テーブルウェアスタイリスト連合会公式インテリアブックよりご紹介!
プロップスタイリストは広告・雑誌・テレビCMなどで物をスタイリングする仕事です。数々の現場で活躍する実力派スタイリストの二本柳志津香さんが、撮影現場で培ったインテリアコーディネートのスキルや生活雑貨の選び方を紹介します。
家電だって自分好みに変えられる
仕事でスタイリングをするときに一番最初に考える部分は、大きなものから考えるか、主役となるものに合わせて、そのまわりを考えていくかのどちらかです。住まいにおいてはどうかというと、床や壁などの面積の広い部分に続いて、大型家具や冷蔵庫などの家電製品も〝大きなもの〞として考えられるのではないかと思います。
わが家のキッチンはダイニングとひと続きで、どこに立ってもキッチン家電が視界に入ります。模様替えを頻繁に行うので、この前まではメインカラーがベージュ系だったのに、今は違う色の雑貨がふえてきて、ふと見るとしっくりなじんでいた家電製品が浮いて見えるといったケースがたびたび起こります。だからといって、家電製品をそのたびに買い替えることはできません。そんなときにはあれこれとなじませる工夫を試みます。
たとえば、冷蔵庫にマグネットのフックをつけてキッチンクロスを吊り下げるだけでも色のトーンをそろえることができます。また、カッティングシートを張って本体の色を変えたり、家電製品の周囲に置くアイテムによっても印象が違って見えたり、無機質な存在感が緩和されたりもします。
キッチンにいくつも並ぶ家電製品が、なんだかしっくりこないという方がいらっしゃいましたら、ぜひお試しください。
隠したいお掃除グッズ見せたいお掃除グッズ
以前は、お掃除グッズはすべて「隠したい派」でした。ですが、デメリットは見えないように収納していることで、手軽に取り出してササッと掃除ができないということ。気づいたときに〝ササッと掃除〞がいいに決まっているのですが、これがなかなか難しい。
さて、そんなズボラ代表の私がこれはよいと思っているのが、隠したいお掃除グッズと見せたいお掃除グッズに分けて考える方法です。ササッとやったほうがよい掃除には、好きなテイストの道具をそろえて、しまい込まずに、手に取りやすい場所にセット。それからというもの、ズボラ加減が少し改善された気がするのです。もちろん、これだけではすべての掃除はできませんので、〝じっくり掃除〞用でパッケージやデザインが目立つものは収納して、商品の選び方も分けることにしています。
掃除家電の広告を多く担当している私ですが、今はインテリアになじむベージュカラーの掃除機なども登場しています。昨今の掃除家電事情によって、見せたいお掃除グッズの幅も広がっていきそうです。
書類の収納をラクチンかつスマートに
最近でこそ、iPadで資料をごらんいただきながら行う仕事が多くなったものの、やはり書類は相も変わらず多いです。几帳面かズボラかといったら、間違いなくズボラな性格ですが、書類の整理だけはきちんとしたいと理想は高め。実は、過去に何度も書類収納で失敗を重ねているのです……。
そんなこともあって、日頃から書類の整理グッズばかり見ていたせいか、私のスマホにおすすめ商品として広告が出てきたのが「WORKERS’BOX(ワーカーズボックス)」。見た目も好みで、客観的に見ても便利そうとひとつ買ってみると、本当に使いやすかったのでもうひとつ購入しました。
用途ごとに写真のように分けて収納できるところが、きちんとしたいという理想を持ったズボラな私にぴったりハマったのです。さらに、このワーカーズボックスに合わせて書類整理棚をDIYをして完璧な状態となったほど、気に入っています。そのほか、箱に入れるだけの収納も好き。さまざまなシンプルな箱を買っては書類収納に活用しています。
嫌いな家事のテンションを上げる
ランドリールームは、私の嫌いな家事を徹底的に補ってくれるアイテムが多く並ぶ場所です。まず、嫌いな洗濯をする場所に行きたくなるように、好きなもので構成していきました。好きな古材風の棚、海外ランドリー風の洗濯物かごなど、気分を盛り上げてくれるものが中心です。
そこにズボラならではの価値観で、日用品を選びました。昔、家じゅうのタオルを真っ白にしていたことがあります。その結果、黄ばんできて漂白が必要になってガッカリしました。ならばと、私がここ10年そろえているのがグレーのタオル。これなら、真っ白のタオルより気兼ねなく使いつづけられます。
洗剤類は、おしゃれなボトルに入れ替えるのも面倒なので、パッケージラベルをはがして使っています。よく使う種類なので、ラベルがなくても困ることはありません。それができない容器の洗剤は、シルバーの缶にまとめて収納しています。
洗濯嫌いの私の好きな家事はといえば、意外に思われるかもしれませんが、アイロンがけ。それでも毎日のことなので、同じ場所で済ませるようにしています。洗って乾燥させた洋服を吊るして、この場所でアイロンをかけられるように、ドアにちょうどいい高さのフックをつけました。あとはスチームアイロンを当てるだけです。
これで、洗濯からアイロンがけまでをひとつの場所で完結できるようになりました。嫌いな家事から好きな家事へと流れていくのが、私のルーティンになっています。
オープンクロゼットはカラーコーディネートですっきり!
寝室のすみにあるオープンクロゼットにかける洋服はカラー別に分け、濃淡でグラデーションになるよう並べています。この方法はグルーピングといい、装飾現場ではよく行なう方法なのですが、カラー別に吊るしてあるとクロゼットはすっきり見えますし、何より洋服をコーディネートするときにスムーズで選びやすいのです。
洋服だけでなく、バッグや帽子もグルーピングやカラーコーディネートしてみると、クロゼットの中まで見せたくなるような気持ちのいいコーナーになります。わが家のように家族とクロゼットを共用している場合は、ハンガーの色を変えたり、目で見て判別しやすくすると誰の服かがすぐわかり、間違えることもなくなります。
スタイリストが実践! 好きなものと上手につき合うインテリア
二本柳志津香『スタイリストが実践! 好きなものと上手につき合うインテリア:テーブルウェアスタイリスト連合会公式インテリアブック』(主婦と生活社)
プロップスタイリスト 二本柳志津香
一般社団法人テーブルウェアスタイリスト連合会(TWSA)代表理事。株式会社空間スタイリング社代表取締役。CM・広告・カタログ・雑誌・書籍・空間からプロップまで手がけるスタイリストで、国家資格商品装飾展示技能士。日本で初めて食器のスタイリング資格・テーブルウェアスタイリストを創設。スタイリングやディスプレイ業のほか、食器の専門家としてイベント出演やテーブルウェアスタイリストの育成に取り組む。
Instagram:@nippon.shizuka