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2020.11.23

30代後半の結婚。スーパーローカル地味婚にした理由は…<元テレビ朝日プロデューサー転職実録#17>

仕事と自分の人生を見つめ直す社会人10年目。今回は、私たちなりの結婚式の話。元バラエティ番組の女性プロデューサー 古瀬麻衣子が考える「理想の人生」への近づき方。

古瀬麻衣子

他人と比較しない、私たちなりの結婚式

これまでの連載はこちら

結婚式という魔物が私は怖かった。人生に一度かどうかは、その先を生きてみないと分からないわけだが、大抵の花嫁は「人生一度の経験だから」と、結婚式というものに命を懸ける。

私のこれまでの経験と伝聞で得た知識を総合すると、結婚式は、お金と時間と忍耐力と自己顕示欲を人生で最大レベルに使用する魔物だ。

ずっとそう認識してきた私が、とうとう自身の結婚式を意識した時、脳内でどんな決断や判断が起こったかを、需要があるかは別として、ここに書き記したい。

どんな形が良いとか、悪いとかの話ではなく、あくまで36歳の筆者個人の考えであることをお忘れなく! と先に言及しておく。

◆人生一度の結婚式、本当に大事なものは何か?

(c)Shutterstock.com

まず大枠を決める際にこんなことを考えた。私たちにとって結婚式を行う上での重要事項は何か?

【1】家族の楽しい時間を最優先する
【2】半日で終わる行事に多額の費用をかけない
【3】必要ない慣習は省く
【4】形として残るものを大事にする

この4点が即座に頭に浮かんだ。“みんなこうしてるよ”という感覚に絶対左右されない、私の心地良い形を選んでいく。その結果が“スーパーローカル地味婚”という結論に至ったわけだ。

【1】家族の楽しい時間を最優先する

これは当然の話ではあるが、新型コロナウイルス感染の懸念が生まれる前から、結婚式には家族しか呼ばないと決めていた。多くのゲストに来て頂くと、家族には気を使う余裕もなくなり二の次になるからだ。

でも私たちの結婚式を世界で一番楽しみにしているのは家族だ。家族の顔を一人ひとり見ながら、余裕を持った時間にするためにそう決断した。

さらに、会場も東京やN.Y.ではなく、前々から私の地元の長崎県で行うことも即決だった。私の地元を優先した形にまとまったのは、高知県出身の旦那と旦那のご両親が、私の祖父母が出席しやすいようにと長崎開催を推してくれたことで実現できた。

都心での披露宴なら誰もが憧れるホテルや式場はたくさんあるが、結局知り合いの誰かが利用したことのある会場ばかりで、面白味に欠けるなという理由も内心あった。

そこで、幼い頃から初詣も七五三も厄払いもお世話になった縁のある長崎の神社で挙式し、家族で何かお祝い事がある度に食事に訪れていた地元の小さなホテルで披露宴を行ったのだ。

【2】半日で終わる行事に多額の費用をかけない、【3】必要ない慣習は省く

この2つに関しては内容が似ている。よく聞く話だが、披露宴会場のお花だけで、ちょっとこだわりを見せると数十万〜数百万円に跳ね上がる。高砂は新郎新婦が座るから余計に豪華になる。ウェディングケーキも、オシャレなものを選ぼうとするとなかなかのお値段。

2時間ほどの披露宴に、ましてや家族のみでのんびり執り行う空間に、巨大なこだわりは必要ないと判断し、あれもこれも排除した。

まずは高砂をなくし、家族と同じ目線で食事が出来る様に長いテーブルを選んだ。お花もテーブルが寂しくならない程度にちょっとだけ。

ウェディングケーキ入刀なんて、存在理由が理解できず、瞬殺で排除。家族だけなので、招待状もなし。見送るほど人数がいないので、プチギフトも無し。事前に体が仕上がっているわけないので、写真の前撮りもなし。極め付けは、結婚指輪も買っていない。神社で指輪の交換の儀式は省いてもらった。

【4】形として残るものを大事にする

(c)Shutterstock.com

私が結婚する際に一番こだわったのは婚約指輪だった。1日で終わる結婚式よりも、毎日身に付けると決めた婚約指輪にだけは妥協しないと決めていた。日常に埋もれることのない、大きなダイヤの指輪が欲しかった。

もちろん、ハイブランドの指輪は目ん玉が飛び出るくらい高いので、御徒町の問屋街で何とか買えるダイヤを探したわけだ。

夫は私の譲らない固い意志に屈して、2カラット以上のダイヤを買ってくれた。結婚式は格安で済ませるから、ここだけは許して! と懇願した結果だ。

この指輪を毎日付ける時、すごく幸せな気持ちになる。日常のふとした瞬間、左手に目を落とすだけで、気分が高揚する。毎日続くこの幸せのために、地味婚を選んだと言っても過言ではない。

よって、結婚指輪を付ける隙間がない。じゃあ、ひとまず必要なしということになった。無駄は省く。

あと残るは記念写真なわけだが、写真に関して大事にするポイントはたったひとつ。花嫁がいかにドレスを美しく見せられるか。これだけだ。

ハレの日の写真は一生ついて回る。どんな地味婚でも、たった1枚でいいので、誰にでも自信満々で見せられる写真を撮ろう(私は披露宴の途中で、カメラマンを呼んで、現状のデータをチェックしました笑)。

そんなこんなで、結婚式準備で夫と喧嘩することもなく、必要最小限の経費で、ストレスもなく、家族が大満足できる結婚式となった。

30代後半以降でご結婚される方に特に提案したい。

酸いも甘いも経験し、夢みつつも、現実が見えなくなることもない私たち。誰かと比較することなく、本当に必要なものだけを大事に、シンプルすぎるほどの結婚式が私たちにはちょうど良かったりします。

ご参考までに。

◆これまでの連載はこちら

古瀬麻衣子

1984年生まれ。一橋大学卒。テレビ朝日に12年勤務。「帰れま10」などバラエティ番組プロデューサーとして奮闘。2020年、35歳で米国拠点のweb会社「Info Fresh Inc」代表取締役社長に就任。現在NY在住。日本人女性のキャリアアップをサポートする活動も独自に行なっている。

Instagram:@maiko_ok_
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