部屋をキレイに整えて人を招けるレベルに引き上げたい!
仕事が忙しくてつい掃除を先送りにして、部屋の隅にほこりがたまっているのを発見。そんな自分にがっかりするのはもうイヤだ! 心も部屋もすっきりキレイに保つコツは?
自己分析のきっかけにもなる片づけドキュメント漫画
『「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました』
性格が大雑把な上に物を集めがちなオタクなので、片づけられない人生を送ってきた。友人が遊びに来たとき恥ずかしい思いをしたのは一度や二度ではない。でも、今はそこそこ見られる状態を保っている。きっかけはロボット掃除機を買ったことだった。丸くてかわいいロボットがスムーズに動けるように、床に物を置かなくなったのだ。片づけもダイエットと同じで、やみくもに頑張っても継続できなければすぐリバウンドしてしまう。無理なく習慣にするにはどうしたらいいのか。そんなとき、なぎまゆの『「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました』は参考になるはず。
この本がいいのは、苦手だった片づけを克服したなぎまゆさん自身の話が中心ではなく、同じ悩みを抱えている友人のピンチを救うまでのドキュメント漫画になっているところだ。個人の成功体験談にとどまらず、生活環境や性格が違う人にも合う方法を見つけ出しているから再現性が高い。
たとえば、「使えない物」と「使わない物」を捨てるときの話。人間は面倒なことに集中しづらい習性があるので「要不要を判断する作業」を終えるためには「片付けが終わるまでその場から動かない」ことが必要だという。「その場から動かない」という助言が、単純ながら役に立つ。
几帳面な人の真似をしても問題は解決しない。なぎまゆさんはそれぞれに合った方法の発見を何よりも重視する。登場人物の片づけ大作戦を楽しみつつ、自分はどのタイプの人間なのかを考えさせられる一冊だ。
『「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました』(KADOKAWA)
著/なぎまゆ
元・片づけられない人間だったという漫画家が、キレイな部屋をキープする方法を教えるコミックエッセイ。親しみやすい絵柄で、説明もわかりやすい。巻末には著者が片付けを手伝った友人の後日談を収める。第2弾の「見えないところも整理整頓編」も発売中。
部屋の第一印象をよくするすぐ実践できるプロの技
『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』
部屋がある程度キレイになったら、模様替えもしてみたくなるもの。荒井詩万の『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』は、お金もセンスも広さも不要という画期的なノウハウ本だ。長年インテリアコーディネーターとして活動してきた荒井さんが考える「あか抜けた部屋」とは、「見るべきモノが明確な部屋」だ。ドアを開けた瞬間に、何が目に入ってくるかで部屋の印象が決まるという。何をどこに置くべきなのか。荒井さんの言葉はとても明快で、ポイントがわかりやすい。
仕事や生活に追われて、掃除や整理整頓が完璧でなくても、素敵に見える部屋はある。プロの技に助けてもらおう。
『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』(サンクチュアリ出版)
著/荒井詩万
4000人以上のお悩みを解決した理論派コーディネーターが部屋づくりの黄金ルールを伝授する。部屋の対角線を意識する、どこから手をつけたらいいかわからないなら最初は玄関、クッションの個数や選び方など、センスに自信がない人でも取り入れやすい。
2020年Oggi5月号「『女』を読む」より
構成/樋口 澪・宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部
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石井千湖
いしい・ちこ/書評家。大学卒業後、約8年間の書店勤務を経て、現在は新聞や雑誌で主に小説を紹介している。著書に『文豪たちの友情』、共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』がある(すべて立東舎)。