睡蓮(スイレン)と聞くと、蓮(ハス)の花を想像する人もいるのでは? なんとなくお寺の境内に咲いているような、お釈迦様の仏像の足元にあるような。とてもよく似ているこの二つの花を、同じものと誤解してしまっている人も多そうです。
睡蓮(スイレン)の花言葉
まず、睡蓮の花言葉についてご説明します。
睡蓮の花言葉は、「信仰」「清純な心」「信頼」「甘美」「優しさ」です。仏花のイメージがあるので、花言葉もそれを表しているようですね。朝になると花を咲かせ、夕方に花を閉じる睡蓮は、古代エジプトでは太陽のシンボルでした。「信仰」の花言葉はこのことに由来しています。それゆえに、古代エジプトの神話などに多く登場するようです。「ナイルの花嫁」という別名があるのも納得ですね。
「清純な心」という花言葉は、野生に咲いている睡蓮が白であることが多く、花言葉において、白い花は「清浄」「純潔」を指していることから来ているそうです。
睡蓮は、英語では「Water lily」もしくは、「Pond lily」。水辺の百合(ユリ)、池の百合(ユリ)と呼ばれています。その美しさに外国の方も、魅了されているようですね。
色別の睡蓮(スイレン)の花言葉
睡蓮にも沢山の種類があり、花の色もさまざまです。それぞれの色にどんな花言葉があるのか、見ていきましょう。
ピンクの睡蓮
「睡蓮の花の色って?」と聞かれたら、真っ先にこの色を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
美しいピンクの花の花言葉は「信頼」。ピンクと一言に言っても、淡い色から濃い色まで、さまざまな表情を見せる花びらの愛らしさは、「信頼」という花言葉がぴったりです。
白い睡蓮
キリッとした印象の白い花には「潔白」と「純粋」という二つの花言葉があります。まさに、白という色のイメージそのものですね。
黄色の睡蓮
黄色い睡蓮は、まるで極楽浄土に咲いているようかのよう。花言葉は「優しさ」です。黄色の花が勇気づけてくれるような、寄り添ってくれるような、そのようなイメージから名づけられたのでしょうか?
青~紫の睡蓮
睡蓮には、青や紫の色の花を咲かせる種類もあります。青や紫のくっきりした色の強い印象からなのか、「信頼」という花言葉があるようです。
睡蓮(スイレン)の特徴
続いては、睡蓮の特徴や種類、品種をご紹介しましょう。
睡蓮は、スイレン科スイレン属の水生植物。池・沼に生え、円形または卵形の基部に切れ込みのある葉が特徴です。夏に白、黄、赤色といったハスに似た花を水面上にさかせて、朝夕に咲き、閉じるのが目印になります。
「ハスに似た花」という形容をされることが多い睡蓮と、蓮の違いを明確にしましょう。
この二つの花の見分け方は意外に簡単で、葉を見て円形や卵型の葉に切れ込みがあるのが睡蓮、切れ込みがないのが、蓮。花の咲く位置が水面に近いのが睡蓮。高いのが、蓮です。
睡蓮というと、有名な絵画を思い浮かべる人もいるのでは? そう、モネの名画『睡蓮』です。この作品はモネの代表的なものになりますが、約250枚の連作からなっています。フランスのジヴェルニーにある「水の庭」の池と、そこにある睡蓮をモチーフに描かれました。30年の歳月をかけて、制作された作品です。ちなみに『睡蓮』の絵画に描かれた葉にも、しっかり切り込みが入っていますよ。もしモネの作品『睡蓮』を見る機会があるときは、そんなディテールにも注目してみてくださいね。
睡蓮(スイレン)の種類・品種
さて、睡蓮にはどのような種類があるのでしょうか? 大きく分けて熱帯性のものと、耐寒性のある温帯性のものがあります。
温帯睡蓮
花色は、赤、ピンク、白、黄色などがあり、寒さに強いので冬は戸外で越冬させることが可能です。草の丈は短く、水面に葉や花を浮かべるように咲かせています。
熱帯睡蓮
花色は、赤、ピンク、黄色、白、紫、青紫、などと非常に沢山あります。冬を超えるには15℃以上の温度を必要とし、水面からは数cm程度の茎を伸ばして、その先に葉や花を咲かせます。熱帯睡蓮には昼咲き、夜咲き、二つの種があります。
温帯の睡蓮に比べて、多くの花を家庭でも簡単に咲かせることができるので、近年この種の睡蓮の人気が増してきています。また、青い色の花を咲かせることでも注目されているようですよ。
ヒツジグサ
日本特有の多年草。初夏から秋にかけて、沼や池に自生することが多くあります。白く小さい艶やかな花を咲かせるのが特徴です。ヒツジグサと呼ばれる理由は、未の刻(14時)頃に花が閉じてしまうため、なんだとか。
ちなみに近年日本ではこのヒツジグサが人気です。ビオトープを作る方が増えて、金魚やメダカなどと一緒に水に入れておく人が増えたため、と言われています。
睡蓮(スイレン)の悲しい言い伝え
ギリシア神話にも登場する睡蓮。物語を彩るのは、勇者ヘラクレスと水の妖精ニンフの恋の話。
水の妖精ニンフは、勇者ヘラクレスに恋をします。思いが通じ、恋人同士になった二人ですが、ヘラクレスが身分違いの恋を恥じ、ニンフを捨ててしまった…。打ちのめされたニンフは、ナイル川に身を投げ、睡蓮へと姿を変えたのでした。
睡蓮には、とても悲しい物語が紐づいているのですね。
最後に
青色の花を咲かせるということで、近年注目が集まっている睡蓮。おうち時間が増えて、お庭や屋内でビオトープを楽しむ、という方も増えました。比較的育てやすい睡蓮を育ててみると、人生の華やぎがさらに増しそうです。
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