【スタイリストが解説】ベロアとは?
華やかさとともにリラクシーな雰囲気も併せもつベロアは、秋冬シーズン大活躍する生地。滑らかでやわらかな風合いがありつつ、比較的安価なのも魅力のひとつです。今回はそんなベロア生地について、スタイリスト・城長さくらさんに教えてもらいました。
ベロアという素材はない!
ベロアは、起毛感があり滑らかで光沢のある生地。ただし、「ベロア」という特定の素材があるわけではありません。そのため、綿原料やコットンからつくられることもあれば、ポリエステルなどの合成繊維からつくられることも。
「ベロアはそのやわらかな手触りが特徴のひとつですが、これはパイル糸を短くカットしてつくることにより生まれる質感。このやわらかさが高級生地であるベルベットに似ていることから、ベルベットの代替生地として昔から親しまれてきました」
ベロア生地の特徴
華やかな見ためとソフトな肌触りが人気のベロア。その特徴を改めて見ていきましょう。
1.艶があり高級感が出る
「高級感のある艶が特徴的で、高見えする素材。エレガントなワンピースやリラックスパンツ、バッグ、靴などいろいろなアイテムに活用されています」(スタイリスト・城長さくらさん 以下「」同)
2.ふんわりとした肌触り
「独特な編み方をすることで伸縮性が生まれ、ふんわりとやわらかいのが特徴的。肌触りがよいので、ルームウエアやクッションカバーなどにも人気の生地」
3.保温性が高く暖かい
「主に綿やポリエステル、レーヨンなどでつくられているため、保湿性が高いのも特徴のひとつ。そのため、秋冬シーズンの衣類に多く使われています」
ベルベット・別珍との違い
起毛感と独特の艶という共通点があるベルベットと別珍。生地をつくる工程も似ているようですが、どこが異なるのでしょうか?
ベルベットとの違い
「ベルベットはシルクやレーヨン、アセテートなどでつくられているのでとても高価。原料の違いによる値段の差がいちばんの違いです」
別珍との違い
「主な原料が絹やポリエステルというところはベロアと一緒。ただし、別珍は毛足が短くベロアよりやや硬めな質感のため、ドレスや帽子、下駄の鼻緒などに使われることが多いようです」
お手入れで気をつけるべき点
独特の手触りや風合いが魅力のベロア。その艶や質感を保つための注意点をご紹介します。
1.色落ちしやすいため他のものとわける
「非常にデリケートな生地なので、色落ち、色移り防止のために洗濯する際は他のものとわけてください」
2.おしゃれ着用洗剤で優しく洗う
「洗い不可な場合はクリーニングへ。自宅洗いOKの場合は素材への負担が少ない、おしゃれ着用洗剤で優しく洗いましょう」
3.乾燥機は避ける
「熱に弱く、熱によって質感が損なわれてしまったり、生地が縮む可能性があるので、乾燥機は避けてください」
4.シワを伸ばしたいときはスチームアイロンがおすすめ
「ベロアに直接アイロンをかけると起毛感が潰れてしまうので絶対にNG! 表面がテカテカしてしまうこともあります。そのため、ベロアはスチームアイロンの蒸気でシワを伸ばすとよいでしょう」
5.着用後はブラッシングを!
「表面がパイル状になっているため、ホコリが絡まりやすいのが難点。着用後は必ずブラッシングし、ホコリをこまめに落とすのが美しさを保つ秘訣です」
ベロア生地を使ったファッションアイテム
美しい発色と温かみのある質感が魅力のベロア。その特徴を生かした衣類や小物をご紹介します。
【Tシャツ】
重たく光るベロア生地のTシャツは、軽やかなサテンスカートとも好相性。こっくりとしたオレンジカラーとふんわりとした起毛感が独特のニュアンスを生み、秋らしい装いに。
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【スカート】
きれい色も、温かみのあるベロア生地なら一気に秋らしく。ほのかな光沢感がピンクの甘さを抑え、大人っぽく着こなせる。
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【バッグ】
キャンディの包み紙から着想を得たという、丸みのあるフォルムが愛らしいミニバッグ。ベロアならではの発色のよさも魅力。まだ気温が下がりきらない時期は、バッグのような小物で秋らしい生地を取り入れるのも手。
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最後に
鮮やかな発色や独特の艶が人気のベロア生地。その特徴やお手入れ方法をご紹介しました。気軽に洗濯しにくい生地だからこそ、使用後のこまめなブラッシングが重要。正しいお手入れを続けて、ベロアのやわらかい肌触りや美しさをキープしましょ♪
監修者:スタイリスト 城長さくら
スタイリスト・望月律子氏に師事し、独立。シンプルなアイテムを色やシルエットの組み合わせでおしゃれに味つけするスタイリングで人気上昇中! 現在は『Oggi』などの女性誌や広告、カタログなどで活躍の場を広げている。Instagram(@shiroosa)では日々のスタイリングを公開中。おしゃれのヒントが詰まった投稿はどれも見逃せない。