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LIFESTYLE

2021.01.04

あ、またスマホ見ちゃってる。スマホ以外で軽く息抜きをしたいときは…

書評家の石井千湖さんが、テーマごとにおすすめ本を紹介してくれる人気連載。今回は、張り詰めた心をリセットしてくれる2冊。

用もないのにスマホばかり見ている自分がイヤになってくる!

家にいると、ついついスマホを取り出して、どうでもいい情報をぼんやり眺めてしまう。仕事をしていて集中力が途切れた隙間時間や軽い息抜きにぴったりの本で頭をリセットして!

自分の気持ちに合う詩が見つかる入門書

『詩のこころを読む』

特別知りたい情報じゃないのに、ずっとスマホに流れる文字を追ってしまう。時間をムダ使いしたと後悔するけど、やめられない。そんなときは、詩をどうぞ。茨木のり子の『詩のこころを読む』は、詩の読み方がわからないという人におすすめしたい入門書だ。自分の気持ちに合う詩が見つかるアンソロジーにもなっている。

たとえば第3章の「生きるじたばた」で取り上げられている「便所掃除」。タイトルどおり、便所掃除の場面をリアルに描いた詩だ。茨木さんは、この詩の終わり4行に別次元へと誘うような「離陸の瞬間」をもつ言葉が存在するからこそ、詩になっていると指摘する。いい詩は美しいものを扱うとは限らないが、人間の感情を広い世界へ飛び立たせる力があるのだ。

年齢を重ねるにつれてぐっときそうなのが第4章の「峠」で紹介されている「その夜」。15歳のころから銀行で働き家族を支えていた女性が、40歳近くになって重い病気を患ったときにつくった詩だ。ひとりベッドに横たわっているのに、彼女の「さみしい心が解けてゆく」のはなぜか。素直で力強い言葉に癒やされる。

詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)
著/茨木のり子
「生まれる」という言葉は受身形であるという発見から、人間の誕生の本質を突く吉野 弘の「I was born」、恋に落ちた人の変化を鮮やかに切り取った黒田三郎の「僕はまるでちがって」など、自らも詩人である著者が好きな詩について情熱をこめて語った本。

人気アイドルも読んでいる賢者の名言集

『世界の古典と賢者の知恵に学ぶ 言葉の力』

シン・ドヒョンとユン・ナルの『言葉の力』は、韓国の人気アイドルグループBTSのメンバーが読んでいることで話題になっている本。古今東西の賢者たちの名言を引用しながら、言葉の使い方を伝授してくれる。ひとつの名言につき解説が2〜3ページという構成なので、細切れの時間でも読みやすいのがうれしい。

なかでも「感情に支配されないこと」は実践的だ。感情は大事なものだけれども、振り回されると状況を正確に判断できなくなるもの。まずは「自分の感情のクセを理解しておこう」と著者はアドバイスする。そのときに役立つのが、オランダ生まれの哲学者スピノザが考えた、48種類の感情を表す言葉だ。自分がとらわれがちなのはどの感情なのか。むやみに自分の感情を抑え込まずに分析してみることで、悩みを解決する新たな手がかりが得られるだろう。

いっぽうで、だれかが自分の悪口を言っているという話を聞いたときの対処法などもあって面白い。賢者の人選や名言の解釈には韓国と日本の文化の違いを感じるところもあるけれど、言葉をもっと効果的に使ってみたくなる。

世界の古典と賢者の知恵に学ぶ 言葉の力』(かんき出版)
著/シン・ドヒョン、ユン・ナル
訳/米津篤八
話し上手になるにはどうしたらいいのか。「修養」「観点」「知性」「創意工夫」「傾聴」「質問」「話術」「自由」の8つの段階に分けて学ぶ本。最後の「実践」ではブッダ、孔子、イエス・キリストなど7人の賢者を例に挙げて、いい話し方について解説する。

2020年Oggi7月号「『女』を読む」より
撮影/よねくらりょう 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部

TOP画像/(c)Shutterstock.com

石井千湖

いしい・ちこ/書評家。大学卒業後、約8年間の書店勤務を経て、現在は新聞や雑誌で主に小説を紹介している。著書に『文豪たちの友情』、共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』がある(すべて立東舎)。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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