口の中は汗をかく? 皮膚と違うからこそ気を付けたい口の中
気温が上がったり、緊張したりした時に人は汗をかきます。では、口の中はどうなのでしょうか。
汗と唾液の関係について、現役歯科医師の私が回答したいと思います。
口の中に汗腺は存在する?
皮膚には汗腺があり汗を分泌していますが、口の中に汗腺は存在しません。しかし、汗ではなく唾液を分泌する唾液線というものが3つあります。
1つ目は、耳の前にある最大の唾液腺「耳下腺」。2つ目は、舌の下にある「舌下腺」。3つ目は、下顎の下にある「顎下腺」。
他にも小さな唾液腺はいくつかありますが、主にこの3ヶ所から、一日に1000~1500mlほど唾液が分泌されるんです。
ちなみに口唇にも汗腺はありませんが、口の中に面している所には小さな唾液腺があるんですよ。
唾液も気温の影響を受ける?
気温が高く汗をかいている時、唾液が汗と同じようにダラダラと垂れてくることはありません。気温が高いと唾液の量は少なくなり、しかもネバネバの唾液が分泌されます。
これは、汗をかくと体内の水分量が減少するため、唾液として分泌されるはずの水分量も減ってしまい、唾液の減少に繋がるから。
唾液の分泌には“交感神経”と“副交感神経”の2つの自律神経の影響を受け、ざっくりと言うと、緊張していたり運動していたり心身ともに興奮状態にある時は“交感神経”が働き、リラックスしている時には“副交感神経”が働きます。
そして、“交感神経”の働きではネバネバの唾液が、“副交感神経”の働きではサラサラの唾液が分泌されることがわかっています。
ネバネバした唾液は、イメージが良くないかもしれませんが、口の中が傷つかないようにしたり、保湿したり、細菌の侵入を防いだりする働きがあるため、実は必要なもの。サラサラした唾液も口の中を清潔に保つため、または消化を助ける働きがあり、どちらもバランスよく働くことが大切です。
汗と唾液の働きは違う
汗は体温を調整するために分泌されると言われていますが、唾液は違います。
さきほどの通り、唾液は口の中を洗い流す働きや抗菌作用、口の中を中性に保つ働き、歯の再石灰化をして虫歯を予防する働き、食べ物を消化する働き、味覚を感じやすくする働き、細菌の繁殖を防ぐ働きなど、沢山の働きをしてくれているんです。
口にとって唾液の分泌は大切
体にとって、水分の貯蓄や分泌は非常に大切です。口の健康を保つために、こまめに水分をとり、唾液の分泌を促してあげるとよいでしょう。
また、唾液は口を沢山動かすことで分泌されやすくなるので、ぜひ意識してみてください。
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Oggi.jp's 野尻真里
日本審美歯科学会所属の歯科医師。朝日大学を現役卒業後「うずら歯科」に勤務。写真集『美人女医図鑑』を発売中。華道脇教授の資格を持つなど充実した趣味と、美容やファッションにもこだわっているインスタグラム@nojirimari も要チェック!
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