お給料、仕事内容…。ステップアップした仕事人生は、薔薇色のはず!? 働く女性がいちどは考える「転職」、経験者の「今」からその真実を明かします!
即戦力になれたけど悩むEさんの場合
「キャリアを買われてベンチャー企業の正社員第1号に。やりがいも成果もあるけれどブラックすぎて、心も体もボロボロです」
転職後3年11か月 Eさん(34歳・既婚)
・職歴/22歳で住宅メーカーに入社(営業)→25歳で出版社に転職(編集)→27歳でWEB制作会社に転職(企画)→31歳でITベンチャー企業に入社(企画)
・年収/前職:約450万円→現職:約350万円
・残業時間/前職:20時間/月→現職:80時間/月
・待遇・福利厚生/入社後1年は社会保険なし
会社の内情は惨憺たるもの
「夢を実現しよう」「やる気しだいで年収アップ」など、聞き心地のいいフレーズにあおられて、転職後、ブラック企業で厳しい労働を強いられている人も少なくない。
Eさん(34歳)が今勤めているITベンチャー企業の社長に出会ったのは5年前。WEB制作会社で働いていたころ、副業としてインテリアページのライターをしていたのがきっかけだった。当時は会社を立ち上げたばかりで、事業に関わるメンバーは社長ひとり。「1年後。〝事業が本格的にスタートするので入社しませんか〟と誘われ、正社員第1号として転職しました。
入社してサービス残業が多いことや社会保険の加入制度がないことがわかり、すぐにブラック企業だと気づいたけれど、いずれはインテリアにまつわる仕事をしたいと思っていたので、勉強できるいい機会と考えていました。仕事をこなすだけで精一杯だった1社目とは違って、〝人生で大事なことは何か〟と優先順位を考えて仕事をしていたので、目標に道筋をつけるべく、仕事に集中しようと割り切って。充実していましたが、保険制度くらいは入社前にちゃんと確認しておくべきでした…(苦笑)」
そうはいっても、体力、気力の限界はある。新規事業に参加した3年目、無理がたたって体を壊し入院。さらに心を砕く出来事は続く。「〝事業が赤字だから〟と年収は入社以来据え置きだったんです。しょうがないと諦めていましたが、あるとき、私と新入社員との月収の差が2万円もないことが発覚。入社して3年、社長の片腕として死ぬほど働いて会社を大きくしたのに、まったく評価してくれていなかったのか、と。心を支えていたものがポッキリ折れました」。
Eさんは現在、フリーランスになる準備中。「今任されている新規事業が形になれば、即サヨウナラです」。Eさんの表情に迷いはない。
Oggi4月号「転職3年目の真実」より
メイン画像/Shutterstock 構成/酒井亜希子・佐々木 恵・赤木さと子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部