しつこい、ひつこい、どっちが正解?
喧嘩して、ひつこい! と言ってしまった!
あれ? でも、しつこい、ひつこい、どっちが正解?
正解は「しつこい」
しつこいとは「1. 色・味・においなどが濃厚すぎて、後に残る感じである。くどい。2. 物事にこだわって煩わしい感じである。また、つきまとってうるさい。執念深い」こと。
一方、ひつこいとは「『しつこい』の音変化」したもの。
実はしつこいは標準語、ひつこいは主に関西圏で使われている方言とされています。そのため、どちらも言葉として間違いではありませんが、標準語であるということからはしつこいに軍配があがります。
しつこいの語源は?
しつこいという言葉の語源にはいくつもの説があります。
[a]執+濃い=しつこい
執念、執着などとりついて離れないという意味をもつ「執」に、性質・状態を表す語に付いて、その程度がはなはだしい意を表す「濃い」をくっつけて「しつこい」です。
濃いは語尾にくっつくことで強調の意味を持つため、まったく離れない様子が伝わりますよね。意味としてはとてもしっくりくる説ですね。
[b]躾+濃い=しつこい
「礼儀作法をその人の身につくように教え込むこと。また、その礼儀作法」という意味の「躾」に、強調の意味をもつ「濃い」で、“しつけこい→しつこい”です。
躾は日常生活全般に関してルールなどをしっかり伝えていくものですよね。その粘り強い指導の様子からしつこいという言葉が生まれたという説ですが、本人のために良かれと思ってしていたことが、ネガティブなニュアンスであるしつこいの語源だったとしたらちょっとショックですね。
[c]書籍の中の表記
江戸時代に書かれた書籍の中では「湿濃い(しつこい)」と表記されたものがあります。しめることを意味する「湿」+強調の「濃い」で、湿濃い。
湿は湿度や陰湿などジメジメしたイメージがあり、しつこいがもつマイナスイメージと合致しますね。
そのほか、明治時代に書かれた書籍の中では「執拗い(しつくどい)」と表記されていたものがあり、それが転じてしつこいに変化したとされる説もあります。
執拗はまさにしつこいという意味を持つ言葉ですし、現代において、あえてしつこいを漢字で書く場合には「執拗い」と表記することがあるんですよ。
いかがでしたか? 残念ながら語源の特定はできませんが、それぞれの説からしつこいのニュアンスは感じ取れたのではないでしょうか。
しつこいとひつこいの他にも、地域によって発音が異なる同じ意味の言葉がまだあるかもしれませんね!
言葉の意味/デジタル大辞泉
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!