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LIFESTYLE

2021.12.27

紫式部の生涯に自分を重ねて。今、改めて読みたい『源氏物語』の魅力は…

書評家の石井千湖さんが、「女性のお守り」になるような本を紹介してくれる人気連載。今回は、平安時代の恋愛や、社会の深淵などが描かれた日本最古の小説です。

大人になった今、どんな気持ちで読み進める?

学校の授業で読んだことのある文学作品でも、今改めて読んでみたら、当時とはまた違った感情になったり、新たに発見したりするかもしれません。今回書評家の石井千湖さんがピックアップするのは、『源氏物語』。

石井さんの考えを心に留めながら読んでみるのもいいですし、また時間が経ってから読むことで、感情の違いを楽しむのもいいですね。

平安時代の貴族社会を描いた日本最古の恋愛小説

『源氏物語』(上・中・下)

『源氏物語』といえば日本が世界に誇る名作文学だけれど、いざ読もうとするとハードルが高い。遠い平安時代の話で長いからだ。でも、角田光代によるすばらしい現代語訳は、昔と今の距離を縮めてくれる。千年の時を超えて登場人物の声が聞こえてくるのだ。

主人公の源氏は輝くように美しいため「光君」と呼ばれている。帝にはなれないものの身分は高く、才能にも恵まれ、さまざまな女性と恋愛模様を繰り広げる。もちろん、単なるモテ男の遍歴の物語ではない。巧妙に仕掛けられた運命の罠に引き込まれ、どんどんページをめくってしまう。

たとえば有名な「夕顔」のエピソード。乳母の見舞いに訪れた源氏は、たまたま隣の家の簾の向こうにたくさんの女の影を見る。どんな家なのだろうと気になってのぞき込むと「粗末な板塀に、青々と茂った蔓草が覆っている中、白い花がひとつ、笑うように咲いている」。その白い花が夕顔だ。やがて源氏は夕顔のある家の可憐な姫君に夢中になる。しかし、姫君は物の怪に取り憑かれて死んでしまう。偶然の出会いが悲劇を引き起こすのだ。

高貴で教養もあるが源氏に恋をして嫉妬に苛さいなまれる六条御息所、源氏よりも年上であることで素直になれないまま六条御息所の生霊に殺される正妻・葵の上、幼くして源氏に見初められ深く愛されるが子供には恵まれない紫の上……。源氏自身は女性たちを大事にしているつもりなのに、なかなか幸せになれない。完全無欠のスーパーマンが、運命に翻弄されるうちに人間味をもっていくところがいい。

源氏の死後も次世代の貴公子を主役にして物語は続く。結末までたどりつくと、自分の生き方を選べない苦しさはいつの時代も変わらないなと思う。作者の紫式部は能力を生かして働くワーキングウーマンの先駆けだった。どんな気持ちでこの物語を書いたのだろうと想像すると、より切ない。

源氏物語』(上・中・下)(河出書房新社)
訳/角田光代
紫式部によって執筆された世界最古の長編小説『源氏物語』。原文に忠実に沿いながらも、角田光代によって現代的で歯切れがよく、生き生きとした文章に訳され読み進められる。光源氏とさまざまな女たちとの恋愛模様のほか、生と死、無常観、人生や社会の深淵が描かれる。

2021年Oggi1月号「働く30歳からのお守りBOOK」より
構成/正木 爽・宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部

TOP画像/(c)Shutterstock.com

石井千湖

いしい・ちこ/書評家。大学卒業後、約8年間の書店勤務を経て、現在は新聞や雑誌で主に小説を紹介している。著書に『文豪たちの友情』、共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』がある(すべて立東舎)。


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