【目次】
・「重ね重ね」の読み方や意味とは?
・「重ね重ね」の使い方を例文でチェック
・「重ね重ね」の間違った使い方も例文でチェック
・「重ね重ね」の類語は?
・「重ね重ね」の英語表現も知ろう
・最後に
「重ね重ね」の読み方や意味とは?
「重ね重ねありがとうございます」といった表現を聞いたことがありますか? ビジネスシーンでよく用いられる言葉ですね。なんとなく丁寧な感じがするので色々な場面で使いたいところですが、正確にはどのように使えば良いのでしょうか? 今回は、「重ね重ね」の意味や使い方について解説していきたいと思います。
まずは、読み方と意味を確認していきましょう。
「重ね重ね」は「かさねがさね」と読みます。「同じようなことが繰り返されるさま、念入りに相手に頼み込むさま、自分の心情の深さを相手に伝えようとするさま」といった意味です。また、これは二重表現ではなく、同じ言葉を繰り返しその意味を強調する表現です。「重ね重ね」は、二度も「重ね」ていることからわかるように、「重ねて」という言葉をさらに強調する意味があります。
「重ね重ね」の使い方を例文でチェック
では、実際に「重ね重ね」をどのように使えばいいのか、例文で確認していきましょう。
1:「重ね重ね御礼申し上げます」
感謝の気持ちを強調したいときに「重ね重ね」を使います。ただし、「重ね重ね」は、今まで述べた感謝の気持ちを、さらに重ねて感謝するという意味です。冒頭から使うのは、良い使い方ではありませんので、締めの言葉として用いましょう。
2:「この度は当方のミスで大変ご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。重ね重ねお詫び申し上げます」
「重ね重ね」を使うことで気持ちの強さを伝えることができます。こういった表現は、ビジネスメールで用いても問題ありません。「本当に申し訳ございませんでした」や「ご迷惑をおかけいたしました」など、謝罪の言葉が文中に出てくると思います。最後に「重ね重ねお詫び申し上げます」と使うことで、より一層謝罪の気持ちを強調することができますよ。
3:「重ね重ね申し訳ありませんが、ご検討のほどよろしくお願いします」
依頼や提案・対応などの意思表示をする際に、「重ね重ね」を用いることができます。ただし、多用するとしつこい印象を与えかねません。「申し訳ございませんが」、「恐縮ではございますが」といったような表現を合わせて用いて、スムーズに依頼していきましょう。
「重ね重ね」の間違った使い方も例文でチェック
「重ね重ね」が間違った使い方をされている場合があります。間違いやすい表現をチェックして、正しく使っていきましょう。
1:「重ね重ね説明をしておりましたが…」
正しい表現に感じますが、実は「重ね重ね説明をしておりましたが」は間違った使い方です。この場合は「重ね重ねの説明をしておりますが」が正しい使い方です。「重ね重ね」の後に、名詞が続く場合は「~の」を入れる。「重ね重ね」の後に、動詞が続く場合は「~の」を入れないと覚えましょう。「重ね重ね」を使用する際は、後に続く言葉に注意してくださいね。
2:「当サービスをご利用いただき、重ね重ねお礼申し上げます」
この例文の中では、なにが重なっているのでしょうか? サービスを利用してくれたということに感謝を伝える場合は「重ね重ね」は相応しくないため違和感を与えかねません。「重ね重ね」は文字通り、「何かが重なっている状況」でしか使用できないので、注意してください。この場合は、「この度は、当サービスをご利用いただき誠にありがとうございます」が適切です。
3:(結婚式等で)「重ね重ねおめでとうございます」
結婚式や葬儀の場において、使用を控えた方がいいとされている言葉である「忌み言葉」があります。例えば、切れる・割れる・別れる・離れるなど不吉なことを連想させるような言葉が「忌み言葉」。「忌み言葉」と同じように、同じことを繰り返す「重ね言葉」も冠婚葬祭の場においては良くないとされていますよ。
この場合は、「重ねてお祝い申し上げます」や「本当におめでとうございます」と、お祝いの気持ちを伝えましょう。「重ね重ね」は、冠婚葬祭では使用できませんので、注意してくださいね。
「重ね重ね」の類語は?
「重ね重ね」と同じように使える表現についても、合わせて覚えていきましょう。
1:「くれぐれも」
「くれぐれも」は、「何度も心をこめて依頼・懇願したり、忠告したりするさま。何度考えても。かえすがえす」という意味。「くれぐれも、お忘れ物のないようにしてください」などと用います。
2:「重々」または「重重」
「重々」は、「じゅうじゅう」と読みます。「同じことを何度も繰り返すさま。十分であるさま」という意味。「重々の不始末、何卒お許しください」などと用います。また、「重々承知しております」といった表現がありますね。この場合は「十分に知っていること」を意味します。「重ね重ね」には「十分に」という意味はありませんので、間違わないよう注意してください。
3:「幾重にも」
「幾重にも」は、「いくえにも」と読みます。「何度も繰り返すさま」という意味。「幾重にもお頼み申し上げます」などと用います。
「重ね重ね」の英語表現も知ろう
ビジネスメールで、「重ね重ね」と気持ちを強調したいときは、どんな英語表現をしたらよいでしょうか? 「重ね重ね」はagainやover and over againと表現することができます。例えば、「Thank you again.(重ね重ねお礼申し上げます)」や「We’re sorry again.(重ね重ね申し訳ありませんでした)」というように伝えましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?「重ね重ね」は、ビジネスシーンなどのフォーマルな場面で「敬語表現」と一緒に使われます。繰り返すことで「心から感謝している・お詫びしている」といった気持ちを、さらに強調して表現ができる言葉です。ただし、何度も使用してしまうと強調しているというよりもしつこさを与えかねません。少し使い方には注意が必要ですが、適切に使って気持ちを伝えてみてくださいね。
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