引いた「おみくじの返し方」とは?
初詣や旅行先で引いたおみくじをどうしていますか? 神様からいただいた大切なおみくじを簡単に処分してしまうのは… と躊躇する人も多いのではないでしょうか。今回のテーマはそんな「おみくじの返し方」についてです。自宅に保管してある古いおみくじの処分方法や、おみくじの返納方法について、下鴨神社京都学問所の新木直安研究員に教えてもらいました。その内容を詳しく紹介します。
◆持ち帰ったおみくじを神社に納める
持ち帰ったおみくじを、引いた神社に返納するという方法が一番シンプルな返し方です。願いが叶ったことを感謝し、結果を報告するために神社に訪れることを「お礼参り」といいます。このお礼参りの際に、古いおみくじを返納しましょう。古い御札などを収める古札収所や、古札受付と書かれたところで回収してくれます。
◆おみくじを引いた後に枝に結ぶ
おみくじを引いて、すぐに枝や所定の所に結ぶというのも一つの選択肢です。返納するときは、「ありがとうございました」と感謝の心を持って結んでみてください。ただ、一度持ち帰った場合は、木に結ばずにきちんと神社に納めましょう。
◆持ち帰ったおみくじをどんと焼きで処分してもらう
神社には、「どんと焼き」という行事があります。使わなくなった道具や物などに感謝を込めて燃やすことを「お焚き上げ」と言いますが、特にお正月のしめ縄や松飾をお焚き上げする行事を「どんと焼き」と呼びます。多くの場合は、小正月が終わる1月15日に行われますので、どんと焼きに古いおみくじを持参して燃やすことも処分方法の一つといえます。
◆持ち帰ったおみくじを他の神社に納める
遠くの神社で引いたため、なかなか返しに行けないおみくじもあるでしょう。その場合は、他の神社に納めても問題ありません。たとえ系統が違っても同じ神様の一員なので、どこの神様に祈願したかをしっかりと伝えれば感謝の心も伝わります。地元の神社に返した後は、その神社できちんとお参りをするようにしましょう。
◆保管していたおみくじを神社の許可を得て郵送する
思い入れがあって、おみくじを引いた遠方の神社やお寺にどうしても返納したい場合は、郵送で返納するという方法もあります。ただ全ての神社に郵送できるわけではないので、その神社が受け付けしているかを事前に確認することが大切です。
◆自宅で感謝の気持ちを伝えてから一般ゴミとして処分する
自宅でゴミとして処分するのは、なるべく避けた方がよいものです。よきタイミングで神社に返納するようにしましょう。ただやむを得ず自宅で処分する場合には、簡単にゴミ箱などに捨ててしまうのではなく、ビニール袋などに入れ粗塩を添えて処分しましょう。きちんとお礼をして神様に敬意を払うことが大切です。
「おみくじを捨てるタイミング」は十人十色?
持って帰った数年前のおみくじが机の中から見つかった… なんて経験はないでしょうか? そうならないように、おみくじを処分するタイミングを把握しておくことも大切です。
◆新年を迎えたとき
新年に引いたおみくじは、次の年の初めに返納するようにしましょう。年初めに引くおみくじは、その年の神様の言葉が書かれています。その年のおみくじはその年のもの。一年経ったら、きちんと処理するのがよいですね。
◆目標を達成したとき
おみくじを処分する一つのタイミングは、おみくじを引いたときに神様に伝えた願い事や目標が成就したときです。試験の合格や、病気の克服など願い事によって様々。願い事が成就したことを、報告し、感謝の気持ちを伝える「お礼参り」の時に返すのがいいですね。
◆もう一度おみくじを引きたいとき
心が迷っているとき、おみくじを引いて改めて自分の進む道を定めたいという場合があります。そのような新しいおみくじを引きたいと思ったら、昔のおみくじを処理するのもよいでしょう。
そもそも「おみくじ」は持ち帰ったり保管してもよい?
おみくじを持って帰った方が良いのか、結んで帰ったほうが良いのかを迷う人もいるかと思います。これに対する考え方は神社によってバラバラなので、これといった決まりはありません。
おみくじとは、単に運勢を占うものではなく、その内容を今後の生活指針としていくために神様の言葉が書かれたものです。そのことを踏まえると、おみくじは持って帰って何度も読み返すのがおすすめといえます。場所は、バッグや財布の中でも、家の机でも、神棚でもどこでも構いません。道に迷ったときにおみくじを読み返して、自分の進む道を見極めることが大切です。
そうして保管したおみくじが自分にとって処分するタイミングになったら、先ほど示したいずれかのやり方で行いましょう。
最後に
いかがでしたか? 引いたおみくじは新年になったタイミングや、願いが叶ったとき、次のおみくじを引きたいときなどに自分に合ったやり方で返すと良いですね。その際には、おみくじを通じて道を示してくれた神様への感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
教えてくれたのは…… 下鴨神社京都学問所研究員である 新木直安氏
昭和50年生まれ。下鴨神社京都学問所研究員、京都学問所鴨社資料館秀穂舎館長。最近は、下鴨地域の歴史を研究中の研究に力を入れている。