「自己開示」とは?
皆さんは、友達や家族、会社の人に自分のことをどれくらい話していますか? 反対に、皆さんは相手のことをどれくらい知っているといえるでしょうか。
思い返してみると、「実はあまり分からない」という人もいらっしゃるかもしれません。今回は、「自己開示」について言葉の意味や「自己開示」をすることのメリット、「自己開示」の方法、注意点などを紹介します。
「自己開示」の意味
「自己開示」とは、「他者に自分自身を言語化し、伝えること」です。「自己開示」という言葉そのものは、日常生活で使われることが少ないかと思います。「自己開示」は、もともと心理学の用語として使われている言葉です。
「自己開示」の特徴として、親密な相手であるほど自分に関する様々な話をすること、そして自分が開示した情報と同じ深度の情報を相手も伝える傾向があることなどが挙げられます。
「自己開示」と「自己顕示」の違いとは?
「自己開示」と似た言葉で「自己顕示」という言葉があります。読み方も「じこかいじ」と「じこけんじ」で似ているため、混同されやすい言葉です。
「自己開示」とは、「自分の本来の姿を相手へ伝えること」ですが、「自己顕示」は、「他者に自分の存在を認めてもらおうと目立つこと」というニュアンスがあります。
「自己顕示」は、「自己顕示欲」と使われることが多いです。「自己開示」は単純に自分のことをさらけ出すことですが、「自己顕示」は、さらに他者からの承認を求めるという違いがあります。
「自己開示」することで得られるメリット
次に、「自己開示」をすることで得られるメリットについて紹介します。「自分について紹介することで、どんなメリットがあるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「自己開示」をすることによって、日常生活だけでなく、ビジネスシーンにおいてもメリットになることがあります。
1:信頼関係が築ける
「自己開示」することのメリットに、まず「信頼関係が築けること」が挙げられます。「自己開示」の意味について紹介した際に、「自分の話をすればするほど、相手も同じ程度の話をする特徴がある」ことを紹介しました。
このように、自分に関する詳しい話や深い話をすることで、お互いの理解が深まり、信頼関係を構築できることがあります。特に、ビジネスにおいて信頼関係を築くことは業績に直結することもあるため、非常に重要といえるのではないでしょうか。
2:聞き上手になれる
「自己開示」ができる人は、聞き上手な人が多い傾向にあります。なぜなら、「自己開示」をすることによって、自分の話をすることと同じくらい、相手も話してくれることが多いからです。そのため、「他者の話に耳を傾ける」習慣ができます。
3:親しみを覚えやすくなる
「自己開示」をすることで、お互いの今まで知らなかった部分を共有することができます。「あの人はいつも気難しそうな顔をしているから苦手だな」と思っていた人が、話してみると意外に話が合うなんてことも。
他者と打ち解けやすくなることも「自己開示」のひとつのメリットといえるかもしれませんね。
上手に「自己開示」をするにはどうしたら良い?
「自己開示」には、対人関係においてさまざまなメリットがあることが分かったのではないでしょうか。
とはいえ、「自己開示」をする方法が分からない方もいらっしゃるかと思います。そこで、上手に「自己開示」をする方法について紹介します。
1:段階的に「自己開示」をする
いきなりパーソナルな話をすることに抵抗がある方も多いのではないでしょうか。突然、「私の人生観は…」と話し始めたら、相手も驚いてしまうかと思います。
そこで、少しずつ「自己開示」をするように意識してみましょう。最近の話題や流行の話と関連付けて自分の話をすると、上手に「自己開示」ができるのではないでしょうか。
2:相手に質問してみる
自分から「自己開示」することが苦手な人は、相手に質問してみることもおすすめの方法です。相手のことを知ることができますし、その流れで「自己開示」をしやすくなりますよ。
3:自分の意見を添える
世間的な話や相手の話に対して、自分の意見を添えてみましょう。「自分の意見」も立派な「自己開示」といえるのではないでしょうか。
「自分の話をするのが苦手だ」という方は、ぜひ実践してみてくださいね。
「自己開示」をするときの注意点
これまで、「自己開示」のメリットや方法を紹介してきました。最後に、「自己開示」をする上で気をつけたいことを紹介します。
1:「自己開示」する相手を見極める
「自己開示」は、「自分のありのままを伝える」行為です。パーソナルな話をすることが多いため、話しても大丈夫な相手なのかを見極める必要があります。
2:「自己開示」を目的にしない
「自己開示」は、対人関係において、相手との信頼を高めるためのひとつの方法です。「自己開示」することそのものが、目的ではないということを忘れないようにしましょう。
「自己開示」が目的になってしまうと、それは「自己顕示」と同じといえます。相手によっては、自慢話と受け取られるなど、意見の押し付けと思うことがありますので、注意が必要です。
3:無理やり「自己開示」しようとしない
無理に「自己開示」しようとする必要はありません。話したくないことや、話しにくい相手がいる場合もあるでしょう。そんなときは、聞き手にまわったり、相手に質問したりすることで穏便にやりとりすることができますよ。
最後に
「自己開示」とは、「他者に自分自身を言語化し、伝えること」です。「自己開示」をするためには、「自分」を知らなければなりません。
本記事を参考に、自分と向き合ってみる時間をつくってみてはいかがでしょうか? 「自己開示」は、お互いの信頼関係を築けたり、聞き上手になれたりするだけでなく、「自分」のことを知るきっかけにもなります。
日常生活では耳慣れない言葉かもしれませんが、ぜひこの機会に「自己開示」について、考えてみてください。
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