【スタイリストが解説】ウールってどんな素材?
艶のある表面やしっとりとした肌触りなどで人気を集めるウール素材の服。暖かさはもちろん、リッチな風合いも魅力のひとつです。そんなウールの特徴やメリット、デメリットについて、スタイリスト・城長さくらさんに教えてもらいました。
ウール=羊毛が一般的
「ウールの一般的な原料は羊毛です。羊の毛を刈り取り紡いだものがウール糸。中でも『メリノ種』と言う羊の品種からつくられた『メリノウール』はとても上質で、ジャケットやコートなどに好んで使われています」(スタイリスト・城長さくらさん 以下「」同)
ほかの動物の毛をウールと呼ぶこともある
「ウール=羊毛が一般的ですが、羊毛以外にも広い意味でウールと呼ばれている毛糸があります。それは、ヤギの毛を原料とするカシミアやウサギの毛からつくられたアンゴラ、アルパカの毛糸など。ただし、質感や表面の艶感などがそれぞれ違うので『カシミアニット』『アンゴラマフラー」と言うように、それぞれの名前で表記されることのほうが多いと思います」
毛・綿との違い
毛との違い
「”ウール”が一般的に羊毛を指すのに対し、”毛”は羊毛、カシミア、アンゴラ、アルパカなど動物の毛全般をさします」
綿との違い
「綿は植物の綿花からつくられた繊維。ウールは動物の毛からつくられた繊維なので、特性や風合いが大きく異なります」
ウール生地のメリット
ウールがこれほどまでに広く愛用されているのは、数々の優れた特性があるから。どのような利点があるのか、詳しく見ていきましょう。
1.保湿性に優れており暖かい
「ウールは毛と毛の間に空気を多く含むので暖かく、アウターやニットなど寒い時期のアイテムに使われることが多いですね」
2.吸湿性に優れている
「ウールは吸湿性にとても優れています。ウールというと冬の衣料を思い浮かべると思いますが、空気中の湿気を吸収し水分が蒸発するときに気化熱を奪うため、実は夏に着ても涼しく感じる素材なんですよ」
3.シワになりにくい
「ウールは弾性回復力に優れた繊維なので、シワになりにくいのもうれしいポイント。シワがついてしまっても、軽くスチームをあてるだけで伸びてくれます」
4.型くずれしにくい
「弾力性と反発性を持つため、型崩れもしにくく、ジャケットやコートなど構築的なデザインのアイテムにぴったりな繊維です」
ウール生地のデメリット
いいことだらけのように思えるウールですが、お手入れや保管については、多少マイナス面もあるようです。
1.洗濯すると縮みやすい
「水に濡れると繊維同士が絡み合い、フェルトの様になり縮んでしまいます。基本的にはドライクリーニングがおすすめ。ホームクリーニングの場合は、押し洗いで摩擦を極力なくすことが大事」
2.毛玉ができやすい
「繊維の表面が鱗状になっているので、繊維が絡みやすく毛玉になりやすいデメリットがあります」
3.虫に食われやすい
「天然素材なので虫食いに遭いやすい素材と言えます。長期保管の際は、必ず防虫剤などを使用しましょう」
ウール製品を使ったおすすめコーディネート
ウールの特性を見てきたところで、ここからは実際にどのようなアイテムに使われているのか、その着こなしとともにご紹介します。
コート|ハーフ丈ならボリュームスカートとも好相性
ジャケット感覚で軽やかにはおれるハーフコート。コートで重心を上げることで、ハリのある切り替えスカートもバランスよく着こなせる。トラッドなチェック柄スカートに重めのブーツを合わせることで、全身モダンにまとめて。
ジャケット|正反対の素材をミックスして繊細な女っぽさを
今季のウールジャケットは、大きすぎず、きちんと見える程よいゆとりの肩幅がベスト。着丈長めのボクシー型なら、ロングスカート、細身のパンツ、ワイドパンツなどどんなボトムにも合わせやすい。ウールテーラードに同素材のボトムを合わせると重たく見えるので、サテンスカートのようなウールと正反対の素材を組み合わせて軽やかに着こなしたい。
カーディガン|グレーなら合わせやすく今っぽさも断トツ
地厚で暖かいから、これ1枚でもお出かけできそう。ニュアンスのあるグレーはデニムとも相性がよく、程よいゆるさが今っぽさを叶えてくれる。
シャツ|ワークジャケットをロングタイトで女っぷりよく着こなして
フラップ付きポケットとしっかりした前立て。ワークディテールのウールシャツはジャケット並みの着映え力がありながら、気負わずさらっとはおれるのがいい。メンズっぽいデザインなので、サイドスリット入りのタイトスカートを合わせて女らしさをひとさじ。
パンツ|ブラウン系でまとめた大人のトラッドスタイル
センタープレス入りパンツできれいめをキープしておけば、ロゴT合わせも大人の洒落感スタイルとして成立。全体をシックなブラウンでまとめつつ、白Tやスニーカーで抜け感と遊び心をプラスして!
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最後に
暖かくて吸湿性も高いウールは、秋冬シーズンのスタイリングになくてはならない存在。ウールのデメリットも理解しつつ、正しいお手入れをしてお気に入りアイテムを長く愛用したいですね。
監修者:スタイリスト 城長さくら
スタイリスト・望月律子氏に師事し、独立。シンプルなアイテムを色やシルエットの組み合わせでおしゃれに味つけするスタイリングで人気上昇中! 現在は『Oggi』などの女性誌や広告、カタログなどで活躍の場を広げている。Instagram(@shiroosa)では日々のスタイリングを公開中。おしゃれのヒントが詰まった投稿はどれも見逃せない。