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LIFESTYLE

2020.08.16

一見するとフツーのブルーハワイだけど… 食べると〝たい焼きの名店〟らしさ全開でした【連載・史上初かき氷小説作家の今日の一杯】

「食」に関する小説に特化した文庫レーベル「おいしい小説文庫」から発売された、史上初のかき氷小説『氷と蜜』の著者である佐久そるんさんが、ひんやりおいしいかき氷の世界に誘う食べ歩き連載。第8回目は、大阪府大阪市北区「大阪浪花家」です。

一日の〆に食べたいかき氷〈新人作家のかき氷探訪記〉

小説『氷と蜜』の著者、佐久そるんです。

かき氷が題材の『氷と蜜』には、数多くのかき氷のお店と、それを食べ歩く愛好家の人たちが登場します。わたしもかき氷を食べ歩いているひとりです。

ご紹介するのは大阪の商店街に店をかまえる『大阪浪花家』さん。わたしが、かき氷にハマるきっかけになったお店です。

粒の際立つ艶々の餡子、氷には黄粉がまぶされ、シロップは黒蜜とミルクが合わさります。餡子の奥に感じる塩気、黒蜜の酸味にミルクの甘味、食べ終わったあとに黄粉の香りが舌に蘇ってくる。その色合いで、黄昏どきを表現したかき氷。昔からよくかき氷で使われる食材の組み合わせだと思いますが、何度食べても不思議と飽きることがありません。

考案したのは、某鯛焼きソングのモデルになった東京のお店で修行され、「小豆の声が聞こえる」と豪語する天才肌の店主さんです。

創作のきっかけなどを聞いてみたことがあるのですが、「ぱっとやって、ぱっぱっぱとできました」とさも簡単そうに言われます。ですが、厨房にある餡子の釜をさわれるのは店主のみ。修行の成果であり、一朝一夕にできるものではない証だと思います。

一時間炊いてあくを抜き、水を入替えそこから数時間。小豆との半日近くつづく真剣勝負をへて炊きあがった餡子だからこそ、何度食べても飽きないかき氷を生み出すのではないでしょうか。

この夏は、白餡を使ったブルーハワイのかき氷も登場しています。意外な組み合わせですが、口の中でレモンの爽やかさが弾ける夏のかき氷でした。なめらかな白餡の食感と一緒に楽しんでください。

もちろん鯛焼きもお忘れなく。小豆の粒が少し残るつぶし餡を、ぱりっとした薄皮で包んでいます。お持ち帰りもできますよ。

餡子が苦手ですか? でしたら、果物を使ったかき氷をどうぞ。季節に合わせた旬の果物を使ったかき氷がありますよ。わたしが最初に食べたふわふわのかき氷は、こちらのお店の苺のかき氷でした。口に入れるとスッと溶けていく食感に驚かされたことを、いまでも覚えています。

トッピングにはクリームチーズのシロップを注文してはいかがでしょう。もともと冷コー(アイスコーヒー)のかき氷用に作られたシロップですが、お客さんからの要望が多く、トッピングとしてレギュラー入りしたそうです。

▲冷コーのかき氷

「クリチー、別添えで」とたのんでみませんか。ちょっとした通気分を味わえますよ。

▲クリームチーズ

夜も営業されているので、仕事帰りに訪れることもできます。うっすらと明かりの残る、夏の黄昏どき。熱くほてった体に、ひんやりとしたかき氷はいかがでしょう。一日の終わりに〆の一杯を、どうぞめしあがれ。

【大阪浪花家】
住所:大阪市北区中崎1-9-21
電話番号:06-6371-1877
営業時間:10〜22時(ラストオーダー21時半)

インスタグラム ▶︎@naniwaya.staff

佐久そるん

大阪生まれ、大阪育ち。5年ほど前から小説の執筆をはじめる。2019年『氷と蜜』が第1回日本おいしい小説大賞の最終候補に選ばれ、刊行に向け改稿をスタート。2020年6月、同作で作家デビュー。かき氷の魅力が詰まっていると『氷と蜜』は話題に!

甘いものに目がなく、まめに食べ歩く。パンケーキ、パフェと続いてここ3年はかき氷にハマっている。コロナ禍の自粛期間中は和洋菓子をお取り寄せしてお店を応援。現在は再開したかき氷店へ著書を持って行脚の日々。

氷と蜜

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