルは、結婚していても必要。
[3] 「結婚するかどうか」は、相手ができてから考える
「一生結婚しない」と決意する必要はない。「みんながするから」ではなく、添い遂げたいと思う相手が現れれば、何歳になっていてもそのとき結婚の検討を。
Oggi5月号「ポジティブソロ充ライフのすすめ」より
メイン画像/Shutterstock 構成/酒井亜紀子・佐々木 恵(スタッフ・オン)、大椙麻未、菊谷まゆ(本誌)
再構成/Oggi.jp
永田夏来
家族社会学者。1973年生まれ。兵庫教育大学大学院学校教育研究科助教。夫婦をはじめとしたカップル関係を中心に、現代の日本における結婚観・家族観についての調査・研究を行う。著書に『生涯未婚時代』(イースト新書)など。