不妊治療中に見た胸が締め付けられる光景…【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、初めて自宅でガニレスト注射を打った後の話をお届けしました。今回は、採卵前最後の通院となったD(デイ)12の体調の話。
D(デイ)12の朝、この日はいつもと体調が違う…
この日は、朝起きると、なんだかいつもより体が軽い気がしました。ゴナールに体が慣れてきたのかな? 体温を測ると35.1度。なぜかいつもよりぐっと低い。
採卵周期は、胸が張っていたり、頭が痛くなったり、こうして熱が上がったり下がったり、ちょっとした体調の変化にやたら敏感になりました。ちょっといつもと何かが違うだけで「卵胞は育っているんだろうか?」「風邪でもひいたらどうしよう」といちいち不安になるのです。
3日に1回くらいのペースの通院でも、はじめる前は「ちょっと多いな」とも思ったりしたんですが、実際は不安なことだらけだったので、いざ治療をスタートさせてからは毎日でも診察してもらいたくらいな気分でした。
両腕とも採血の針のあと
この日は朝8時半に病院に到着。採卵のために事前検査を受けることになっていました。いつもの血液検査とエコーに加えて、心電図とレントゲン、尿検査が追加されました。
採血室で年配の看護師さんから「右腕と左腕、どちらから採りますか?」と聞かれました。
私「えっと…、もうどっちの腕にも針のあとが残ってて…。どうしよう。どっちがいいかな…」
看護師「あら、本当。リプロダクションの患者さんなんですね」
私「はい」
看護師「連日、血を採るから大変ですよね。今度から、『一番細い針にしてください』って申告していただけますか? 細いので採ればここまであとが残らないから」
私「なるほど…」
もうちょっと早く教えてほしかった~(涙)。おなかの自己注射だけでもしんどいですが、採血のたびに残る腕の内側の注射針のあともなかなか痛々しい状況でした。
それに比べると、心電図とレントゲンなんて痛くもかゆくもないし、ぜんぜん負担に感じません。あっという間に検査を終えて、いよいよ診察です。リプロの待合室へ戻ろうとしていた時でした。
看護師に背中をさすられている女性が…
ふと、入口に立っていた患者さんと看護師さんに目が留まってしまいました。立ったまま背中をさすられている女性は、泣いていました。
こういう光景を目の当たりにしてしまうと、胸が締め付けられるような感覚におそわれます。どういう状況で泣いているのかはわかりませんが、私もこんな風に泣いてしまう日が来るのかも。ぜんぜん他人ごとではないのです。
もし、卵胞が育っていなかったら…。もし、卵子と精子が受精しなかったら…。もし、受精卵が成長しなかったら…。もし、移植後に着床できなかったら…。もし、着床後に心拍が確認できなかったら…。
超えていかねばならない壁が目の前にいくつも立ちはだかっている中で、患者側にかかるプレッシャーはどんどん大きくなっていきます。
悪い想像の“もし”を考えないようにしても、何か起きてしまった時、いつものリセットと同じように、私はその結果を受け止められるのかな。採卵に集中だ! と頭では理解していても、心は常に弱気でした。
待合室へ入ると、先に待っていた夫が軽く手をあげて合図してくれました。その顔を見たらホッとして少し泣きそうになってしまって…。
メンタルは大丈夫って思っていても、やっぱりどこかで無理しながら過ごしている自分に気づかされた瞬間でした。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。