【目次】
・「周知の事実」の意味や間違えやすい言葉とは?
・使い方を例文でチェック
・類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「周知の事実」を使う時の注意点
・最後に
「周知の事実」の意味や間違えやすい言葉とは?
「周知の事実」という言葉をご存じでしょうか? 「そのことは、周知の事実です」などと使われたりします。「周知」と似たような言葉で、「承知」や「衆知」という言葉がありますが、違いはあるのでしょうか? 本記事では、「周知の事実」についての意味や使い方、似た言葉との違いや類語表現まで丁寧に解説していきます。
「周知の事実」の意味
「周知の事実」の「周知(しゅうち)」とは、「広く知ること」「広く知れ渡っていること」「広く知らせること」を意味します。「事実」とは、「実際にあった事柄、現実のこと」です。つまり、「世間一般に広く知れ渡っている現実の事柄のこと」を、「周知の事実」というんですね。「周知」は他にも、「周知の通り」などと使われたりします。
「周知」と「承知」の違い
似た言葉で「承知(しょうち)」という言葉があります。「承知」とは、「目上の方の命令などを承ること」「拝命」、または「相手の願い、要求などを聞き入れること」という意味です。読み方は似ていますが、「周知」とは意味が異なりますので注意しましょう。
「周知」と「衆知」の違い
もう一つ、混同されやすい言葉があります。「衆知(しゅうち)」です。読み方も「周知」と同じですが、意味に違いはあるのでしょうか。
「衆知」には「衆」という漢字が使われています。「衆」は、「多数の人、大勢の人」を表しており、「知」は、その人たちの「知恵」のことです。つまり、「多くの人々の知恵」を意味し、こちらも「周知」とは意味が異なりますので気を付けましょう。「衆知」は、「衆知を集める」などと使われたりします。
使い方を例文でチェック
では、具体的な例文を用いて、使い方を見ていきましょう。
1:「新型コロナウイルスは、人の移動で感染拡大することは、周知の事実です」
すでに世の中に広く知れ渡っている一般的事実を、「~は、周知の事実です」と使用します。新型コロナウイルスが流行り始めて以来、人の移動に伴い感染していくことは、今や誰しもが知っている事実ですよね。
2:「医療従事者、高齢者に対し、新型コロナワクチンの優先接種が開始されていますので、ご周知くださいますようお願いします」
「ご周知ください」は、周囲の人々に対し、広く知らせてくださいとお願いする言い回しになります。「周知」に接頭語の「ご」をつけた形で、敬語としても使うことができるんです。ビジネスシーンなどでも使えるフレーズですので、覚えておくと便利ですね。
3:「従業員に、新型コロナウイルス感染防止対策の周知徹底を図る」
「周知徹底を図る」という使い方も、非常に一般的ですので覚えておくとよいでしょう。「周知徹底」とは、「広く知らせて隅々まで行き渡らせること」です。重要事項などを関係者に広くきっちりと知っておいてもらいたい時に、「周知徹底」という言葉を使います。
類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
次に、「周知の事実」の類語表現をご紹介します。
1:「啓蒙」
「啓蒙」は<けいもう>と読みます。意味は、「人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと」です。17世紀後半のヨーロッパで発展した、聖書や神学と切り分けた合理主義的な思想のことを「啓蒙思想」と呼び、その時代を「啓蒙時代」と呼びます。
例文:「飲酒運転の根絶を呼び掛ける啓蒙活動に参加した」
2:「告知」
「告知」は<こくち>と読み、「告げ知らせること、通知すること」を意味します。「告知」は「周知」とは違い、広く知らせるのではなく、特定の誰かに対して知らせることです。
例文:「健康診断の再検査の結果、医者からガンの告知を受けた」
3:「共有」
「共有」は、<きょうゆう>と読みます。「ひとつのものを、2人以上が共同でもつこと」を意味する言葉です。ビジネスシーンなどでは、「情報共有」という言葉がよく使われます。
例文:「昨日のクライアントとの会議内容について、情報共有をお願いします」
「周知の事実」を使う時の注意点
「周知の事実」は、「みんなが当たり前に知っている事柄」、つまり「一般常識」と解釈されることがあり、場面によっては知らないと恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。目上の相手に対して、「○○さん、それは周知の事実ですよ」などと使ってしまうと、失礼にあたることも。相手の立場などを考えた上で使うようにしましょう。
最後に
「周知の事実」の解説はいかがでしたでしょうか? 「周知」とは、「世間一般に広く知れ渡っていること、または広く知らせること」です。「承知」「衆知」は、混同しやすい言葉ですが、意味が異なりますので注意が必要となります。また、「ご周知ください」は敬語として使うことが可能ですが、「周知の事実」を目上の方に使う場合は、失礼に当たってしまうこともありますので気を付けてくださいね。
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