Oggi.jp

おしゃれもキャリアも。働く女性のWebメディア

line instagram TikTok X facebook search

フリーワードで検索

人気のキーワード

  1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. エンタメ
  4. 働く私にMusik
  5. 【ゴスペラーズ】30年続くチームワークの秘密とは?<DJ・サッシャがナビゲート Vol.1>

LIFESTYLE

2025.04.23

【ゴスペラーズ】30年続くチームワークの秘密とは?<DJ・サッシャがナビゲート Vol.1>

J-WAVEの人気ナビゲーター・サッシャさんが、音楽シーンの第一線で活躍するアーティストと対談する音楽連載「働く私にMusik」。Oggi5月号のゲストはゴスペラーズ! 誌面に入りきらなかった未公開トークを含め、3回にわたってOggi.jpでも対談の模様をお届けします。Vol.1で語り合うのは、結成からの道のり、そして30年続くチームワークについて。

メジャーデビューから30年! 人気連載「働く私にMusik」ゲストはゴスペラーズ

▲右から、ゴスペラーズの安岡さん、黒沢さん、北山さん、村上さん、酒井さん、そしてナビゲーターのサッシャさん。

◆Guest Artist:ゴスペラーズ
北山陽一、黒沢 薫、酒井雄二、村上てつや、安岡 優からなるヴォーカルグループ。1994年にメジャーデビューし、『永遠(とわ)に』『ひとり』など多くのヒット曲を送り出す。他アーティストへの楽曲提供やソロ活動などでも活躍。

◆Navigator:サッシャ
1976年、ドイツ・フランクフルト生まれ。日本語・ドイツ語・英語のトライリンガル。J-WAVE『STEP ONE』ナビゲーター。『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にレギュラー出演するほか、モータースポーツをはじめとするスポーツ実況など多方面で活躍中。

ゴスペラーズの軌跡
1991年 早稲田大学のアカペラサークルで結成
1994年 メンバーチェンジを経て、シングル『Promise』でメジャーデビュー
2000年 シングル『永遠(とわ)に』がロングセールスを記録し、ブレイク
2001年 シングル『ひとり』がアカペラでは初の国内オリコントップ3入り
     NHK紅白歌合戦に初出場。以降、6年連続での出場を果たす
2014年 メジャーデビュー20周年を記念した全都道府県ツアーを開催
2024年 メジャーデビュー30周年を迎え『ゴスペラーズ 30周年記念祭』を開催

【30年前の思い出】バンドブームの終わり…やるならば、違う音楽を

サッシャさん(以下、サ):メジャーデビュー30周年! みなさん、互いの動きを自然に把握しあっているんですね。息ぴったりな撮影に圧倒されました。

黒沢さん(以下、黒):今ノッてるなとか、今ふざけてるなとか、自然にそれぞれの動きを把握しているような気がしますね。

安岡さん(以下、安):でも、デビュー当時は、5人で撮影するってどうしたらいいか僕たちもカメラマンさんも悩むことが多かったよね。

北山さん(以下、北):あの頃は、今みたいに撮った写真をその場ですぐ見ることもできなかったし。演出家の人に協力してもらって、演劇的なアプローチでお互いの気配を感じるトレーニングとかやったよね。

酒井さん(以下、酒):デビュー1〜2年目とか、本当に初期のころだよね。

安:そこからこうして打ち合わせもなしで5人でバランスを取れるようになったのは、本当に経験ですね。全員が同じポーズにならないようにするとか、逆に全員でポーズを揃えるならとことん揃えるとか…。

黒:意識しなくてもお互いを理解して動けるようになった…そんな30年なのかな。でも、今の若い子って撮られ慣れてるから、僕らよりすぐできるようになりそう(笑)。

サ:Oggiは〝働く30歳から〟がメインターゲット。読者が生まれたころから活動しているってすごいですよね。最初は、黒沢さんと村上さんのおふたりから始まったんでしたっけ?

黒:最初の最初は、高3のとき。僕と村上が、クラスメイトと4人組のアカペラグループをつくって文化祭で歌ったのが始まりです。でも、卒業とともに自然解散。その後、早稲田大学のアカペラサークルに入った村上が、別の大学にいた僕を誘ってくれたんです。

サ:その当時、アカペラサークルってまだ珍しかったですよね?

村上さん(以下、村):大きなアカペラサークルがあるのは早稲田くらいでしたね。音楽サークルでいちばん目立てるのはアカペラに違いないと考えていたんですよ。バンドブームの後だったから、それと違うことをやんなきゃって。

サ:バンドをやるよりも、アカペラで歌ったほうが目立てる…と。

村:バンドブームの勝負に間に合ったのが、ミスチルさんやルナシーさん、スピッツさん。僕らのちょっと上の世代で決着がついてしまっていて、僕らと同世代のバンドで残ってるのはグレイさんとかになるのかな。違うことで勝負しなきゃいけないなって思ったんです。

北:「バブルの後はアカペラなんだよ」って言ってたよね。

サ:確かにアカペラならお金もかからない。先見の明があったんですね。そうしてまた、村上さんと黒沢さんが一緒に歌い始めて…。

黒:サークルにキャラクターの濃い同級生がいっぱいいて。その人たちとウマがあって、「俺たちはゴスペラーズだ!」って、持ち曲すらないのにグループ名をつけて(笑)。

サ:そのときからゴスペラーズなんですね!

黒:名前が先にあったんですよ。大学卒業、就職…というタイミングまで同級生メンバーで頑張っていたら、インディーズデビューが決まって。でも、就職を選択するメンバーが出てくるわけです。そうですよね、早稲田のインカレサークルで、東大のやつもいましたし。「…で、どうする?」と。デビューの声はかかっているし、どうやらメジャーもいけそうだという雰囲気まであって。それなら、まだ学生としての時間が残っていて「歌でやっていきたい」と思っている後輩に声をかけようと。村上がそれはもううまく口説いていきました(笑)。

村:安岡は即決だったよね。

安:僕がグループ最年少で、そのときは20歳になったばかり。就職活動が始まってもいなくて、「歌手になれるなら、就職活動より100倍いいな」と思っていたから、2秒で決めました。

村:酒井は3年生の夏休みころだったから、「考える時間を一週間ください」って言ってたよな。

酒:保留しましたね。だけど、どんなにうまいと思っている人も大学を卒業したら音楽をやめていく。その姿を「もったいないな」と思いながら見ていたので、こういう話があるなら行くべきか、と決断しました。

北:メンバーチェンジしてインディーズでお世話になっていたファイルレコードに挨拶にいったら「メジャーデビューの話があるんだけど…」と言われて驚いたよね。「2週間後のレコーディングを5人で頑張ってくれればデビューできるよ! 」って。この5人ではまだ人前で歌ったこともなかったのに(笑)。

【30年続くチームの秘密】ギャラはずっと5等分。だから音楽に素直になれる

サ:ときにソロ活動もしながら、そこから5人で30年も続けてきた。すごくないですか? うまくグループの調和をとり続けられている理由って?

安:リーダー(村上)の采配?

北:うちのリーダーは、ほかに類を見ないリーダーですからね。でも、もともとはリーダー気質ではなかったと思うんですよ。

サ:違うんですか?

北:どちらかというと、参謀タイプだったんじゃないかと思うんですよ。でも「僕らを率いる」と覚悟を決めたのか、結成から数年くらいかなぁ…バッグの中にいつもリーダーシップ論とか組織論の分厚い本が入っていて。

サ:どうすればグループをまとめられるのか、いつも考えていたんですか?

村:本の中身はもう全然覚えてないけど(笑)。でも、ラグビーで〝all for one〟の精神を広めた平尾誠二さんが「結局のところは、できることを、できるタイミングで、できる人間に割り振ることがリーダーの仕事」と話されていて。いいこと言うなぁ、それしかないよなぁと。

サ:そんな村上さんが考える、30年うまく続けられている理由とは?

村:リーダーがよかったからじゃないですか?(笑)

酒:デキるメンバーが4人いるからじゃないですか?(笑)

サ:(笑)! グループの中で、役割分担みたいなものはあるんですか?

村:たとえば作詩は安岡がいちばん多いとか、大枠はあるんだけど、全員がノータッチで終わる案件がない。それがゴスペラーズのいいところなんだと思いますね。

サ:本当に〝all for one〟なんですね。

村:もちろんボリュームの違いとかはあるんだけど。

黒:得意な分野とかはそれぞれにあるからね。

安:デビューライブのときから、ライブ中のMCでしゃべる分量はほぼ一緒にしようとしていましたね。ラジオのトークもオンエア分数が均等になるように回したり…。

サ:細かなところまで徹底してる!

安:5人全員が〝喋るパーソナリティ〟をもっていて、フロントに出ていける気質だったおかげですけどね。たまたまなのか、リーダーの采配でこういうメンバーを集めたのか…。

村:5人ともフロントマンって、アイドルと同じなんですよ(笑)。でもそれを崩さずにやり続けるには、みんなの努力が必要で。ひとりでも「自分はいいや」と思ってしまったら、その瞬間からグループのいろんなことが錆びていってしまうんですよね。これって、プロのスポーツチームも同じで、プロにまでなれば個々人が積み重ねてきた技術は簡単には大崩れしないけど、チームスピリットだけは一晩にして崩壊してしまう。

安:デビュー時に、ギャラを5等分すると決めたのも大きいよね。確かレコード会社の人が話してくれたような気がするんですけど…「今までたくさんの音楽グループが解散してきた。理由は音楽性の違い…なんて言ってるけど、あれは嘘だ。基本的な理由は、女性かお金。前者は生き物だからどうしようもないこともある、でもお金については今の時点で解決できる。全員のキャラを5等分にすると決めてしまえばいい」って。

サ:ゴスペラーズのギャラは、ソロ活動も含めてすべて5等分だというのは有名な話ですけど、デビューしたときに決めたんですか!?

安:「今は100円と200円、100円と1000円くらいの違いかもしれない。だけど、これが億単位になったら、まったく違う話になってくる。100円くらいの違いしかない、デビューする今この瞬間に決めたほうがいい」と言われて、「じゃあ5等分にしましょう」と。これがどういうことになるかというと、自分が全然働かなくても、曲を全然書かなくても、まわりと同じだけ給料が入ってくるんです。だけど、逆にいうと、お金のためじゃなくて自分の音楽を表現したいという気持ちに素直になれるんですよ。

サ:いい意味で、お金のために音楽をやるという意識じゃなくなるんですね。

安:等分じゃないと、「俺にもお金が入ってこないと困るから、この作品に俺の曲も入れてよ」なんて言い始める人が出てくるかもしれない。そうなると、いい曲かどうかの判断基準がぶれてしまうんですよ。

サ:誰かがいい曲を5曲つくっても、それを無視して、全員のギャラを確保するためにそれぞれの曲を1曲ずつ収録する…みたいなことが起きないんですね。

安:たとえばアルバムをつくるとき、作詩作曲のクレジットがメンバーで均等になっていなければいけない、とは僕らは思っていないので。それよりも、今いちばんいいと思う曲を選べばいい。お金ではなく、いい曲やいい作品をつくりたいという気持ちだけに素直になればいいんです。

サ:そして、その結果を5等分するんですね。

安:みんな自分の表現に手を抜く理由はないし、そうやって切磋琢磨した分だけ、相手のこともリスペクトできる。今もそうですけど、リスペクトをしつつ、競争もしているんです。

酒:最近は権利を主張するためだけのコライトが増えていたりもするよね。「ここはこうしたほうがいい」と少し意見しておくだけで、後から権利を主張できるから。

北:「2行目と3行目をひっくり返すだけで変わるよね」なんて言っただけで印税を要求するとかあるらしいよね。

安:たとえば、黒沢が書いた歌詞に対して「ここをこう変えたほうが、韻を踏めていいんじゃない?」と口を出して3文字変えたとして、それにクレジットはいらないんです。だって、俺が意見したのはたったの3文字ですから。そうやって完成した曲の成果は5人で分け合うわけだから、クレジットに名前が記載されているかどうかは関係ない。はっきり言って、どうでもいいんです。

北:「クレジットを入れろ」って、一般的には「ギャラをくれ」ってことだもんね。でも、うちはいらない。僕たちは、つくる曲や音楽に対して「こうありたい」とまっすぐに主張できて、自分の美学を遠慮しあう必要がない。それはギャラが5等分だからなんです。

サ:とはいえ、ソロ活動のギャラまで5等分してるってすごいですよね。

北:ソロで何百万枚売れちゃった…なんてケースが出てきたら、そのときはもう一回ミーティングする? なんて話はしてるんですよ(笑)。

サ:(笑)。

酒:それは機会損失が大きすぎるからね(笑)。

黒:今まで結局起きてないけど(笑)。

北:でも、振り返ってみれば、自分が今もっている音楽スキルの多くはゴスペラーズからもらったものですから。

サ:ゴスペラーズから得たもので仕事をしたわけだから、それは5人のものでしょ、と。

黒:ソロで活動するにしたって、ゴスペラーズで活動していたから「じゃあソロでもやってみませんか?」と声がかかるわけだしね。

北:人によってバランスや考え方は違うと思うけど、僕にとってのソロ活動は「ちょっと外の畑を耕しに行って、収穫したものをグループに持って帰ろう」って感覚なんです。

黒:ソロ活動を「楽しかった」と感じたり、ソロアーティストとしての自意識をもったりもするんだけど、「俺、もうソロでいいんじゃないか」と思ったことは一回もないんです。「じゃあ、戻るか」って気持ちになる。ホームがあるってすごいことだよね。

村:それに、どこに行っても「ゴスペラーズの村上です」と自己紹介する。結局、そういうことなんですよ。

サ:話を聞けば聞くほど、ゴスペラーズというグループがより好きになりますね。最新曲の『will be fine feat. Anly』も、グループとしてのみなさんの魅力が光る一曲でした。

黒:何年も前からデモ段階まではできていて、すごく気に入っていた曲だったんですよ。いつか日の目を見ないかな…と思っていたら、デュエットでのアニメのエンディングテーマのお話をいただいて。メロディをつくりかえる必要がでてきたので、せっかくなので何年も前から組みたかったYaffleくんにサウンドプロデュースをお願いしつつ、でも久々にゴスペラーズだけで作詩作曲をする曲だったから、詩は安岡に書いてもらうようにしました。

サ:TVアニメ『天久鷹央の推理カルテ』エンディング曲でしたね。

安:この作品は医療推理モノなんですけど、アニメ全話分の台本を読ませていただいて「医療もチームワークなんだな」って思ったんです。我々も30年間、チームワークでやってきた。そこを表現できるような歌詩を書きたいな、と。これまでライブで何度も一緒になったAnlyにチームに入ってもらって、彼女の声にさらに力をもらって曲ができあがったのも最高でした。

黒:そうそう。「はじめまして」もいいけれど、仲間とやれるのも幸せなことだからね。Anlyは高音も低音もバッチリ出るから、「ゴスペラーズとAnly」とはならないだろうと思っていたけど、すごくいい歌を歌ってくれて、Yaffleくんもたくさんアイデアをくれて、すごくいいレコーディングができたんです。コーラスアレンジメントも、Yaffleくんがいろいろやってくれたので、それに乗っかってみて…新鮮でしたね。

サ:ふだんは皆さん自身でアレンジされていますよね?

安:特にサビの部分なんかはそうですね。主旋律と副旋律でハモることが多いんですけど、この曲は、主旋律とまた違う主旋律みたいなものがいっぱい出てくるんですよ。そのコーラスにもメロディ、言葉がのっていて、それぞれの役割を持つひとりひとりが主人公である…そんな表現が感じられるんです。

北:サウンドプロデュースをしてくれたYaffleくんがチームとしてのゴスペラーズを生かしてくれたよね。

<Vol.2へ続きます>

【Information】

『ゴスペラーズ坂ツアー2025“G30”』開催中!
メジャーデビュー30周年を記念した全51公演に及ぶ全国ツアー『ゴスペラーズ坂ツアー2025“G30”』を4月〜9月の半年をかけて開催中!
◆全席指定:¥8,500
公演詳細はこちら

『ゴスペラーズ 30周年記念祭@日本武道館』LIVE Blu-ray & DVD4月23日(水)リリース!

メジャーデビュー30周年を記念して開催された『ゴスペラーズ 30周年記念祭』の日本武道館公演の模様を全曲収録。アニバーサリーならではのヒット曲からレア曲までを網羅したセットリスト、アリーナ公演だからこそ叶うステージ演出は必見! [Blu-ray盤]¥10,450・[完全生産限定/DVD盤]¥9,350(ソニー・ミュージックレーベルズ)

最新シングル『will be fine feat. Anly』発売中!

メンバーの安岡 優が作詩、黒沢 薫が作曲を手がけた久しぶりの新曲は、TVアニメ『天久鷹央の推理カルテ』のエンディングテーマ。シンガーソングライター・Anlyをゲストヴォーカルに迎え、Yaffleがサウンドプロデュース。6人のハーモニーが響き合う、洗練されたバラードに。[通常盤]¥1,100(ソニー・ミュージックレーベルズ)

撮影/嶌原佑矢(UM) スタイリスト/久保コウヘイ(サッシャさん分) ヘア&メイク/凜(ゴスペラーズ分)、新地琢磨(Sui/サッシャさん分) 構成/旧井菜月

Today’s Access Ranking

ランキング

2025.04.23

人気のキーワード

PopularKeywords

編集部のおすすめ Recommended

Follow Us!

Oggiの公式SNSで最新情報をゲット!

メールマガジン登録はこちら

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

Oggi5月号にて、197ページのコラムサーフィン「ジェーン・スーの徒然なる日々」のイラストの文字に誤りがありました。
誤)新近感
正)親近感
お詫びして訂正いたします。
【消費税の価格表記について】 記事内の価格は基本的に総額(税込)表記です。2021年4月以前の記事に関しては税抜表記の場合もあります。

Feature

スマートフォンプレビュー

LINE公式アカウント 友だち募集中

働くすべての女性に向けて、
今すぐ役立つ「ファッション」「ビューティ」「ライフスタイル」
情報をお届けします。