「だれもがジヨンだ…」。そう感じずにはいられない、女性なら共感必至の物語
韓国では130万部を突破し、社会現象にまでなったベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が映画化されるということで、早くも話題騒然。また、過去の作品でも共演経験があり、息のぴったりと合った演技で魅了してきた俳優チョン・ユミとコン・ユ。2016年に1156万人の観客を動員したパニック映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』での共演も話題でしたが、今回は初の夫婦役ということで見逃せません!
この映画のPRを担当しているGhostの志村藍香さんに、見どころをうかがっていきます!
◆女性の生きづらさを描いた原作『82年生まれ、キム・ジヨン』は、日韓で社会現象を巻き起こした!
韓国では2016年秋に刊行されるや、たちまちベストセラーとなり、「これは、まさに私の話です!」と20〜30代の女性たちが声を上げたのだそう。この女性たちの叫びは、まさに今現在の韓国のジェンダー意識に関わる社会問題や不条理の表れなのです。日本でも2018年に刊行され、発売2日目にして重版が決定するなどの社会現象を巻き起こしました。
女性が働きやすい環境が整ってきてはいるものの、いまだに理不尽な扱いを受けてやり場のない思いを抱えたり、家庭内でも肩身の狭い思いをするなど、女性の生きづらさはあまりにも日常に溶け込みすぎてしまっている。そんな私たちにとって、キム・ジヨンはどう映るのか。
「韓国の‘82年生まれの女性で最も多い名前が、主人公の名前でもある“ジヨン”です。そんな平凡な女性が、世界が広いと信じていた子供時代から、女性としての生きづらさを初めて知る少女時代、そして必死に勉強して入った大学から就職の壁が立ちはだかります。結婚、出産で会社を辞め、社会とどう向き合っていこうかと模索するジヨンの姿は、とても他人事とは思えません」(志村さん)
◆実力派俳優のチョン・ユミとコン・ユが共演! 男女の繊細な心の動きが見事に表現された共感必至の映画
今を生きる平凡な30代女性のジヨンを演じたチョン・ユミは、少しずつ壊れていくジヨンの複雑な感情を精巧に演じきっています。韓国のアカデミー賞とも称される第56回大鐘賞映画祭では、『パラサイト 半地下の家族』のチョ・ヨジョンを抑え、主演女優賞受賞の快挙を成し遂げています。
そんな彼女にぴったりと呼吸を合わせるように、本作では抑えた演技で見事に夫役のデヒョンを演じたコン・ユも素晴らしい!
「チョン・ユミさんからは、『コン・ユという俳優がもっている情緒、感情を表現する繊細さがデヒョンをさらに深みのあるキャラクターにしてくれた』とコメントが寄せられるほど、コン・ユさんの熱演ぶりは見逃せません。
一方のコン・ユさんも、『撮影現場でチョン・ユミさんに会ったとき、すでにキム・ジヨンだと思った。おかげで最初から演技に集中し、のめり込むことができた』とおっしゃるほど、お互いに信頼関係があって役に入り込みやすい環境だったようです」(志村さん)
◆原作とは異なるラストに込めた、キム・ドヨン監督の思い
「キム・ドヨン監督自身も結婚と出産を経て、40代で映画監督の夢を叶え、本作の撮影に挑まれた方です。劇中には、至る所に監督ご自身の子育ての経験、生活の中で実際に感じられた事柄が溶け込んでいます。
ドヨン監督曰く、『この映画を観た人が劇場から出たときに、少しでも前向きな気持ちになれるような作品になってほしい』という想いを込めて、あえて小説とは違う描き方をされたそうです。その点に関しては、原作の著者チョ・ナムジュさんからも『ラストがとてもよかったです』とお墨つき。
ジヨンとその母との親子愛、ジヨンとその夫・デヒョンとの夫婦愛、ジヨンとその同僚との友情、ジヨンと女性上司との絆など、さまざまな関係性を通して彼女の人生が描かれる中で、彼女とともに傷つき、苦しい想いをすることもあるかもしれませんが、その先にある希望を感じられる映画になっています」(志村さん)
原作では、ジヨンの人生を通じて現代女性が感じてきた“違和感”や“痛み”の正体に向き合う。そして、映画でジヨンが選んだ生き方に希望を感じることができる。ぜひ、原作を読んでから劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
『82年生まれ、キム・ジヨン』
監督:キム・ドヨン
出演:チョン・ユミ、コン・ユ、キム・ミギョンほか。
原作:『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)著/チョ・ナムジュ 訳/斎藤真理子
10月9日(金)より 新宿ピカデリーほか、全国劇場で絶賛上映中!
配給:クロックワークス
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取材・文/宮田典子(HATSU)