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2021.02.07

がんは早期発見で治療できるからこそ病院へ! 医療機関受診控えしないで【国立がん研究センター医師コラム】

コロナ禍で病院の受診控えも話題になっています。今回は大学病院とがんセンターに来院する数を比較して、病院に行く大切さをお届けします。国立がん研究センター研究所でがん幹細胞研究分野分野長をつとめる増富先生の健康コラム。

国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉

受診控えをせず、病院へ行こう!

最近の医療ネタは、ほとんどがコロナウイルス関連で随分と飽きてきました。何でもかんでもコロナと関連づけてしまうのでもう疲れてきました。今日はコロナと関係のない「病院」の話をしましょう。たわいもない話ですが、気楽に読んでみてください。

病院に来院する人数

(c)Shutterstock.com

大学病院といわれるような病院って1日に何人くらいの外来患者さんが来るか見当つきますか?

東大病院で1日平均2800人程度(2018年)。業界最多と目される、順天堂医院で1日平均4500人程度(2019年度)、と公表されています。この数、どうですか? 多いですか? 少ないですか? 東大病院も順天堂医院も総合病院ですから、様々な病気の患者さんが来院されます。それこそ、生活習慣病、外傷、お産、心臓病、がん、等々。

それでは、私の所属する、国立がん研究センターの中央病院の外来には1日平均どれくらいの数の患者さんが来院されると思いますか? 国立がん研究センターは名前が示す如く、「がんの専門病院」ですから、基本的には「がん患者さんか、がんが疑われる患者さん」のみが来院されます。その数、1日平均で1500人程度です。意外と多いと思いませんか?

がんは身近な病気、そして早期発見で治療が可能

(c)Shutterstock.com

よく使われる表現で、「日本人の3人に1人はがんで亡くなり、2人に1人は一生のうちに一度は、がんに罹患する」と言われています。私が、国立がん研究センターで働いているという事実を差し引いても、自分の回りで「がん」と関わる人はかなりたくさん居ると感じています。

もう少し、わかりやすく話しましょう。私は、未だかつて「裁判員裁判の裁判員に選出された」という人にはまだ一度も直接的に会ったことはありません。この裁判員、国の統計によると大凡年間10,000人弱の人に案内が届いているようです。

この数と比較しても、国立がん研究センターに来院される患者さんの数は随分と多いと感じませんか? 「がん」という病気は、今や随分とありふれた病気であると同時に、早期に見つければ治療が可能な病気になってきています

この1年間、コロナ禍での検診控えの間にがんが大きくなってしまわないようにそろそろ病院に行きましょう

TOP画像/(c)Shutterstock.com

国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉

1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ

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