オッジェンヌ・大枝千鶴さんおすすめ!
病と死に向き合った作家夫婦のエッセイ
Oggi専属読者モデル オッジェンヌ 大枝千鶴さん
35歳・IT関連企業勤務。週末には2~3時間カフェに籠もって読書を楽しむ、生粋の“活字フェチ”。
『月夜の森の梟』(朝日新聞出版) 著・小池真理子
「朝日新聞の連載中から『共感した』『救われた』と反響が大きかったエッセイが書籍化されたこの本。ふだんは電子書籍で読むことが多い私も、これは紙のページを1枚ずつ丁寧にめくって味わいたいと思い、書店に買いに行きました。52編で綴られるエッセイには、お互いに深い絆で結ばれたパートナーの死に対して、喪失感や悲しみを静かに受け入れていく著者の様子が描かれています。
もし私が大切な人を失ってしまったらと考えると、その現実を受け入れられずに仕事や家事に没頭するなどして逃げてしまうかもしれません。『生きているうちに、もっとこうしてあげたならよかった』と後悔ばかりしてしまいそう…。しかしこの著者の言葉はそんな弱さを優しく受け入れて、一緒に生きていこうと支え励ましてくれます。
最愛の人を失う著者の悲しみへの共感もさることながら、死を受け入れて生き抜こうとする覚悟の強さに感動し、涙が自然とこみあげてくる一冊でした」(大枝さん)
2022年Oggi4月号「月刊オッジェンヌ」より
構成/篠﨑 舞
再構成/Oggi.jp編集部