お金を稼ぐのは才能ではなく「能力」
前回、大富豪のえびすさまから、「お金の種類」についての話をしてもらった。
全方位のお金を受け取れる自分、かぁ。私は今、どんなお金は受け取れて、どんなお金は受け取れないんだろう。
考え始めた私を見て、洗い出してみようか、とえびすさまが提案してくる。
「今、心がざわつくお金の受け取り方はある? あの人ばっかりずるい! って思うような受け取り方でも良い。何か思いつくかな?」
「うーん、犯罪系は嫌でしょ? そういうのを抜かすと、努力しないでもお金が入っているように見える人かなぁ。由緒正しいお家柄の子が月に何百万円もお小遣いをもらっているのは、正直ずるいなぁって思っちゃう。
アルバイトしなくてもたんまりお金が手に入っている子とか、いっつもみんなにごちそうしてもらっている美人な先輩、可愛いワンちゃんを連れて港区あたりを闊歩している専業主婦の人、あと、知り合いじゃないけど、ポッと出でたまたまうまくいった芸人さんとか、有名人と結婚した一般女性、って類もそうかも」
羅列しているうちに、自分の心の狭さが浮き彫りになる。
私は段々恥ずかしくなってきた。羨ましい、が根本にあるのなんてわかってる。ずるい。なんであの人ばっかり……。比較しても無意味だって気が付いているのに、それでもつい比較してしまう。惨めで思わず涙が出てきそう。
そんな私の様子を見つめながら、えびすさまはゆっくりと話し始めた。
「良いんだよ。人はね、自分が持っていないものを持っている人を見ると、どうしても比較してしまうし、嫉妬も生まれる。
・こういうお金の稼ぎ方をする人は嫌い
・親からお金をもらっている人は嫌い
・男性に貢いでもらっている人は嫌い
こんな風に、受け取り方を通して他人のことを否定批判する人は、そもそも自分にそれを許していないんだ。あすかちゃんも自覚があるように、本当は自分もそうしてみたいと思っている。これは自分で認めていない場合も含めてね。
打開策としては、一度、そういったフィルターを全て取り払ってみること。そうすると、どうしたらそれぞれのお金の受け取り方ができるのかが見えてくる。
よく、お金を稼ぐのは才能だと言う人もいるが、私はそうは思わない。お金を稼ぐのは才能ではなく『能力』だ。最初から備わっている天性のものなど何ら必要ない。練習を重ねれば、コツを掴めば、誰にだってできることなんだよ。そう、あすかちゃんにだって、もちろん」
それぞれのお金の受け取り方、ね。お金を稼ぐのが能力だとすると、確かに様々なパターンを知っておいたほうが、対応できる幅が広くなるのは間違いなさそう。
お金そのものを見て、自分好みの稼ぎ方を磨いていくことが大切
「お金を稼げる人はね、お金を受け取るのが上手な人だ。お金が巡ってきた瞬間を逃さない。お金が巡ってきやすいような仕組みづくりまでもできてしまう。
自分にお金が巡ってこない状況を想定することはなく、お金があるのが当たり前と心から信じ切っている。だからどんどんお金が入ってくるんだ」
お金が当たり前に入ってくると信じてやまなければ、お金は自然と巡ってくる。自分からいらないって言わない。ジャッジをしないって、人付き合いだけじゃなく、お金との付き合いでも大事みたい。
「表面的な良い、悪いで判断するのはやめにしよう。お金の稼ぎ方、受け取り方に良いも悪いもない。百万円、一千万円、一億円、十億円、百億円。お金は交換券だから、あくまでも『その額』と『何か』を交換するためにある。
何かとはモノやサービス、体験…… 突き詰めれば『感情』だ。したがって、お金を稼ぐことが上手な人は、人としての成長も非常に早い。同じ時間を生きていても、経験値が段違いだからね。
本来、お金に綺麗も汚いもない。勝手に意味づけをしているのは人間側。ここらで一旦ジャッジをやめて、『お金そのもの』を見てみるといい。その上で、自分好みのお金の稼ぎ方、受け取り方を磨いていくんだ。
確かに、お金を綺麗に稼ぎ、綺麗に使える人は結果としてお金に愛される。ただ、その境地に達するためには前提として、お金に対してフラットな見方や捉え方ができるようになっていることが必須なんだよ」
「お金そのもの」をフラットに見る、という視点は今までに持ち合わせたことがなかった。お金に対する苦手意識はないほうだと思ってきたけれど、それでも潜在的な先入観は、どうやら人並みにあったみたい。
意味づけが個々人の価値観や趣味嗜好によって違ってくるのなら、お金と向き合っていくということはすなわち、自分ととことん向き合う作業になる。
……これは、生涯をかけた長い旅路になりそう。
自分の弱さやずるさ、醜い感情を直視するところからと考えると、それは途方もない道のりのように感じた。やっぱり一朝一夕でお金持ちに、なんて、なれっこないのよね。
今回の学び
・お金に勝手な意味づけをしない
・心がざわつくお金の稼ぎ方、受け取り方は、自分がそうしたいと思っているもの
・お金を綺麗に受け取れるようになるには、まずお金自体をフラットに見ること
TOP画像/(c)Shutterstock.com
職業お金持ち 冨塚あすか
個人投資家。1988年生まれ、仙台出身。慶應義塾大学卒。「お金を理由に何かを諦める、という事態とは生涯無縁でいよう」と決め、20歳のときに10万円から資産運用を始める。紆余曲折ありながらも持ち前の分析力と嗅覚、人当たりや運の良さで資産を順調に拡大。会社員を辞めてからは2年ほど、専業投資家として資産運用のみで生活をする。現在は、オンラインサロンを通じて、投資の仕方や生き方、女性がお金持ちになるために必要な「お金の帝王学」について指南している。趣味は旅行と食べ歩き、お金持ちの話を聞くこと。
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