【目次】
・「耄碌」とは? 読み方・意味・由来を知ろう
・「耄碌」の例文で使い方を知ろう
・「耄碌」の類義語は?
・「耄碌」の言い換えの言葉も知ろう
・「耄碌」の対義語は?
・最後に
「耄碌」とは? 読み方・意味・由来を知ろう
「耄碌」(もうろく)の漢字を見て「何て読むのかしら…」と思った人も少なくないでしょう。「漢字でどう書くの?」と言われて、スラスラッと書ける方も少ないと思われます。
文字面は、いかにも難しそうな雰囲気を醸し出していますが、読み方が「もうろく」と分かると聞いたこともあるし、一度や二度は使ったことのある言葉ですよね。一般的で身近な言葉ではないでしょうか?
漢字検定の難読二字熟語として出題率の高い漢字にもなるくらいですから、読むのも書くのも厄介な漢字ではあります。読み方・書き方・意味・由来を知っておくと、何かの折に周囲から尊敬されるかもしれませんよ。
それでは、「耄碌」(もうろく)の意味や用法について説明・解説していきます。
◆「耄碌」の読み方と意味
「耄碌」は「もうろく」と読みます。漢字のつくりや部首から推測して、読むことができそうな漢字ではありますね。構成する漢字を、一つひとつ確認してみましょう。
「耄(もう)」は、音読みでボウ、もしくはモウ。訓読みでは、おいぼ(れる)、としよ(り)、ほう(ける)と読みます(※カッコ内は送りがなです)。意味は、70歳、80歳、90歳の老人、年寄り、老人、おいぼれる、などを表します。
「碌(ろく)」は、音読みで、ロク、ラク、リョクと読みます。訓読みすることはありません。通常「碌」の下に打ち消しの語を伴って、物事の正常でないこと、まともでないこと、満足できる状態ではないことを表す漢字です。用法としては、「ろくな」と「ろくに」の形で使う場合があります。
「ろくな」では、「ろくな人間でない」「子供にろくなこともしてやれない」「さぼってばかりだとろくなことにならないぞ」などです。「ろくに」では、「ろくに手紙も書けない」「口もろくにきけない」「ろくに休む暇もない」などです。
従って「耄碌(もうろく)」とは、年老いて、役にたたないことを意味する熟語になります。
◆「耄碌」の由来
漢字には、それぞれ語源・由来があり、紐解いてみるとなかなか面白いものです。「耄(もう)」は、老の下に毛がくっついていますが、これは「老いて更に毛のように細くなる」という意味が込められているそうです。ですから、古く江戸時代の頃は、80歳、90歳の老人を特定する言葉として使われていたそうですよ。
「碌(ろく)」は、役に立たないことを意味していることは前項で説明をいたしました。「碌」という漢字の「つくり」は、他の漢字でも見られます。
例えば、「禄」「録」「緑」(※本来これらの漢字の右側はすべて「彔」でした)などですが、これらの漢字の部首は、しめすへん、かねへん、いとへんであり「人間が生きてゆく上で役立つモノ、必要なモノ」を意味しています。
しかし、「碌(ろく)」は、いしへんであり“食べられない”ことから、転じて、あまり役には立たないという意味になったとされています。
「耄碌」の例文で使い方を知ろう
「耄碌(もうろく)」の意味や起源を理解していただいたところで、具体的な使い方や使用場面をご紹介しましょう。使用例としては、自虐的な使い方と他人を揶揄(やゆ)する場合の使い方があります。
自虐的な使い方としては…
1:「若い奴から同情されるようでは、俺も耄碌したねぇ」
職場など、かつて指導していた若いスタッフから慰められた時などに使うセリフです。
2:「耄碌したといえども、まだ腕には自信がありますよ」
勇退することを勧められた時、まだまだ働けることを主張する時などに言うセリフです。
3:「私のような、耄碌爺が出しゃばる必要はないでしょう」
周りの若い人たちから意見を求められる場面などで、辞退する場合のセリフです。
他人を揶揄する時の使い方としては…
1:「あの人も、すっかり耄碌してしまって役に立たなくなっちゃったね」
かつてはバリバリ仕事をこなしていた人が、年を取ってきた時の表現として使います。
2:「耄碌してるんだから、大人しくしてくんないかねぇ。危なくてしょうがない」
お年寄りが、ウロウロすることを戒める時に使われる表現です。
3:「いつまでも若いつもりかもしれんが、あの人も耄碌したよねぇ」
高齢になった職場などの先輩を揶揄する表現になります。
「耄碌」の類義語は?
1:老境に入る
老境に入るとは、老人の境遇・境地。または、老年を表す表現です。使用例としては、「あの方は、老境に入っても、なお気が若いですね」などのように使われます。
2:おいぼれる
おいぼれるは、老い耄れると書きます。年を取って、体や頭の働きが鈍くなることを意味する表現です。年を取ったことを、自虐的に表現する際に「おいぼれの戯言」「私もおいぼれたものだ」などと使うことがあります。
類義語としては、他にも、老ける、年老いる、よぼよぼ等があります。いずれも、相手を傷つけてしまう場合がありますので、場面を考え使いましょう。
「耄碌」の言い換えの言葉も知ろう
「耄碌」と同じ様な意味や場面で、使用される言葉をご紹介します。
1:焼きが回る
焼きが回るは、年を取ることによって、能力が衰えたり、動きが鈍ることを意味する表現です。使用例としては、「俺もすっかり焼きが回っちまったよなぁ」のように使います。
2:老け込む
老け込むは、すっかり年を取った様子や、すっかり老人くさくなる様子を表現する言葉です。「お父さんが亡くなって、お母さんはこのところ、すっかり老け込んでしまったわねぇ」のように使うことができます。
「耄碌」の対義語は?
1:矍鑠(かくしゃく)としている
矍鑠(かくしゃく)は、年を取っても、丈夫で元気のいい様子を意味する言葉です。使い方は、「あの方は高齢なのに、矍鑠としておいでだ」など、目上の人を尊敬する表現として用いられることが多いですよ。
2:ご壮健(そうけん)でいらっしゃる
壮健は、健康で元気なこと。また、その様子を表した丁寧語です。手紙などでは、「ますますご壮健のご様子、何よりと存じます」とか「お父上は、ご壮健でいらっしゃるでしょうか?」など、相手を気遣う言葉として多用されます。
3:老いてなお盛んですね
中国の古典が由来となっている言葉です。高齢になっても健康で元気な様子を表します。老いても、ますます盛んな意気がなければならないという意味です。
最後に
人間であれば、老いて肉体的な衰えが生じるのはしょうがないこと。しかし幾つになったとしても、家族や周りの人たちに愛され、慕われる存在であり続けたいものです。
さて、「耄碌」(もうろく)という言葉の意味や由来、用法についてお解りいただけたでしょうか? 類語や対義語も上手に活用していただくことで、あなたの表現力向上に繋がれば幸いです。