Oggi.jp

おしゃれもキャリアも。働く女性のWebメディア

フリーワードで検索

人気のキーワード

  1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. エンタメ
  4. 雑誌・書籍
  5. 働く私たちの心も潤う!〝読む〟も〝詠む〟も楽しい「…

LIFESTYLE

2026.10.28

働く私たちの心も潤う!〝読む〟も〝詠む〟も楽しい「短歌」の魅力

31音で、暮らしの中の小さなときめきを表現できる「短歌」。今、働く私たちの心の潤いとして注目されているんです。日記のように、モヤモヤを昇華させるように、小さな感動を閉じ込めるように。5・7・5・7・7のリズムで詠んでみませんか? 短歌の魅力を専門家に伺いました!

TEXT: Oggi編集部

Oggi編集部

Oggi編集部

「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。

プロフィールを見る >>

短歌の魅力を教えてくれるのは… 歌人/作家・岡本真帆さん

歌人・作家 岡本真帆さん

おかもと・まほ/1989年生まれ。高知県出身。大学卒業後、広告会社のコピーライターとして働くかたわら、作歌を開始。現在も会社員と歌人の二足のわらじで創作を続ける。歌集に『水上バス浅草行き』『あかるい花束』(ともにナナロク社)、短歌&エッセイ集に『落雷と祝福』(朝日新聞出版)。

広がる短歌の世界。今、若い世代にも人気

Oggi編集部(以下Oggi):ここ数年、短歌が人気じゃないですか? お笑い芸人たちによる短歌の本が出たり、モデルさんが「短歌が気になる」と発信したり…。歌人が人気ポッドキャスト番組のパーソナリティを務めていたりもして、おしゃれで高感度な人たちが楽しんでいるイメージがあります。

岡本さん(以下敬称略):確かにこの数年、短歌ブームだと言われることは多いですね。書店でも短歌コーナーの棚が広くなって、カラフルでポップな装丁の歌集をよく見かけるようになりました。若い人が歌集を手に取る機会は、実際に増えていると感じます。

Oggi:2022年発刊の岡本さんの第一歌集『水上バス浅草行き』も、異例のヒットだったとか。

岡本:本の帯にも書かれた「ほんとうにあたしでいいの? ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし」は、SNSで多くの方に話題にしていただけた一首でした。「傘も~」以下の下の句を自分の〝ずぼらエピソード〟に変える、大喜利合戦のようになったことがあったんです。それまで短歌にあまり関心がなかった方にも興味を持っていただけたようで、うれしかったです。

Oggi:へぇ! 短歌は少し堅苦しいものだと思っていたので、そんなふうに盛り上がれるとは、意外です。あの… 非常に初歩的な質問で恐縮なのですが、短歌は5・7・5・7・7の31音からなる定型の短い詩、ということでよいでしょうか。季語はいらない?

岡本:はい、俳句と違って季語は不要です。古くは奈良時代の『古事記』や『万葉集』のころから同じリズムの〝和歌〟が詠まれていて、明治以降は〝短歌〟と呼ばれるように。原則として5・7・5・7・7であれば、内容は自由です。

短歌のイラスト

Oggi:そんなに長い歴史の中で、なぜ今、短歌がブームに?

岡本:実は個人的には、〝特に今〟という感覚はないんです。でもSNSが普及して、だれもが短歌の世界に自由にアクセスできるようになり、人気が加速した側面はあるでしょうね。結社と呼ばれる古くからのコミュニティや短歌教室に所属しなくても、個人が短歌を気軽につくって発表できるようになりました。以前は、歌人同士が出版した本を贈り合う〝謹呈〟の文化で成り立つ世界だったんです。

Oggi:閉じた世界から、裾野がグッと広がってきたんですね。

岡本:ネットでの盛り上がりを受けて、2010年代には詩歌に力を入れる出版社が存在感を強め、若手歌人にフィーチャーするレーベルや短歌賞もいくつか生まれました。書店に歌集が多く並ぶようになり、自分では歌をつくらないけれど、純粋に「読む」ことを楽しむ読者も増えてきたんです。

初心者にオススメの「読み方」と「詠み方」は?

Oggi:思っていた以上に、カジュアルに楽しめそう! 初心者は、何から始めたらよいですか?

岡本:まずは、複数の歌人の作品を集めたアンソロジーを「読む」のはいかがでしょう。さまざまな作風の歌に触れれば、自分の好みの歌や歌人を見つけられるはず!

Oggi:なるほど。ただ、歌集を読み慣れていなくて、ちょっと戸惑ってしまいそう…。

岡本:そういうことなら、最初は、5・7・5・7・7のリズムを意識しながら、ひとつの歌を2回、3回と繰り返し読んでみてください。最初から全部理解しようとしなくて大丈夫。何度か読み返すうちに、「こういうことを言いたいのかな」と、一度ではわからなかったことが浮かび上がってくることがあります。

Oggi:繰り返し読むと、短歌のリズムや言葉が、体になじんでいくような感覚になりますね。

岡本:そうして味わっていくうちに、短歌の魅力に気づくはず。ひとつの短歌が、一本の映画を見たような満足感をくれることもあれば、胸に残ってお守りのように人生を支えてくれることもあります。短い言葉の中に、いろいろな景色が広がっていたり、感情が真空パックのように詰まっていたりするんです。

短歌を読んでみたくなったら… まずは〝アンソロジー〟がオススメ

最初の歌集選びに迷ったら、複数の歌人の作品を集めたアンソロジーを。

『風のうた』

『風のうた』
(左右社)

「『○○のうた』シリーズは、ひとつのテーマのもとに集められた歌人100人による100首を一度に味わえます」(岡本さん)

『現代短歌パスポート』

『現代短歌パスポート』
(書肆侃侃房)

「『現代短歌パスポート』は注目の歌人10人が書き下ろす新作アンソロジーシリーズ。さまざまな作風に触れれば、お気に入りの歌人が見つかるはず」(岡本さん)

Oggi:新鮮なまま、半永久的に保存されているんですね。短歌に親しむうちに、「自分でも詠んでみたい!」となるかも…。

岡本:まずは「こういう短歌をつくりたい」という方向性があるといいですね。今までに読んだ短歌の中から、「好きな短歌を10首見つけてみよう」なんてことから始めてみるといいと思います。

Oggi:詠む題材は、どうやって見つけるとよいでしょう?

岡本:実は、題材選びがいちばん難しいところです。プロでも人によってまちまちですが、私自身は「私は今、何をうれしいと思っているんだろう」「何が悲しいんだろう」と自分の心を観察し、題材にすることが多いです。最初は、たとえばふだんスマホで写真を撮るような感覚で、「今この瞬間を忘れたくないな」と思うことを短歌にしてみるのもオススメですよ。

Oggi:それもハードルが高いな、と感じたら?

岡本:ネットの短歌投稿サイトなどで、決められたお題に沿って歌をつくる〝テーマ詠〟に挑戦してみるのも手です。たとえば「赤」というテーマなら、りんごや郵便ポストなど赤いものにまつわる思い出を掘り下げてみてもいいし、視覚的に赤いものから離れて、たとえば「赤ちゃん」について詠むなど変化球を投げてみてもいい。限られた条件の中で試行錯誤しているうちに、思いがけないアイディアが生まれることも。

Oggi:面白い! 連想ゲームみたいですね。

短歌のイラスト

岡本:いずれにせよ、慣れないうちは「何を表現するのか」を最初に明確にすることが重要。漠然と言葉を組み立てていくと、途中で迷子になってしまいます。

Oggi:題材が決まったら、いよいよ実際に詠む段階?

岡本:はい。穴埋め問題のような感覚で、5・7・5・7・7の定型にあてはめてみると楽しいですよ。個人的には字あまりや字足らずにせず、限られた字数の中で、自分の言いたいことにぴったりハマる言葉を探し当てるのが好き。最初は窮屈に感じてカタコトになってしまうかもしれませんが(笑)、なじんでくると、短歌のリズムにスッと乗れるときが来ます! しっくりくるまで推敲を重ねてみてください。

Oggi:推敲って、具体的には何をするんですか?

岡本:たとえば「あなた」を「きみ」に言い換えるなど、音数の違う言葉に置き換えてみたり、視点を自分から第三者やモノに変えてみたり、時制を未来や過去にずらしてみたり。粘り強く練り直していくうちに、「この表現しかない!」と確信する瞬間が来るはず! 私は何年も推敲し続けて、いまだに未完成の歌があります。

Oggi:年単位で…⁉

岡本:もちろんどこまでやるかは個人の自由ですが(笑)、そのプロセスも楽しいんです。できた歌は、日記感覚で自分だけで楽しむのももちろんOK。ですが、だれかに読んでもらうことで、もっと表現が磨かれます。新聞歌壇や雑誌の短歌コーナー、ネットの投稿サイトなどに思いきって出してみてもいいですし、SNSで「#tanka」をつけてポストしてみても。歌を画像にしてアップしている人も多いです。また、歌を持ちよって鑑賞・批評し合う歌会も、短歌の楽しみのひとつだと思います。

Oggi:目の前で自分の歌が批評されるんですよね…? いやいや、恐ろしすぎます!

岡本:そんなに怖がらなくて大丈夫ですよ(笑)。短歌は、受け取り手がいて初めて成立する表現でもあると思うんです。第三者の目を通して、「自分の意図が伝わらなかったな」「そんな解釈もあるんだ!」なんて発見があって、なかなか面白いですよ。どうすれば自分の思いを意図した形で届けられるだろう、と考えることで、表現の精度も上がっていきます。

Oggi:ちなみに岡本さんは以前、コピーライターとして働いていたそうですが、その経験が短歌にも生きているのでは?

岡本:確かに、短い言葉で真意を伝えるという点では、コピーライティングと短歌には共通点があります。でも私にとっては、実はまったく別ものなんです。広告などのコピーは世の中とコミュニケーションをとる〝公の言葉〟、短歌は自分のためだけに書く〝個の言葉〟。自分の内面をとことん見つめて深いところまで潜り込み、自分らしい〝裸の言葉〟を見つけるようなイメージです。

短歌を詠んでみたくなったら… ノウハウを知るのも近道

歌詠みビギナーには、実力派の歌人ふたりによる手引書を。

『あなたとわたしの短歌教室』

『あなたとわたしの短歌教室』
(著/服部真里子・山川出版社)

「『あなたとわたしの短歌教室』は5つの課題に取り組むことで、だれでも面白い短歌がつくれるようになる一冊」(岡本さん)

『天才による凡人のための短歌教室』

『天才による凡人のための短歌教室』
(著/木下龍也・ナナロク社)

「『天才による凡人のための短歌教室』は、34,000部のベストセラー(2026年8月時点)。木下龍也さんがネタの集め方や発想法など、創作のすべてを余すことなく教えてくれます」(岡本さん)

短歌を発表してみたくなったら… SNSや投稿サイトがトライしやすい!

「初心者でも気軽に参加できるプラットフォームが豊富。上手に活用して」(岡本さん)

57577

57577
57577

「57577」は毎月30,000首超の短歌が集まるSNSアプリ。

うたたね

うたたね

歌人・とみた 律さん運営の「うたたね」はお題に沿った短歌と感想を送り合える投稿サイト。

うたらば

うたらば

フリーペーパー「うたらば」は、サイトで募集した短歌から歌人・写真家の田中ましろさんが11首を選び、写真を添えて紹介。

ネガティブな思いも短歌にしてお焚き上げ?

Oggi:仕事やプライベートでのイライラやモヤモヤも、短歌にしたらスッキリ… なんて効果も期待できますかね?

岡本:ストレスを発散できるかはわかりませんが(笑)、私は短歌をつくるようになって、怒りや悲しみも、重要な感情だと思うようになりました。自分が本当は何を大切にしているのかを教えてくれるサインなんだなって。昔はハッピーな瞬間だけを歌にしたいと考えていたけれど、今はむしろネガティブな感情に自分らしさが出ると考えて短歌にしています。実際に、過去にどうしても許せない人への気持ちを、海辺で見つけたシーグラスに重ねて、「シーグラス 波にすべては洗われていつか許せる日が来るのかな」という歌にしたことがあります。思い出すのもイヤなできごとや長い間許せないことも、「作品に昇華しちゃえば儲けもの」と、思えるようになりました。

Oggi:結果的に、イヤなことと、距離を取れたんですね。

岡本:そうですね。別に短歌を詠まなくても人は生きていける。でも、詠むことで日常がより豊かになると私は思っています。まずは気になる一首を見つけるところから。世界の見方を変えてくれるような歌に出合えたらラッキーですし、私もそんな歌を詠んでいきたいです。たった31音で遠い世界まで連れ出してくれる短歌の奥深さに、ぜひ触れてみてください!

覚えておきたいキーワード

1. 『水上バス浅草行き』

水上バス浅草行き
(著/岡本真帆・ナナロク社)

2022年3月発売。歌集としては異例の11刷27,000部のロングセラーに(’26年1月時点)。「平日の明るいうちからビール飲む ごらんよビールこれが夏だよ」など、日常の情景を軽やかに綴った作風が、これまで短歌に関心のなかった読者層の共感を呼んだ。

2. 結社

歌人や短歌を学ぶ人が集まり、作品を発表・批評し合う場。定期的に発行される「結社誌」に会員が自作の歌を投稿し、選者の添削・選評を受ける。入会には会費が必要で、毎月の作品提出などルールがある。

3. テーマ詠

あらかじめ決められたテーマやお題に沿って短歌をつくること。「題詠」とも。お題は身近なものから抽象的なものまでさまざま。短歌投稿サイトや雑誌の短歌コーナーなどで作品が募集されることもある。

4. 歌会

歌会

従来は参加者が自作の短歌を持ち寄り批評し合う会。作者を伏せて一首ずつ鑑賞し、解釈について意見を交わす。近年は書店主催のトークイベント形式のものや、お酒を片手に作歌を楽しむものも(写真は57577主催)。SNSやイベントサイトでの告知を要チェック。

2026年Oggi11月号「Oggi大学」より
イラスト/八重樫王明 取材・文/中村茉莉花 構成/酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部

Oggi編集部
Oggi編集部

「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。

プロフィールを見る >>

▼あわせて読みたい!

Today’s Access Ranking

ランキング

2026.10.28

人気のキーワード

PopularKeywords

編集部のおすすめ Recommended

Follow Us!

Oggiの公式SNSで最新情報をゲット!

メールマガジン登録はこちら

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

【消費税の価格表記について】 記事内の価格は基本的に総額(税込)表記です。2021年4月以前の記事に関しては税抜表記の場合もあります。

Feature

スマートフォンプレビュー

LINE公式アカウント 友だち募集中

働くすべての女性に向けて、
今すぐ役立つ「ファッション」「ビューティ」「ライフスタイル」
情報をお届けします。