私たちが総合病院への転院を決めたもうひとつの理由【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、転院先の総合病院での2回目の診察でのお話をお届けしました。今回は、総合病院への転院を決断したポイントについての話。
情報量も治療の選択肢も圧倒的! 総合病院への転院を決意
私たち夫婦が妊活を始めて1年たった頃の2018年秋、訪れたクリニックでステップアップを勧められましたが、本当に必要なのか分からず、近所の総合病院にセカンドオピニオンを聞きに行くことにしました。
そこでの初診で、不妊治療をしているカップルの男性の4割がなっているという精索静脈瘤を夫が患っていたことが発覚。男性不妊専門医から、精索静脈瘤と不妊の関係の話を聞いて、夫は手術を決意しました。
夫が精索静脈瘤の手術を受けるにあたり、転院先を決めるため近所のクリニックもいくつか調べました。
総合病院は混むことはわかっていました。待ち時間も長いけれど、医師の説明はとても丁寧だし、患者側の希望や負担をしっかり考慮してくれる先生が多いことがわかったので、精索静脈瘤の手術を機に、私たち夫婦の不妊治療は、ここの総合病院ですすめることに決めました。
ステップアップの前に転院を決断した理由は、もう一個ありました。それは「不妊治療は夫婦2人で」と掲げていた病院側の考えと私たち夫婦の考えがあっているなと感じたからです。
実際、この約1年半後、突然流行した新型コロナウイルスの渦中において、私たちは体外受精へとステップアップすることになるのですが、他の医療機関では、診察室への入室を妻ひとりに限定したり、採精室も閉鎖(精液は自宅で採取して提出するなどの方法に切り替え)したりと、対応が異なっていました。
しかし、私たちが転院先に選んだこの病院は、コロナ禍のなかでも、夫婦で診察の説明を聞くことが許され、採卵や移植などの際にも、夫がベッドサイドにずっと付き添ってくれることができたので、とても心強かったです。
また、医師やスタッフの人数、設備が十分に整っているため、土日祝日や長期の連休に左右されることなく治療のスケジュールを立てられることもメリットでした。
夫が精索静脈瘤の手術までの1ヶ月は風邪をひかないように出張も控えた
11月下旬の土日で、夫が精索静脈瘤の手術の日程も無事決まり、医師からは「くれぐれも風邪をひかないように万全の体調で臨んでくださいね」とアドバイスをされました。
幸い、夫も私も仕事の繁忙期ではなかったので、出張などの予定はずらし、手術までの時間は、体調を整えることを最優先にして、外食も控えて家でのんびり過ごすように努めました。
とはいっても、働きながら夕飯の献立を栄養バランスまで考えて作り続けるのは、私にとってはなかなか大変で…。家での食事は、自然と鍋ものが増えていきました。牡蠣鍋とか水炊きとか、とにかくたっぷりの野菜と良質なたんぱく質を効率よくとるように心がけました。
こんなワンパターンな食事、イヤかな? と思いきや… 〆に「ラーメンにする? うどんがいい? おじやもできるよ? チーズいれる?」といった具合で、私がチョイスを聞くたびに夫は「じゃあ、ラーメンいれて~。卵とじにしてネギと海苔もトッピングしてほしいな~。手術するんだから、いいよねぇ?!」と、毎回、楽しそうに細かく注文してくるのです。
私に小さなワガママを言う時に「手術するんだから」と、いちいち付け足すところも、とても愛おしく思えました。
“私たち夫婦のもとに、子どもはいつやってきてくれるのだろう?”という漠然とした不安はありましたが、こうして2人で「おいしいね」と言い合いながら食事をする時間は幸せだし、これから中年に差し掛かる夫の体の事にはもっともっと気を配って、一緒に歳をとっていきたいなぁと思いました。
私「精索静脈瘤、ちゃんと治してさ、長生きしようね。2人で」
夫「だな!」
病院を変えたことで情報量が格段にUPし、今思えば私たち夫婦の不妊治療は、ここが大きなターニングポイントになったようにも感じます。
もちろん夫の男性不妊の検査や私の低体重の問題など、いずれも一年前のクリニックの医師が基礎検査の時にしっかり教えてくれていれば…、という気持ちもありましたが、もう過ぎたことにイライラしてもしょうがないと切り替えることもできました。
次回は精索静脈瘤の手術当日の体験談をお届けします。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。