今年の熱中症予防対策は…「熱中症警戒アラート」で!
梅雨の晴れ間は嬉しいですが、晴れる日は気温が上がり、体にこたえる蒸し暑さになります。
環境省と気象庁は今年の7月1日から、新たな熱中症予防対策の情報発信として、「熱中症警戒アラート(試行)」を発表することになりました。
◆熱中症警戒アラートって?
現在、熱中症への注意を呼びかける情報として、気象庁が「高温注意情報」を、環境省が「暑さ指数(WBGT)」をそれぞれ発表しています。ですが熱中症による死亡者数や救急搬送者数は引き続き多い状態が続いていて、2018年の熱中症搬送者数は約9万5,000人と、2008年の調査以来過去最も多くなりました。
そのため、7月から環境省と気象庁が連携して、予防行動とセットにしたシンプルな警戒情報(アラート)を、“ここぞというときに”発表することになったのです。
今年の7月1日~10月28日に関東甲信地方の1都8県(東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、長野県)で先行的に実施され、来年からは全国で本格運用される予定です。
◆熱中症警戒アラート、その発表基準は?
熱中症警戒アラートは、暑さ指数が33℃以上のときに発表されます。この「暑さ指数」とはWBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperatureのことで、熱中症を予防する目的で1954年にアメリカで提案されました。単位は気温と同じ(℃)ですが意味は異なり、暑さ指数は1:湿度、2:日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、3:気温の3つを取り入れた値です。
▲(環境省 熱中症予防情報サイトより)
湿度が7割も占めているのは、湿度が高い場所では汗が蒸発しにくく、身体から空気へ熱を放出する能力が減少してしまい、熱中症にかかりやすくなるためです。熱中症搬送者数は、気温よりも暑さ指数の方が関連が深いことが分かっています。
暑さ指数(WBGT)の基準は、31℃以上は「危険」、28℃以上31℃未満は「厳重警戒」、25℃以上28℃未満は「警戒」、21℃以上25℃未満は「注意」、21℃未満は「ほぼ安全」です。
暑さ指数(WBGT)31℃以上の「危険」は高齢者の方は安静状態でも発生する危険性が大きく、外出はなるべく避けて涼しい室内に移動する必要があるとされています。
熱中症警戒アラートの発表基準である暑さ指数(WBGT)33℃以上は、その「危険」レベルをさらに上回る、“極めて危険”レベルといえます。
◆発表されたときにどう行動するべきか
・外での運動や活動は中止または延期する。
・熱中症リスクの高い高齢者や子供に声掛けをする。
また、今シーズンは「新しい生活様式」にも対応していかなければいけません。
・屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクを一時的にはずして休憩する。
・冷房時でも窓開放や換気扇によって換気を行う。換気により室内温度が高くなりがちなので、エアコンの温度設定を下げるなどの調整をする。
・毎朝など、定時の体温測定、健康チェックをする。
といった対応が必要になります。
◆7~9月の暑さは…
気象庁が6月24日に発表した3ヶ月予報によると、7~9月の気温は全国的に高く、暑さが厳しくなる見込みです。
▲(気象庁 ホームページより)
今年は熱中症警戒アラートの情報にも気をつけながら、自分や大切な人の命を守りましょう。
【参考】
環境省:熱中症予防情報サイト
気象庁:熱中症警戒アラート(試行)が始まります
厚生労働省:「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント
気象予報士 太田絢子
気象予報士、防災士。中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、犠牲者をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。現在は地元名古屋のCBCテレビ「チャント!」などに出演中。趣味はモーニング巡り、季節の箸置き集め。