「乾杯」と「献杯」の違いは? どういうときに使われる?
「乾杯」と似た言葉で、「献杯(けんぱい)」と耳にしたことがあるかと思います。「乾杯」と似ているけど、「献杯」はどういうときに使われるの? どうするのが「献杯」なの? そんな疑問をチェックしていきましょう!
◆「乾杯」は慶事、「献杯」は弔事と覚えよう!
「乾杯」と「献杯」はともに杯という字が入っていることからお酒にまつわる言葉ということが想像できますよね。
「乾杯」とは「杯の酒を飲み干すこと。特に、喜びや祝福の気持ちを込め、杯を差し上げたり触れ合わせたりして、酒を飲むこと」をいいます。
一方、「献杯」とは「相手に杯を差し出して敬意を表すこと。亡くなった人を悼(いた)んで杯を捧げること」をいいます。
本来は「献杯」も生きている方に対して敬意を表して杯を差し出すことをいう言葉だったのですが、昨今では亡くなった方に対して杯を捧げ、敬意を表する際に使うことが主流となっています。
そのため使い分けは、「乾杯」は結婚式だけでなく、飲み会なども含め、広く慶事で使われる言葉、「献杯」はお葬式や法事などの弔事で使われる言葉と覚えておくと、間違いがないですね。
◆乾杯と献杯のマナーは異なる
以上のように「乾杯」と「献杯」は行う場面が異なります。そのため、「乾杯」と「献杯」はお作法も異なります。
例えば、発声も「乾杯」は元気に明るく大きめな声で行いますが、「献杯」は厳かに落ち着いた声で行います。また、杯を掲げる際も「乾杯」は胸の位置より高く、顔の高さくらいまであげ、場合によっては出席者同士で杯を合わせますが、「献杯」は胸の高さくらいに留め、杯を合わせることはありません。
「乾杯」はその後すぐにグラスに入った飲み物を口にしますが、「献杯」ではその後黙祷や合掌を行ってから飲み物を口にします。なお、「乾杯」は杯を乾かすと書くことから、飲み干すことがマナーと聞いたことがある方もいらっしゃるかと思うのですが、そんなことはありませんのでご安心を。
飲み干すことが敬意を表す意味を持つ中国においても、飲み干す場合は小さなグラスを用いたり、「乾杯」の発声のあとに飲み干さなくても良い旨が添えられたりしているんですよ。言葉を鵜呑みにせず、急性アルコール中毒などになることがないようにしたいですね。
いかがでしたか? 似ている言葉ではありますが、使い間違えると一大事。また、使う場面が決まっているからこそ、伴うお作法も異なります。今一度確認してみてくださいね。
言葉の意味/デジタル大辞泉
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!