大河ドラマ「光る君へ」一条天皇役の塩野瑛久、会見中に目を潤ませるひと幕も

塩野瑛久さん、役への想いを語る

「光る君へコラボスペシャル2 源氏物語」の会見登壇者は一条天皇役が話題の塩野瑛久さん、そして河井雅也 チーフ・プロデューサー（「歴史探偵」 制作統括）、内田ゆきチーフ・プロデューサー（「光る君へ」 制作統括）。会見当日、クランクアップとなった塩野さん。撮影期間を振り返ってのお話から会見がスタートしました。

――撮影期間を振り返っていかがですか？

塩野さん（以下敬称略）：すごく濃かったなという印象です。初めての大河ドラマだったので、あっという間と言われればあっという間に感じましたし、その中で一条天皇と向き合った時間は、本当に楽しかった時間は最初のうちだけで、その後はもがいて苦しんで、そして自分の大切な人の死とも向き合い、すごく濃い時間が流れていったという感じでした。

――内田さんから見ていかがでしたか？

内田さん（以下敬称略）：塩野さんは『光る君へ』でオーディションで選ばれた方の中では本当に大きな役で、かなり難しい役でもあります。寵愛し自分が成長する姿を全て見守ってくれていた年上の定子と、年下のはるかに子供っぽい姫、『どちらにとって魅力があるように演じてね』と最初にお願いしました。天皇という役で、他の貴族たちとはまた違う大変さもあったと思います。

でも、塩野さんがすごく努力されていて、そしてとても成長されたなと思いました。大石静さんや演出チーフの中島と「はじめは心配もあったけれども、本人がすごく頑張ってくれていて、いかにこの役をきちんと演じようとしているかというのがよく伝わってくるよね」という話をしていたんです。そして、最近ではそんな努力を飛び越えたように「一条天皇といえば塩野さん」と、視聴者の方々もスタッフ、誰もが思えるようになっており非常に感謝しています。

塩野：泣いちゃう(と目がうっすら潤む塩野さん)。

内田：（泣いて）いいのよ。

このやりとりに記者から笑いがもれるひと幕も。

河井さん（以下敬称略）：『歴史探偵』は放送が始まってから4年目でして、歴史の謎にNHKのアナウンサーが果敢に挑んでいくという内容になっています。基本歴史の新しい発見や、今まで取り上げられてこなかったことにフィーチャーしていく番組なのですが、一昨年から大河ドラマとのコラボを行なっています。狙いとしては歴史のマニアックなファンの方のほか、今から歴史を勉強したり、大河ドラマを見て歴史に興味をもった人に、プラスαの部分を上手く伝えていくこと。お正月に一度『光る君へ』とコラボさせていただいたのですが、8月28日の放送は塩野さんと柄本さんのお2人にご出演いただくことになっています。

河井さんの挨拶ののち、『歴史探偵』の所長・佐藤二朗さんからのメッセージが。その中で、「なんといっても、ゲストの道長役の柄本佑さん、一条天皇役の塩野瑛久さん、このお二方とのトークが非常に面白くて、道長と一条天皇の心の内にどんどん迫っていく回になっています。塩野さんからは『一条天皇の反抗期』という、非常にパワーワードが飛び出したりして、めちゃくちゃ盛り上がりました。最後の方なんかは両膝を抱えて座りだして、ここは自宅のリビングか！？というぐらいリラックスしていただいた」という情報が。このメッセージを聞いた塩野さんは思わず照れ笑い。

河井「放送を見ると柄本さんの道長と塩野さんの一条天皇は緊張感がある空気が繰り広げられていますが、今回のスタジオでは全く違います(笑)。柔らかい感じで、夜の8時（大河）に出ている人の素顔はこうだったんだと思えるようなものになっていますので、ぜひご覧いただければと思います。

――定子とのシーンが印象的だったのですが、定子が亡くなる直前に二人きりのシーンがでの思い出などを教えてください。

塩野：近くにいて支え合っているような、どこかすれ違い続けるような感じだったかなと僕は感じました。一条天皇は定子しか見えていないぐらいの寵愛ぶりだったと思うのですが、定子はそうではなく、全てを救いたいし支えたい。どうにかしてみんなが幸せになって欲しいという気持ちがきっとあったと思うんです。だから“二人でいればなんとかなる”ということではなく、そこのすれ違いはすごく感じていました。そして、自分の中では全てわかったうえで“定子、定子”と言っていたんだろうという思いを乗せながら演じていました。一条天皇はまだ若いですが、ずっと向き合い続けて来た女性の心の機微が見えていないわけではないのかなと思い、それを踏まえた上で演じさせてもらいました。

――定子役の高畑充希さんは定子は心を偽っていないと思って演じられていたそうですが、塩野さん的にはどう捉えていましたか？

塩野：心が自分に向いていようがなかろうが、とにかくこの狭い世界で、自分にとって寄り添える人が定子で、定子を愛するということを一条天皇の人生の中で大事にすると決めていたと思っています。もちろん政（まつりごと）は大事だとは思うのですが、それだけではなく、大事にしなければいけないものが一条天皇には見えていたんじゃないかと捉えています。

――改めて高畑さんとの共演を振り返ってみていかがでしたか？

塩野：以前共演して以来、お芝居を観続けていたので安心感もありましたし、信頼感をもって、胸を借りるつもりでやらせていただきました。

一条天皇は走る天皇!?

――天皇かつ平安時代という特殊な役どころでしたが、準備したことや苦労したことなどがあれば教えてください。

塩野：所作に関しては、細かいことは現場で教えていただきながらやっていたんですけど、僕は教えてもらうことはそこまで多くなかったんです。というのも、天皇なので位が一番上なので、例えば、目上の人に対して頭を下げながら一歩下がってお尻を向けないようにしてから立ち去るというようなことがなく、ほかの皆さんほどは苦労していないかなと思います。

内田：結構走ってましたよね(笑)。

塩野：そうなんです。走ってるんです。定子に会いに行くときに。

内田：確か、次回もひと走りありますよね。

塩野：あります、あります！ めちゃくちゃ走っていますし、走る天皇ですよね。

（記者から思わず笑いがもれる）

内田：自分の脚よりはるかに長い袴をはいて、裾をずっと後ろに流して動いているので、結構走るの大変ですよね。

塩野：大変ですね。走るシーンのおかげで、衣装に慣れましてあまり苦労しなかったのかもしれないですね。あと、日焼けはかなり気にしました。首まである日よけのフェイスマスクをつけたり、日傘さしたりしていました。今日クランクアップでしたが、あとワンシーンだからと思って油断してしまい、ちょっと焼けました(笑) そしたらみんなから「あれ、ちょっと黒くなった？」と言われちゃいました。

内田：肌が白いのを見慣れてますからね(笑)。

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――役を通じてですが、この世の頂点から見た景色はいかがでしたか？

塩野：頂点という気は全くしなかったです。全てが自分のものというよりは、悩むことの方が多かったんです。僕の印象では、最初のとき以外はずっと眉間にしわを寄せてるなというようなシーンが続いていましたから。

――『歴史探偵』では、『源氏物語』の写本を手にしていましたが、ドラマの中で手に取ったものとの違いは何か感じましたか？

塩野：違和感はなかったです。そのぐらい小道具が素晴らしかったと思います。

内田：良かったです。ドラマの中でも、『源氏物語』の冊子、書かれている紙や書き方はこれまでの大河にないくらい、文具から紙からアイデアを出し合いスタッフ一同頭をひねりながら作っているので、ぜひ天皇ともども観ていただけたらと思います。

――道長は一条天皇の心を彰子に向けるために『源氏物語』を豪華な写本を渡したということですが、その思いは伝わっていたのでしょうか？

河井：どちらかというと、番組で描かれているのは、道長の策士ぶりの話でして、これは一つの説なのですが、より一条天皇を引き付けるために、豪華で流麗なものを作ったとされています。

塩野：道長と一条天皇は後半になるとバチバチにな印象を抱かれがちですが、そこには信頼関係みたいなものもきっとあったのかなと、この『歴史探偵』を通してより感じました。一条天皇が好きだった書物というのもそうですし、その豪華本を作るということは、そもそも（一条天皇に）捧げるものが一条天皇が好きな物を熟知していないと、道長もそこに辿り着かないと思います。道長も一条天皇のことを深く知ろうとしていただろうし、一条天皇もそれを快く受け入れていた。意見の対立はあれど、任せられるのは、お互いしかいないと思っていたのかなと思います。

――番組を通して役に対する理解も深まった？

塩野：はい。そこついては番組を見ていただけると！ 佑さんとも「ほぉ～」って言いながら驚嘆しているので、ぜひご覧ください。

――吉高由里子さんがXで「帝が美しい」と書いて話題になりました。その他「彫刻のように美しい」とか「品がある」という評判に塩野さんはどのように受け止めていらっしゃいますか。

塩野：いつも通りの僕ということで(とニヤリ)

内田：すごいね(笑)。

（場内笑い）

塩野：冗談です！ 内田さんや大石静さん、中島さん（チーフ演出・中島由貴氏）から、「とにかく気品をもっていて欲しい」と言われました。他の公卿の方とは流れる時間が少し異なり、目線ひとつ表情ひとつにしてもゆっくりな雰囲気を意識していました、

――そうすると、この反応は嬉しいものですか？

塩野：もちろん！ とてもうれしいですし、ありがたく思っています。

和やかな雰囲気で会見は終了。フォトセッションではポーズを確認したり、退出時に深々頭を下げる塩野さん。穏やかな口調でひとつひとつの質問に丁寧に答えるなど、この日も抜群に真摯な姿が見られました。

NEWS！
塩野瑛久さんが”大河受け”で「歴史探偵」を紹介

8/25（日）の大河ドラマ「光る君へ」放送後の番組PR枠（「光る君へ紀行」放送直後）で、8/28「歴史探偵」の30秒PR映像を放送予定。そのPR映像には塩野瑛久さんが出演し、直前に放送した「光る君へ」についてのコメントを交えながら、次回放送の「歴史探偵」をPR。ここだけで放送する特別版！ 塩野さんの“朝ドラ受げならぬ”大河受げ”にも注目を。

歴史探偵「光る君へコラボスペシャル2 源氏物語」
8月28日（水）午後10:00～10:45　NHK総合
【ゲスト】柄本佑（「光る君へ」原道長役）、塩野瑛久（「光る君へ」一条天皇役）
「歴史探偵」と「光る君へ」がお届けするコラボスペシャル、源氏物語の誕生の秘密だ。現存する最古の写本の一つを調べると、紫式部に源氏物語を書かせた人物が浮かび上がってきた。ときの最高権力者・藤原道長だ。一条天皇の愛を娘の彰子に向けさせるため、紫式部に源氏物語を書かせたという。愛憎渦巻く宮中の駆け引きや源氏物語に秘められた謎。藤原道長の柄本佑さん、一条天皇役の塩野瑛久さんをゲストにむかえ熱くトークする。