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2022.06.02

雨の時期の備えのために… “線状降水帯予測”開始!【気象予報士・太田絢子が解説】

梅雨入りをした6月は本格的に雨の季節に。そこで6月1日より開始される線状降水帯予測について、気象予報士の太田絢子が解説します。

気象予報士 太田絢子

いよいよ梅雨入り!

6月に入ると本州でも多くの地域で梅雨入りし、雨の季節がやってきます。

そんななか、気象庁は6月1日より、線状降水帯予測を開始します。そもそも線状降水帯とは何なのか、どんな情報が発表されるようになるのか解説します!

ニュースで耳にする「線状降水帯」とは

大雨のニュースなどで、「線状降水帯」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。線状降⽔帯は集中豪⾬をもたらす原因となる現象で、積乱雲が連なることで発⽣します。

ひとつの積乱雲がもたらす⾬量は数10mmですが、積乱雲が⾵上側で次々と発⽣して連なると、狭い範囲の同じ場所で強い⾬が数時間にわたって降り続き、⾬量が100mm〜数100mmにもなります。

線状降⽔帯は⻑さ50〜300km程度、幅20〜50km程度と形が線状です。この線状降水帯による大雨で、毎年のように甚大な被害が引き起こされています。

6月1日から何が変わる?

線状降水帯は大きな災害につながる危険な現象ですが、正確な予測は難しく、これまでは線状降水帯が発生した後に、線状降水帯によって非常に激しい雨が降り続いている旨が発表されていました。

ところが、気象庁は雨雲の元となる水蒸気の観測などの強化や、予測技術の開発などを早急にすすめ、今年の6月1日から線状降水帯の「予測」を始めることになったのです。

気象庁は、まずは「九州北部」など大まかな地域を対象に、半日前から情報提供し、早めの避難につなげたいとしています。

発表される内容としては、線状降水帯が発生する可能性があること、予想雨量と併せて、線状降水帯が発生した場合にはさらに状況が悪化するおそれがあることが伝えられます。

今年は広い範囲の区域で発表されますが、気象庁はその後も段階的に対象地域を狭め、7年後の令和11年度には市町村単位で情報提供することを目指しています。

ただし、この予測が的中しなくとも大雨のおそれは十分あること、線状降水帯が発生しない場合でも大雨になりうるということは、しっかりと認識しておく必要があります。

日本における年間の集中豪雨の発生頻度は、2020年までの45年間で約2.2倍になっているという研究結果があります。特に月別では7月の発生頻度が約3.8倍と、梅雨時期は増加傾向が顕著です。

梅雨入りしたら大雨への心構えを一段階高めて、自ら積極的な情報収集に努めましょう。

参考・画像:
気象庁ホームページ 顕著な大雨に関する気象情報
気象庁ホームページ 線状降水帯の予測精度向上
気象庁気象研究所 集中豪雨の発生頻度がこの45年間で増加している

TOP画像/(c)Shutterstock.com

太田絢子

気象予報士 太田絢子

気象予報士、防災士。中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、犠牲者をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。現在は地元名古屋のCBCテレビ「チャント!」などに出演中。趣味はモーニング巡り、季節の箸置き集め。

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