「先負」とはどんな日?
六曜の「先負」。「負」という漢字が入っているため、あまり縁起のいい日ではないのでは? と思っている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「先負」の意味や、おこなって良い行事・悪い行事などを解説します。この機会に、大人のマナーとして覚えておきましょう。
読み方
「先負」の読み方は、「せんぶ」が一般的。その他に、「せんまけ」「さきまけ」「せんぷ」などがあります。
その意味を解説
「先負」とは、「先んずれば即ち負ける」という意味を持つ言葉。「何事も控えめにした方が良い日」「急いだり慌てたりせず、平静を保つ日」とされています。この日は、あまり派手に行動を起こさず、じっとしていることでトラブルから身を守ることができます。
また、「負」という漢字を使っているため、契約や訴訟、勝負事などは避けた方がいいという考え方もあります。
「先負」の日で縁起のいい時間帯は?
「先負」は、「午前は凶。午後は吉」とされています。日常生活に置き換えると、「午前中はゆっくりと過ごし、何かをするなら午後に行動した方がいい」と解釈すればいいでしょう。「先負」の日は、午前中のお祝い事を避ける人もいます。
ちなみに、この「先負」と対照的な意味を持つ六曜をご存知ですか?
それは、「先勝」(せんしょう、せんかち、さきかち)です。意味は、「急いだ方が吉。午前は吉。午後は凶」。「なるべく先回りして行動すると良い日」とされています。
「先負」の日の午前中はお祝いを避けたほうがいい?
「先負」には、「負」という漢字が入っているため、マイナスなイメージを持っている人も多いはず。「結婚式に先負の日を選んでもいいの?」などと疑問に思いますよね。
先述したように「先負」とは、「午前中」が「凶」とされている日。一般的には、午前中のお祝い事は避けた方が無難であるといえます。ですが、自分や相手の都合によっては、お祝い事に「大安」などの吉日を選ぶことができない場合もありますよね。もし万が一、お祝い事が「先負」の日に当たってしまった時の対策法は? 各行事ごとに解説します。
結婚式は?
結婚式の場合、人気がある日として「大安」「友引」が挙げられます。しかしそれらの日は、式場が混み合っていることが多く、予約が取れない可能性も…。
もし、身内のみの式で、親族があまり六曜にこだわらないということであれば、「先負」の日に、結婚式をあげても特に問題はありません。かえって「式場の予約が取りやすい」「挙式費用が割引される」などのメリットもあります。
ただし、親世代や祖父母世代は、「祝い事は吉日に」という考えを持っている方もいます。結婚式の日取りを決まる際には、六曜を重視するのかどうかをあらかじめ話し合っておくことも必要かもしれませんね。ちなみに、六曜の中でも「先負」は、「仏滅」や「赤口」に比べると、お祝い事に向いていない日ではありません。
入籍は?
「先負」の日に入籍をしても、特に縁起が悪いことはありません。午後からは吉とされているため、気になる場合は午後に婚姻届を出すと良いでしょう。「大安」などの日に比べると、「役所の窓口が混みあう可能性も少ない」というメリットもあります。
引っ越しは?
引越しをする際に「先負」の日を避ける必要はありません。結婚式と同様に、六曜の中では「大安」が一番人気ではありますが、予約がたくさん重なっていたり、引越し料金が高めに設定されていたりすることもあります。「先負」の日であれば、ある程度引越し料金を抑えて、自分の都合の良い日時を選ぶことができますよ。
もし、「先負」の日に引越しをすることが気に掛かる… という場合は、積み込み時間を午後からにしてもらったり、荷造りは前夜までに済ませたりして、午前中に混乱することを防ぐなどの対策をしてみましょう。
納車は?
「先負」の日に、納車を行っても特に問題はありません。ただ、納車などの安全に関わることには、少しでも縁起を担ぎたいという方は、午後の時間帯に行うといいでしょう。
ちなみに、六曜の中で最も納車に向いている日は、吉日である「大安」、反対に、納車に向いていない日は、「赤口」と言われています。「赤」という文字が、血を連想させるということからだそう。気になる方は参考にしてみてくださいね。
「先負」の日にしても問題ないことは?
お葬式や通夜などの弔事や、神社へのお参りなど、仏教や神道に関わる行事を「先負」の日に行って良いのか迷いますよね。結論から言うと、六曜と宗教とは関係のないもの。「先負」の日に行っても問題はありません。六曜は中国の占いに起源があるそうで、仏教や神道の教えではないといわれています。
それでは、「先負」の日にしても問題のない行事を詳しくみていきましょう。
お葬式
法事やお葬式、通夜などの弔事は、縁起を担ぐ行事ではないため、「先負」の日に行っても、問題ないといわれています。時間帯も特に気にする必要はありません。
ちなみに、お葬式で一番避けがちな日は「友引」。「友を引く」という言葉から「故人と共に友人が連れて行かれてしまう」と考えられ、縁起が悪いと感じる方も少なくありません。通夜や葬儀の日程として避ける慣習があります。
お参り
神社へのお参りに、「先負」の日を選んでも問題ありません。とはいえ、お宮参りや合格祈願をするのだったら、少しでも縁起を担ぎたいという方もいるでしょう。もし「先負」の日に、神社へお参りをする場合は、「吉」とされる午後の時間帯に行くことがおすすめです。
ただし、一般的に神社へのお参りは、早い時間帯が良いとされています。「先負」の午後にお参りをしたいなら、できるだけ午後の早めの時間帯にしましょう。
お見舞い
「先負」の日に、お見舞いに行くことも、特に気にする必要はありません。病院では、朝の早い時間に回診や検査をおこなったりするため、午前中は何かと忙しい時間帯です。昼食が終わり、ひと段落した午後の時間帯に行くことは、マナーの観点から見てもおすすめです。お見舞いに行く際は、六曜を気にすること以上に、相手の体調や都合を思いやる気持ちが大切ですね。
最後に
六曜の中の「先負」という言葉。詳しい意味やマナーはご理解いただけましたか? 「負」という文字が入るため、縁起がよくないイメージがありますが、実際は、「勝負事や争い事を避ければ、穏やかに過ごすことができる日」であるとも言えるでしょう。
また、結婚式や入籍などで少しでも縁起を担ぎたい方は、「先負の午後の時間帯」がよいかもしれません。大切な行事の日取りを決める際には、ぜひ、参考にしてみてください。
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