重厚なセリフ劇 vs. 身体的躍動を伴う群衆劇、さぁどっちを観る?
Oggi.jpでは、舞台『Take Me Out』2025の魅力をtimelesz原嘉孝さんの言葉でご紹介してきました。
インタビュー前編
timelesz原嘉孝「考え込んでしまうことも、眠れない夜もたくさんある。でもそんな自分も嫌いじゃない」|インタビュー前編
インタビュー後編
timelesz 原 嘉孝「いちばん年下として参加するのは新鮮な感覚。ちょっとは甘えられそうかな」|インタビュー後編
今回は、その『Take Me Out』出演メンバーが勢ぞろいして行われた、制作発表会見の模様をレポート。異なるふたつのチームの見どころも明らかにされました。

誰に感情移入するかによって見え方が変わる作品
『Take Me Out』は、2002年にアメリカで初演されたメジャーリーグが舞台の人気作品。同性愛者であることを告白したスター選手と、取り巻くチーム・エンパイアーズの人々との関係が描かれます。
日本では、2016年に初演、2018年に再演。そして今回の2025年版は、「レジェンドチーム」と「ルーキーチーム」というふたつの異なるカンパニーによって演じられます。

この日、レジェンドチームとルーキーチームとで、野球の腕試し(?)となる野球体験試合を実施。メインビジュアルと同じ、レジェンドチームがストライプ柄、ルーキーチームがブルーのユニフォームに身を包み、円陣を組むところから開始。

野球経験者・未経験者がひとつになって、繰り広げられた試合の結果は、7対11でルーキーチームの勝利となりました。ちなみに「レジェンドチーム」とは、2018年版に出演したメンバー&新キャストによる舞台経験豊富な11人、「ルーキーチーム」は今回のためのオーディションを勝ち抜いたフレッシュな11人。

演出の藤田俊太郎さんいわく、「チームごとにまったく違う演出で、オープニングもエンディングも異なります」とのこと(チーム毎に公演日程が異なります)。

続けて、玉置玲央さん(レジェンドチーム/メイソン・マーゼック役/2018年版にも出演)は、「2018年の再演とは異なるカラーになると思うので、心機一転、新しい『Take Me Out』を作っていきたい」と最新作への意気込みを語ります。

陳内将さん(レジェンドチーム/マルティネス役/2018年版にも出演)からは、「2018年版に出演させていただきましたが、当時よりもさらに“多様性”という言葉を耳にするようになりました。誰に感情移入するかによって見え方が変わる作品なので、“多様な“お客様たちに作品の魅力を届けたい」と、作品を深く理解している経験者ならではのコメントが。
そうなのです、この作品、スポ根物語でも、単純な対立構造でもなく、立場や人種、背景が複雑に絡み合い、まさに“多様な”叫びが凝縮された物語。言い替えれば、野球というステージで繰り広げられる、人間ドラマなのです。

それをよく表していたのが、小山うぃるさん(ルーキーチーム/シェーン・マンギット役)の「いろいろな人のアイデンティティが描かれた作品。私たちの生き様をぜひ観に来てください」という言葉。「野球というシンプルな題材を通して、それぞれの価値観の違いが浮かび上がる作品にしたい」と言う岩崎MARK雄大さん(ルーキーチーム/ロドリゲス役)もまた、物語に深みをもたらす一員となりそうです。
アイドルの自分をこの場では捨てたい

もともと舞台での活躍が多く、今はアイドル活動と二足のわらじで頑張っている原嘉孝さんへの注目も大きい今回の舞台。timeleszの一員として、ライブツアーと舞台期間とが重なり、環境の変化も心配されますが…
「変わらないです」と周囲の懸念を一掃。
「原嘉孝としてtimeleszというグループに入っただけ。役者の自分も捨てずにいる。今までと変わらずひとつひとつの作品に真摯に向かいたい。逆にアイドルの自分をこの場では捨てたいです」と語りました。

原さんは続けて「まだ未熟な面もたくさんありますけど、自分なりにこの作品に取り向き?、取り組み?…たい、です」と最後のほうはモゴモゴ。仲間から「取り組みたい、だね」と助け舟を出され、原さんの愛されキャラぶりがわかるひとコマでした。
演出家の藤田さんの言葉を借りれば、「レジェンドチームは重厚なセリフ劇、ルーキーチームは身体的躍動を伴う群衆劇」とのこと。そう聞けば、両チームとも鑑賞して違いを楽しみたくなるもの。それは難しい…という人は、推しメンを絞ってどちらかのチームを鑑賞するのでもよし。自分なりの楽しみ方で、『Take Me Out』という真剣勝負を観戦しよう!
舞台『Take Me Out』2025
黒人の母と白人の父をもつメジャーリーグのスター選手、ダレン・レミングは、敵チームにいる親友デイビー・バトルの言葉に感化され、ある日突然、ゲイであることを告白。
ダレンのカミングアウトに対し、好意的に受け止める者、怪訝な態度をとる者、嫌悪感をあらわにする者、などチームメイトの反応はさまざま。原さん演じるチーム唯一の日本人選手、タケシ・カワバタは何も語らなかったが、その胸中はどうだったのか。
過去2度にわたる公演と異なるのは、2チーム体制にてそれぞれ違った演出を行うという試み。2018 年の再演を支えたオリジナルメンバーに新メンバーを加えた経験豊かな「レジェンドチーム」。そして一般公募330人の中からオーディションを勝ち抜いた11人の新メンバーのみで構成される「ルーキーチーム」。
東京公演は2025 年5月17日(土)~6月 8日(日) 全30公演(レジェンドチーム 20回、ルーキーチーム 10回)。その後、名古屋、岡山、兵庫で公演(いずれもレジェンドチーム)。
野球分撮影/田中亜紀 取材・文/南 ゆかり
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