【スタイリストが解説】スエードとは?
光沢のないマットな質感が人気のスエード(suede)。その特徴や、ヌバック、ベロア、バックスキンといった他の起毛素材との違いをスタイリスト・城長さくらさんに教えてもらいましょう。
スエードの名前の由来は?
「スエードの名前の由来は『スウェーデン』から来ています。『ガーント・ドゥ・スウェード(スウェード製の手袋)』と呼ばれる、スウェーデンで生まれた技法を使った手袋がフランスで流行し、その製法を『スエード』と呼ぶようになったそう。そのため、語源は『スウェーデン』ですが、スエードという言葉自体はフランス語ということですね」(スタイリスト・城長さくらさん 以下「」同)
スエード生地の特徴
「主に子羊や子牛の皮の裏面を起毛させた生地のことで、毛足が短くやわらかい特徴があります。そのため、秋冬シーズンのジャケットやスカート、パンツ、ワンピースなどに多く使われる生地。スエードのバッグや靴も男女を問わず、人気があります」
エコスエードとは
「スエードの質感や風合いを模してつくられた生地で、原料にはポリエステルやアクリル素材が多く使われています。お手入れが楽で気軽に使えるところがうれしいポイント。軽くて発色もいいため、年々エコスエードを使ったアイテムが増えている気がします」
ヌバック・ベロア・バックスキンとの違い
スエードと同じように起毛感が特徴的な素材に、ヌバック、ベロア、バックスキンがあります。見た目や手触りも少し似ていますが、どこが違うのでしょうか?
【ヌバック】
「スエードが皮裏面を起毛させているのに対し、ヌバックは皮表面を起毛させています。皮の表裏どちらを起毛させるかによって呼び名が変わります」
【ベロア】
「スエードと同じく革裏面を起毛させたもの。ただし、ベロアの原皮には成牛が使われることが多く、子牛や子羊が使われるスエードに比べるて毛足が長く厚みがあるのが特徴です。厚みがある分、丈夫なためアウトドアシューズなどにも使われます」
【バックスキン】
「バックスキンは鹿革の表面を起毛させたもののこと。一方、スエードには子牛や子羊の皮が使われます」
スエードのお手入れ方法
起毛感のあるスエードはお手入れが難しいというイメージがあるかもしれませんが、下の2点に注意すれば大丈夫! 特別なケアをせずとも、きれいな状態を保つことができます。
着用前に防水スプレーをかける
「スエードは起毛感があるため、一般的なスムースレザーよりも水が浸透しにくいと言われています。ですが、まったく水が染み込まないというわけではないので、雨の日は着用前に防水スプレーをかけて、水分の浸透を防ぎましょう」
着用後はブラッシングを
「スエードの表面は毛羽立っているため、ほこりやゴミが付着しやすいのが難点。使っているうちに手先が寝てしまったり、逆に毛羽立ってしまったり。そのため、使用後にブラッシングして毛並みを整える必要があります。それだけでも、ほこりやゴミが取れて、美しい毛並みをキープすることができますよ」
スエードを使ったおすすめアイテム
スエードの正しいお手入れ方法を確認したところで、スエードアイテムを使ったスタイリング実例をピックアップ。通勤にも活躍するタイトスカートや遊び心のある小物など、コーディネートのポイントになるアイテムなので、1枚持っておくと便利ということがよくわかるかと思います。
スカート|エコスエードで軽やかかつ上品に
キャメルのエコスエードスカートは、気温が下がり切らない晩夏や初秋におすすめ。きちんと感のあるタイトなシルエットは通勤にも◎! シンプルな黒ニットや白シャツ合わせも品よくキマる。
残暑コーデは透けニットとエコスエードがいい感じ! 9月初旬のきれいめ通勤コーデ
靴|肌なじみのいいスエード素材なら、きれい色にも挑戦しやすい
ほんのりグレーを含んだブルーパンプスで着こなしをハンサム美人に。開放感のあるバックストラップは一部がゴムになっているので、伸縮性があって、着脱しやすいのもうれしい。
きれい色「スエードパンプス」は、イエロー、グリーン、ブルーが狙い目!
バッグ|異素材コンビと豊富なカラーが魅力
メッシュとスエードを組み合わせたトートバッグ。シンプルなデザインも素材をMIXすることで鮮度がUP!
最後に
マットな色合いや滑らかな肌触りが魅力のスエード。秋冬シーズンには特に活躍する生地なので、その特徴やお手入れ方法を見直し、コーディネートにどんどん取り入れていきましょう。
監修者:スタイリスト 城長さくら
スタイリスト・望月律子氏に師事し、独立。シンプルなアイテムを色やシルエットの組み合わせでおしゃれに味つけするスタイリングで人気上昇中! 現在は『Oggi』などの女性誌や広告、カタログなどで活躍の場を広げている。Instagram(@shiroosa)では日々のスタイリングを公開中。おしゃれのヒントが詰まった投稿はどれも見逃せない。